2025年4月29日
労務・人事ニュース
2040年までに温室効果ガス73%削減を目指す新計画、農林水産省が対策を本格化
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最終更新: 2025年5月1日 22:32
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「農林水産省地球温暖化対策計画」の改定について(農水省)
令和7年4月15日、農林水産省は「農林水産省地球温暖化対策計画」の改定を正式に発表しました。今回の改定は、気候変動への取り組みを一層強化し、農林水産業の持続可能性と環境負荷の低減を両立させるための重要な一歩となります。近年、異常気象や自然災害の頻発により、農業・林業・漁業といった基幹産業が深刻な影響を受けており、その対策は喫緊の課題とされています。こうした背景の中で改定された新たな温暖化対策計画は、科学的根拠に基づき、具体的な数値目標と行動方針を明示したものです。
この改定では、日本全体として2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする「ネット・ゼロ」目標の実現に向けて、2035年度までに2013年度比で60%、2040年度までには73%の削減を目指すことが明示されました。これは政府全体の温暖化対策計画に基づくものですが、農林水産省としてもその役割と責任を明確にするため、自らの施策を強化する形で独自に目標を再設定しています。特に注目すべきは、畜産分野や漁業を含むブルーカーボンの取り組みにおける新たな数値目標の設定です。これまで以上に温室効果ガスの排出削減と吸収促進に取り組むことが求められています。
今回の見直しでは、既存技術の最大限の活用が前提とされており、技術革新に頼るだけではなく、現在使用可能な手法を広く普及させることで、短中期的な目標達成を目指す方針が打ち出されました。畜産分野では、排出削減のための新技術導入に加え、飼料の見直しや家畜の飼養管理の最適化を通じた温室効果ガス削減に焦点が当てられています。さらに、漁業や沿岸域の藻場・干潟を活用したブルーカーボン吸収量の拡大が新たに目標として加えられ、これにより海洋資源の保全と気候変動対策の両立が進められる見通しです。
また、森林による二酸化炭素吸収量の算定方法も、今回の改定により国際基準への切り替えが行われることになりました。これにより、国際的な信頼性を担保した上で、日本の森林が果たす環境貢献を定量的に示すことが可能となり、国際的な気候変動交渉の場においても日本の取り組みが正当に評価されることが期待されています。林業分野においては、間伐や植林などの再生可能資源としての森林整備に加えて、持続可能な森林経営の推進が今後の鍵となるでしょう。
今回の地球温暖化対策計画の改定に際しては、令和7年2月18日に閣議決定された政府の温対計画や、最近策定された「食料・農業・農村基本計画」および「みどりの食料システム戦略」が密接に関連しています。これらの上位政策を踏まえた農林水産省の対策は、食料供給の安定と地球環境の保全を同時に追求するものであり、経済性と環境負荷低減のバランスを取った新たな成長戦略の一環ともいえます。
特に「みどりの食料システム戦略」は、農業生産における環境負荷を大幅に削減し、持続可能な食料システムの構築を目指すものであり、温暖化対策計画と連携しながら、多方面にわたる施策が展開される予定です。たとえば、化学肥料や農薬の使用削減、再生可能エネルギーの農業分野への導入、有機農業の推進などが挙げられます。これらの取り組みは、長期的に見れば生産者のコスト削減やブランド価値の向上にもつながる可能性があります。
農業・林業・漁業の事業者にとって、今回の改定は単なる環境対策にとどまらず、自社の経営戦略にも影響を与える重要な転換点となるでしょう。企業の採用担当者や経営層にとっても、サステナビリティに配慮した人材育成や、環境対応スキルを持つ人材の確保がより一層求められる時代に入ったことを意味しています。特に、温暖化対策が企業の社会的責任(CSR)やESG投資の観点からも評価されるようになっている現在、農林水産業に関わる企業もこうした流れを無視できなくなっています。
今後、農林水産省はこの新たな対策計画に基づき、現場での取り組み支援や補助制度の整備、関係者への情報提供などを積極的に進めるとしています。各業界の関係者は、計画の内容を的確に理解し、自社の方針と照らし合わせながら、実効性ある施策を講じていくことが求められます。温暖化対策は単なる義務ではなく、競争優位性を高めるための戦略的要素でもあることを、改めて認識する必要があるでしょう。
⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ