2025年6月29日
労務・人事ニュース
62.9%の女性が出身地域に愛着、Uターン希望者を活かす採用戦略とは
-
「車通勤OK」/正看護師/介護施設/研修が充実で安心
最終更新: 2025年6月28日 23:04
-
「夜勤なし」/准看護師/デイサービス/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年6月28日 23:04
-
「ブランクOK」/准看護師・正看護師/小児科/クリニック/車で通えます
最終更新: 2025年6月28日 23:04
-
「駅チカ」/准看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年6月28日 23:04
令和7年版 男女共同参画白書(内閣府)
令和7年版男女共同参画白書は、少子高齢化や人口減少が進む現代日本において、持続可能で活力ある地域社会を実現するために「男女共同参画の視点から見た魅力ある地域づくり」をテーマとして取り上げている。この白書では、特に若い世代や女性の視点を重視し、地域間の人口移動、働き方や生活意識、固定的な性別役割分担に関する現状と課題を多角的に分析している。
人口移動の観点から見ると、特に18歳から20代の若者が大学進学や就職、結婚を機に東京圏へ流出する傾向が顕著である。都道府県間移動率は男女ともに22歳で最も高く、進学や就職が大きな要因となっている。さらに興味深いのは、東京圏に移住した若者のうち、特に女性が出身地域に対する愛着を強く持ち続けている点である。調査によれば、東京圏以外出身で東京圏に住んでいる女性の62.9%が出身地域に「愛着がある」と回答しており、現住地域への愛着(37.6%)を大きく上回っている。
地域を離れる理由については、希望する進学先や就職先が少ないことが主な要因として挙げられている。女性に限って言えば、地元から離れたかった、親や周囲の干渉から逃れたかったという理由も上位に上がっている。これらは、地域における自由な選択や自己実現の機会が制限されている現状を反映している。
また、現住地域以外に住むことへの不安については、女性が「経済面での不安」(37.5%)を最も多く挙げており、次いで「希望する仕事に就けるか」(29.1%)、「買い物や交通の利便性」(26.2%)と続く。一方、男性では「仕事に就けるか」(37.2%)が最も高く、柔軟な働き方ができるかどうかという懸念も上位に位置づけられている。
仕事と家事の時間配分においても依然として大きなジェンダーギャップが存在している。6歳未満の子どもがいる夫婦世帯では、妻の家事関連時間が平均615分、夫は169分と大きな開きがある。一方、夫の仕事関連時間は446分、妻は601分であり、総合的に見て妻の方が生活全体に占める労働負荷が高くなっている。このデータは、「男性は仕事、女性は家庭」といった固定的な性別役割分担が根強く残っていることを明確に示している。
政治参加の観点では、都道府県知事に占める女性の割合がわずか4.3%(47名中2名)、市区町村長では3.7%(1,740名中64名)にとどまっている。また、都道府県議会の女性議員割合は東京都が33.1%と最も高く、その他の多くの自治体では女性の参画が依然として限定的である。企業や農業分野においても同様であり、管理職や起業者に占める女性の割合、農協の正組合員に占める女性の割合も低水準にとどまっている。
さらに、出身地域における固定的な性別役割分担意識についても、東京圏出身者に比べて地方出身者、特に女性がその存在を強く感じている傾向がある。たとえば、「家事・育児・介護は女性の仕事」「職場でのお茶出しは女性の仕事」「家を継ぐのは男性がよい」といった意識は、地域によっては30%以上の割合で「よくあった」「時々あった」と回答されており、男女の平等な役割認識には地域差が顕著である。
このような背景の中で、魅力ある地域づくりに向けた政策的アプローチが求められている。白書では、すべての人が希望に応じて活躍できる社会を実現するために、固定的な性別役割分担の見直しや、一人一人の意識改革、性別に中立でない制度の見直しが必要であると指摘している。また、働き方の多様性を確保し、共働き・共育てが当たり前になる社会を目指すために、女性の起業支援や地域限定正社員の導入、男女間の賃金格差是正などの具体的な施策が挙げられている。
地域における女性リーダーの育成・登用や、教育・研究を通じた人材育成、地域資源を活かした大学づくりなども、魅力ある地域づくりには不可欠である。特に女性の視点を取り入れた地域づくり、防災・復興、キャリア教育は、地域全体の活力向上に大きく寄与するものである。
なお、世帯構成の変化も注目すべき点である。1985年には約936万世帯だった「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」は減少し、パートタイムで働く妻を含む共働き世帯が約700万世帯に達している。フルタイムで働く妻の共働き世帯も増加傾向にあり、女性の労働参加は着実に進展しているが、未だに性別による役割期待がその進展に歯止めをかけている場面も多い。
さらに、18歳から34歳までの未婚女性の理想とするライフコースにおいても変化が見られる。令和3年の調査では、「結婚し、子どもを持ち、仕事も続ける」という両立コースが全体の34%を占め、最も支持されている。これは、現代の女性が家庭だけでなく社会でも自立した存在でありたいという価値観を反映しており、企業側もこのニーズに応える環境整備が求められている。
このように令和7年版白書は、ジェンダー平等と地域の持続的な活性化の相関関係を明らかにしつつ、社会全体の意識変容と制度設計の必要性を強く訴えている。特に企業にとっては、固定観念を打破し、性別や年齢にとらわれない多様な人材を活用することが、長期的な組織の成長と競争力の源となるであろう。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ