2025年4月9日
労務・人事ニュース
4月は「再配達削減PR月間」宅配便50億個時代の挑戦、国交省主導で再配達削減に向けた実証成果を全国展開
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みんなで、減らそう、再配達! ~4月は「再配達削減PR月間」!受け取りは1回で!~(国交省)
令和7年3月25日、国土交通省は「再配達削減 PR 月間」の実施について正式に発表し、4月を再配達削減の重点月間として設定すると明らかにしました。これは、近年急速に拡大する電子商取引(EC)市場の発展に伴い、宅配便の取扱量が年々増加する一方で、再配達の多発が物流業界全体にとって深刻な課題となっていることを背景にしたものです。具体的には、令和5年度の宅配便取扱個数は約50億個に達し、その中には受取人不在による再配達が一定の割合で含まれており、配送ドライバーの労働負担やCO2排出の増加といった問題を引き起こしています。
同年度の統計によれば、我が国のEC市場規模は全体で24.8兆円に達し、物販系分野だけでも14.7兆円という大きな経済活動となっています。こうした急成長を遂げるEC業界において、物流の最終段階、いわゆる「ラストワンマイル」の効率化は極めて重要な課題となっており、その中でも再配達の削減は物流改革の核心をなしています。
国土交通省は、関係省庁や地方自治体、EC事業者、宅配事業者などと連携し、消費者の行動変容を促すための広報活動を全国規模で展開します。特に注目すべきは、政府広報との協力を通じて、ホームページやSNS、デジタルサイネージといったデジタルメディアを活用し、再配達削減の重要性をわかりやすく訴求している点です。また、動画コンテンツなども制作され、再配達削減の必要性が視覚的に伝えられています。
具体的な取り組みとしては、消費者に対し置き配、宅配ロッカー、コンビニ受取などの非対面での受取方法を積極的に選択するよう呼びかけています。現在、これらの非対面受取方法の利用率は全体の26%程度にとどまっており、さらなる利用促進が求められています。あわせて、宅配事業者が無料で提供する会員サービスを活用し、配達日時や受取場所の指定を行うことによって、初回での確実な受取を目指すよう働きかけています。こうした会員サービスの利用率も、現時点では約47%程度にとどまっており、利用促進の余地が大きく残されています。
また、民間事業者や自治体の協力体制も広がりを見せており、3月21日時点で150団体以上が再配達削減PR月間の取組に参画しています。各団体は自らのホームページに共通バナーを掲示し、SNSなどを通じて消費者に直接メッセージを届ける活動を展開中です。これにより、再配達削減というテーマが一過性のキャンペーンに終わらず、全国的な社会運動として浸透していくことが期待されています。
この取り組みは、国が策定した「物流革新に向けた政策パッケージ」に基づいたものであり、昨年10月からはポイント還元実証事業も実施されてきました。実証結果では、置き配などの非対面受取を選択した利用者が増加し、再配達削減の効果が確認されたことを受け、今年4月のPR月間ではこの流れをさらに加速させる狙いがあります。国土交通省は、今後も継続的な情報発信と啓発活動を通じて、社会全体における物流の最適化を目指す方針です。
再配達削減の推進は、物流業界の労働環境改善にも直結します。配送ドライバーの労働時間が長時間化しがちな現状において、効率的な配送ルートの構築や不在率の低下は、働き方改革の一環としても重要な意味を持ちます。また、無駄な再配達を減らすことは、環境負荷の軽減、ひいてはカーボンニュートラル実現への一助ともなります。政府が再配達削減を物流政策の柱に位置付けているのは、こうした多面的な課題解決の効果を期待してのことでもあります。
企業にとっても、この再配達削減の流れに対応することは、単に社会的責任を果たすにとどまらず、経営戦略上の利点にもつながります。たとえば、EC事業者が商品購入時に受取方法の選択肢を明確に提示し、非対面受取を推奨することで、物流コストの削減や顧客満足度の向上が実現可能です。また、宅配ロッカーや受取店舗の設置拡大、利用促進なども、ブランドイメージの向上に資する施策となり得ます。こうした取り組みを積極的に行う企業は、今後の採用活動においても、持続可能性や働きやすさといった観点から高い評価を受けやすくなります。
さらに、採用担当者の視点から見ても、こうした政府主導の取り組みは、人材確保の戦略と密接に関連しています。物流業界における人材不足が深刻化する中で、労働環境の改善に取り組む姿勢は、若年層や女性、シニア層といった多様な人材からの関心を集める要因となります。企業の労働環境が整備されていることは、求職者が安心して長期的に働ける職場であると判断する上での重要な指標となるため、再配達削減への取り組みは採用ブランディングにも好影響をもたらします。
このように、4月の「再配達削減 PR月間」は、単なる広報キャンペーンではなく、物流業界の未来を左右する大きな政策的転換点ともいえる重要な施策です。今後の展開においては、官民が一体となって行動を起こすことが求められており、企業の自発的な参加と継続的な工夫が、社会全体の効率化と環境改善につながることは間違いありません。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ