2025年8月15日
労務・人事ニュース
2025年WHO総会で採択された新パンデミック協定、日本の積極的関与が注目
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「夜勤なし」/正看護師/デイサービス/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年8月14日 22:42
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「夜勤なし」/正看護師/整形外科/リハビリテーション科/内科/病院
最終更新: 2025年8月14日 22:42
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「夜勤なし」/准看護師/学校/介護施設/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年8月14日 22:42
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「夜勤なし」/正看護師/有料老人ホーム/デイサービス/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年8月14日 22:42
令和7年版厚生労働白書 第2部 第9章 国際社会への貢献(厚労省)
この記事の概要
厚生労働省は、2024年から2025年にかけて多国間の国際会議や国際機関を通じ、保健、労働、社会保障の分野において世界的課題への対応を強化しています。パンデミック対策やユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進、気候変動と健康の関連性への対応など、日本の知見と経験を国際社会と共有する取り組みが進められています。
近年、日本の厚生労働行政は国内対策にとどまらず、国際的な視点を取り入れた取り組みを強化しています。その背景には、新型コロナウイルス感染症から得られた教訓や、少子高齢化、薬剤耐性、生活習慣病の増加といった国際的に共通する課題が存在し、各国との協調が必要不可欠となっている現実があります。特に2024年から2025年にかけて、国際会議や枠組みにおける日本の関与は一層強まりました。
2024年には、G7保健大臣会合がイタリアで開催され、「グローバルヘルス・アーキテクチャー(GHA)」やパンデミック対応に関する議論が行われ、日本もコミュニケの採択に関与しました。また、同年10月にはG20保健大臣会合がブラジルで開かれ、「健康の公平性」や「気候変動と健康」について多国間での協議が実施され、G20としての宣言も採択されています。
一方、世界保健機関(WHO)では2024年5月に第77回総会が行われ、パンデミック緊急事態の定義を新たに盛り込んだ国際保健規則(IHR)の改正がコンセンサスで承認されました。また、2025年5月の第78回総会では、パンデミック対策に関する新たな国際協定「WHOパンデミック協定」の採択が予定されており、日本は交渉の場で活発に貢献しています。加えて、日本は気候変動に対応する保健医療体制を整備する国際アライアンスATACHにも正式に参加し、環境と健康に配慮した政策の強化に努めています。
OECDの枠組みにおいても、日本は積極的な発言と政策共有を行っており、特に高齢社会における医療政策、看護職の負担軽減、医師偏在への対応といった日本特有の課題についても国際社会と知見を共有しています。2024年1月の第4回OECD保健大臣会合では、日本の医療保険制度や薬剤耐性対策への取り組みが紹介されました。
さらに、ASEAN+3の枠組みでは、日本は保健、労働、社会保障の各分野における協力を継続しており、2024年8月にはラオスで保健大臣会合が開かれ、デジタルイノベーションを活用した健康安全保障について協議が行われました。また、同年12月には東京で第17回日中韓三国保健大臣会合が開催され、公衆衛生安全保障や高齢化社会への対応、パンデミックへの備えについての共同声明が採択されています。
医療や保健の分野だけでなく、労働分野においても厚生労働省の国際協力は拡大しています。2024年9月にはイタリアでG7労働雇用大臣会合が行われ、AIの活用や高齢社会における労働市場の強化、柔軟なスキル習得支援といった課題が議論され、日本は人への投資の重要性を強調しました。G20労働雇用大臣会合でも、日本は質の高い雇用創出やジェンダー平等の促進に関する取り組みを共有し、労働環境の改善に向けた国際協力を訴えました。
また、OECDでは移民政策に関するレビューが実施され、2024年には「Recruiting Immigrant Workers:Japan 2024」が公表されました。この中では、日本の高度人材ポイント制度や技能実習制度の改善提案が示され、外国人材の受け入れ政策の進展が期待されています。
開発途上国への国際協力にも注力しており、厚生労働省はWHOやILOと連携し、保健医療、労働、社会保障の各分野で日本の知見を提供しています。特にユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進に関しては、国民皆保険制度で培われた日本の経験が強みとされており、WHOや世界銀行と連携して設立準備中の「UHCナレッジハブ」では、低・中所得国の政策担当者を対象とした研修を実施し、世界全体でのUHC実現に貢献することが見込まれています。
さらに、グローバルファンドやGaviなど、世界の感染症対策を支援する複数の国際機関に対して資金拠出も行い、結核やマラリアなどの三大感染症への対策を通じて持続可能な開発目標の達成にも寄与しています。加えて、ワンヘルスの観点から、動物・人・環境の健康を一体的に捉える取組みにも力を入れています。
2025年には、ILO総会やOECD社会保障大臣会合への参加、さらに東京での労働安全衛生に関する日EUシンポジウム開催も予定されており、引き続き日本の政策が国際的な関心と注目を集めることが予想されます。厚生労働省は、今後も国内外の連携を強化し、持続可能な保健・労働・福祉体制の実現に向けて多方面で取り組みを進めていく姿勢を明確にしています。
この記事の要点
- 2024年にG7およびG20保健大臣会合でパンデミック対策や健康の公平性が議論された
- WHOではIHRの改正と新たなパンデミック協定の採択が行われた
- OECDでは看護職の負担軽減や医療保険制度の持続可能性について日本が提言した
- ASEAN+3会合でデジタル・ヘルスによる健康安全保障強化が議論された
- G7・G20労働雇用大臣会合でAI活用や高齢者の就業支援に関する国際的連携が進んだ
- ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ推進のため「UHCナレッジハブ」の設置準備が進行中
- 日本は感染症対策支援としてグローバルファンドやGaviに資金を拠出している
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ