2025年6月29日
労務・人事ニュース
2030年目標PUE1.3以下、次世代データセンターに求められるエネルギー効率基準とは
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「駅チカ」/正看護師/老人保健施設/介護老人保健施設/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年6月27日 23:04
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「夜勤なし」/准看護師・正看護師/老人保健施設/介護老人保健施設/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年6月27日 23:04
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「土日祝休み」/正看護師/内科/心療内科/クリニック/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年6月27日 23:04
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「ブランクOK」/准看護師・正看護師/整形外科/リハビリテーション科/内科/クリニック
最終更新: 2025年6月27日 23:04
「ワット・ビット連携官民懇談会取りまとめ1.0」の公表(総務省)
総務省と経済産業省は、国内のデジタルインフラ整備における新たな指針として、「ワット・ビット連携官民懇談会取りまとめ1.0」を令和7年6月に公表しました。この取りまとめは、AIの活用拡大や通信トラフィックの急増を背景に、データセンター(以下、DC)に対する需要が飛躍的に高まる中で、電力と通信インフラの効率的な整備と連携、いわゆる「ワット・ビット連携」の実現を目的としたものです。特に、電力供給と通信網が一体的に機能することで、地域分散型かつ高度なDC整備を促進し、持続可能な経済成長と地方創生の同時実現を目指しています。
背景には、DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)の推進、さらにはレジリエンスの強化といった社会的要請があります。従来、電力や通信の整備はそれぞれ独立した枠組みで進められてきましたが、こうした枠組みでは急速に拡大するDC需要に対応するには限界があります。特に、DCは大量の電力を消費し、通信の高速・大容量化も求められるため、これまで以上に両インフラの連携が求められる状況です。
本取りまとめでは、DCの立地に関する考え方として、地域における電力系統の余力情報を可視化した「ウェルカムゾーンマップ」の拡充や、既存インフラを活用した短期的な対応が強調されています。例えば、東京近郊では最大約500万kWの電力供給ポテンシャルがあり、これを活用することで新たな送電線の建設を待たずに早期対応が可能になります。また、通信インフラに関しては、低遅延・大容量・省電力が可能な「オール光ネットワーク(APN)」の導入が進められており、今後数年以内の技術実装が期待されています。
さらに、DCの地方分散と高度化を同時に進めるため、複数の新たなGW(ギガワット)級DC集積拠点を全国に設ける方針も示されました。立地条件には、電力・通信の拡張可能性や地盤の安定性、十分な産業用地の確保、交通アクセスの利便性などが挙げられています。これにより、既存の東京・大阪といったDC集中地域からの分散が進み、災害時のリスク分散や地域経済への波及効果が期待されます。
また、将来的なGPU価格の低廉化を見据えた上で、AI処理の負荷分散を目的としたワークロードシフト(WLS)の実現も視野に入っています。これにより、各地域に設置された中小規模のDCが協調的に処理を分担し、電力需給のバランスや脱炭素電源の有効活用が図れる構造を構築することが目指されています。この実現のためには、事業者間でのデータ共有、連携インターフェースの開発、技術実証などが必要不可欠となります。
エネルギー効率の面でも、取りまとめでは明確な目標が設定されています。新設されるDCについては、2029年度以降に稼働開始から2年以内にPUE(電力使用効率)を1.3以下とすることが求められ、さらに2030年度には事業者平均でPUE1.4以下の達成が努力義務とされています。これにより、エネルギー効率の高い運用が義務づけられ、無駄な電力消費の抑制とCO₂削減の両立が図られます。
また、DCの立地においては地域との共生も重要なテーマです。事業者には、建設計画や環境影響についての説明責任が求められ、地域社会と協力しながら持続可能な運営を進めていく必要があります。さらに、DC自体が地域にもたらす価値を最大化するため、地域におけるAIサービスの提供、デジタル人材の育成、地場産業のデジタル化といった取り組みが求められています。こうした取り組みは、「地方創生2.0」の実現に直結するものであり、地域の人口減少や産業の空洞化といった課題に対しても効果が見込まれています。
一方で、送配電インフラの整備には、用地交渉や施工力の確保、資材調達といった課題が伴い、長期的なリードタイムが発生することが想定されます。これに対応するため、既存の系統設備の最大活用や、事業者間での協調的な取り組みが求められています。例えば、電力が必要な事業者に対しては系統接続ルールを見直し、迅速かつ効率的な電力供給を可能とするような制度改革が進められています。
国際的な視点でも、本取りまとめは重要な示唆を提供しています。DCがグローバルな情報通信インフラの一部であることから、国際海底ケーブルの整備やIX(インターネットエクスチェンジ)の設置が計画的に進められ、国外との通信環境の強化も図られます。これにより、日本のデジタル産業の国際競争力が高まり、海外企業の誘致や新たなビジネス機会の創出につながる可能性も広がります。
このように、「ワット・ビット連携官民懇談会取りまとめ1.0」は、DCを核とした日本のデジタル社会基盤の再構築と、それに伴う地域経済の活性化、環境対応、国際競争力強化という多面的な目的を担う極めて戦略的な施策と言えます。企業の採用担当者にとっても、こうした政策動向を踏まえて、自社の技術人材ニーズや地域展開戦略、また脱炭素対応といった要素を再検討する機会となるでしょう。
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ