2025年6月27日
労務・人事ニュース
2731名の調査で浮かび上がった働く女性の40%が中等症以上の更年期症状に悩む実態と職場への影響
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「ブランクOK」/准看護師・正看護師/整形外科/リハビリテーション科/内科/クリニック
最終更新: 2025年6月26日 22:39
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「夜勤なし」/正看護師/有料老人ホーム/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年6月26日 22:39
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「夜勤なし」/准看護師/老人保健施設/介護老人保健施設/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年6月26日 22:39
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「夜勤なし」/正看護師/整形外科/リハビリテーション科/内科/病院
最終更新: 2025年6月26日 22:39
ESRI Discussion Paper No.401「働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて:インターネットパネルに基づく分析」(内閣府)
令和7年6月に公表された内閣府経済社会総合研究所のディスカッションペーパー「働く女性の更年期症状に影響を及ぼす因子の解明に向けて」は、これまで十分に明らかにされてこなかった働く女性の健康課題に焦点を当てた研究であり、企業の人事や労務管理に携わる担当者にとって極めて有用な示唆を含んでいます。特に、日本国内では45歳から54歳の女性の就業率が80%を超える中、更年期による体調不良やパフォーマンスの低下は、個人の健康にとどまらず、職場全体の生産性や職場環境にも影響を及ぼす要因となっており、早急な対応が求められています。
本研究では、インターネットパネル調査を用いて、2021年9月時点で民間調査会社に登録していた45歳から56歳までの就労女性に対し、更年期症状に関する質問票を用いた自記式調査を実施し、その有効回答数は3,645名にのぼりました。このうち、週20時間未満の有償労働者や薬剤性無月経のケースを除外し、最終的に2,731名を分析対象としています。調査では、更年期症状の評価尺度として簡略更年期指数(SMI:Simplified Menopausal Index)が用いられ、26点以上の中等症から重症とされる群は全体の40.0%に当たる1,093名にのぼりました。これは、働く女性の実に4割が日常的に中程度以上の更年期症状を抱えていることを示しており、想像以上に広範かつ深刻な問題であることが分かります。
また、医薬品の使用状況については、全体の19.4%にあたる530名が市販薬を含む医薬品などを使用して更年期症状の緩和を試みているという結果が示されました。つまり、女性就労者の約5人に1人が、症状を自覚しながらも仕事を継続しており、対症療法としての医薬品使用が広く浸透している現状が浮かび上がります。これは、医療アクセスや労働環境に対する課題の存在も示唆しており、職場での支援体制や健康管理施策の整備が求められる要因の一つといえます。
さらに分析を深めた結果、多変量ロジスティック回帰分析により更年期症状のリスク増加に有意に関連する5つの因子が明らかにされました。具体的には、BMIが25以上の過体重~肥満であること、婦人科疾患の既往歴を有すること、閉経移行期または閉経期に該当すること、5kg以上の重量物を1日1回以上持ち上げる労働環境であること、月1回以上の深夜勤務があること、以上の5点が中等症~重症の更年期症状の有訴リスクを有意に高める因子として抽出されました。これらの要素は、いずれも就労女性にとって現実的なリスク要因であり、特に業種や職種によっては回避が困難な場合も多くあります。
たとえば、医療・介護・製造業など身体的負担の大きい現場では、重量物を持ち上げる機会が日常的に存在するほか、シフト勤務による深夜労働も避けられない状況が多く見受けられます。これにより、労働そのものが更年期症状を悪化させる要因となっている可能性があり、結果として就業継続の妨げとなるリスクが高まります。一方、これらのリスク因子は、業務負担の軽減や労働時間の見直しといった職場環境の改善により、一定程度軽減できる可能性があることを示しており、企業として積極的に取り組むべき重要な課題です。
企業の採用担当者や人事労務の担当者にとっては、こうした知見を人材マネジメントに活かすことが重要です。例えば、45歳以上の女性従業員に対して定期的な健康相談の機会を設けたり、就業時間や勤務形態に柔軟性を持たせることで、更年期症状による離職やパフォーマンス低下を防ぐことが可能です。また、職場において更年期に関する理解を深める研修を導入することで、女性が働きやすい環境づくりに寄与することもできるでしょう。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ