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2025年8月18日

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2025年6月福岡県の有効求人倍率1.17倍、採用担当者が今取るべき行動とは

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雇用情勢(令和7年6月分)について(福岡労働局)


この記事の概要

2025年6月に公表された福岡県の有効求人倍率は1.17倍と前月から0.03ポイント上昇しましたが、新規求人は2.3%減少しており、採用市場には依然として不安定さが残っています。


企業の採用担当者が注視すべき重要指標のひとつに、有効求人倍率があります。これは、求職者一人あたりに対してどれだけの求人があるかを示す数値であり、労働市場の需給バランスを直感的に理解するための手がかりとなります。2025年6月現在、福岡県全体の有効求人倍率は1.17倍であり、前月と比べてやや上昇傾向を示しています。これは求人件数が求職者数を上回っている状態を意味し、企業にとっては「売り手市場」とも言える状況ですが、単純に倍率だけを見て楽観視することは危険です。

この数字の背景を丁寧に読み解くと、採用の難しさと機会が入り混じる複雑な実情が浮かび上がってきます。たとえば、新規求人倍率は2.18倍と高水準を維持している一方で、新規求人数は前月比で2.3%減少しており、これは企業側が新規の採用活動にやや慎重になっている兆候とも読み取れます。さらに新規求職者数も4.1%減少しており、求職者の側にも動きが鈍っている様子がうかがえます。このように、労働市場全体では求人は出ているものの、求職者の数が思うように増えていない、あるいはマッチングがうまくいっていないことが懸念材料となります。

採用担当者は、こうした数字の裏側に潜む労働市場の動きを正しく把握し、柔軟に採用戦略を調整する必要があります。とくに注目すべきは、産業別・規模別の求人動向です。今回の統計では、製造業、卸売業・小売業、建設業、医療・福祉分野などで求人が増加している一方で、宿泊業・飲食サービス業、運輸業、情報通信業などでは求人が減少しています。この違いは、各産業の景況感や人手不足の度合い、業務形態の変化などを反映していると言えるでしょう。

また、事業所規模別では、従業員数が1000人以上の大企業において求人が大幅に増加したのに対し、300~999人規模の中堅企業では求人が減少しており、規模によって採用への積極性にばらつきが見られます。これは中堅企業が採用予算の制約や人件費高騰の影響をより強く受けている可能性があるため、採用担当者は自社の規模に即した対応が求められます。たとえば中小企業であれば、求職者との接点を増やすために地域密着型の求人広告や職場見学、柔軟な働き方の提案など、非金銭的な魅力づけを強化することが効果的です。

特筆すべきは、正社員の有効求人倍率が0.88倍と全体平均を下回っている点です。これは非正規雇用を中心とする求人が増えている一方で、正規雇用の求人は限定的であることを示唆しています。正社員を採用したい企業にとっては、競争相手が少ない分だけ採用がしやすい面もありますが、求職者側が安定した雇用形態を望む傾向が強くなっている中で、企業側が求めるスキルや経験とのギャップが生じやすいという課題も存在します。

さらに年齢別の求職者動向にも注目すべきです。30代から40代、または55歳以上の層で新規求職者数が増加している一方、29歳以下および45歳~54歳の層では減少傾向にあります。これは若年層の定着率や労働参加率の低下、あるいは中高年層の就労継続意識の高まりなどが影響している可能性があり、採用ターゲットを定める際に年齢構成をどう設計するかが戦略の鍵になります。

採用市場は景気や制度、社会的価値観などに大きく左右されますが、データに基づく意思決定は常に重要です。特に今回のように、全体の有効求人倍率がやや上昇しつつも、新規求人数や求職者数にばらつきがある時期は、採用担当者にとって「行動すべきか、待つべきか」の判断が問われます。状況を見誤れば、せっかくの採用チャンスを逃すだけでなく、かえって人材確保の難易度を高める結果になりかねません。

このような不安定な環境下においてこそ、採用担当者には自社の課題や特徴を冷静に見極めたうえで、より戦略的な採用活動が求められます。たとえば、ターゲット層のニーズに応える求人票の見直し、オンライン面接を活用した遠隔地からの人材発掘、社員紹介制度の強化など、採用手法の多様化と柔軟性を高める施策が効果を発揮します。また、入社後の定着率を高めるためのオンボーディング体制の充実や、社内でのキャリアパスの提示など、採用活動と人材育成を連動させることが、長期的な組織力の向上にもつながります。

今後も労働市場の動向を注意深く観察しながら、採用活動の質と量のバランスを見直していく姿勢が、企業の競争力を維持するために不可欠です。採用担当者に求められるのは、求人倍率の一喜一憂ではなく、その裏にある社会の動きや労働者の意識変化を掴む洞察力と、それに対応する柔軟な戦略構築力です。

この記事の要点

  • 福岡県の有効求人倍率は2025年6月時点で1.17倍
  • 新規求人倍率は2.18倍と高水準だが、求人・求職者数は共に減少傾向
  • 製造業や医療・福祉分野では求人増加、情報通信や宿泊業では減少
  • 事業所規模別では大企業が採用を強化する一方、中堅企業は減少傾向
  • 正社員の求人倍率は0.88倍と低め、安定雇用へのニーズとミスマッチの懸念
  • 求職者の年齢層によって動向に違いがあり、ターゲティングの工夫が必要
  • データを活用した柔軟で多様な採用戦略が求められる局面

⇒ 詳しくは福岡労働局のWEBサイトへ

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