2025年3月27日
労務・人事ニュース
令和7年4月期の輸入小麦政府売渡価格が63,570円に!4.6%の引下げが業界に与える影響とは
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輸入小麦の政府売渡価格の改定について(農水省)
令和7年3月12日、農林水産省は輸入小麦の政府売渡価格の改定を発表し、令和7年4月期の価格を決定した。今回の改定では、直近6か月間の平均買付価格を基に算定した結果、政府売渡価格は5銘柄加重平均(税込価格)で1トンあたり63,570円となり、前期(令和6年10月期)の66,610円から4.6%引き下げられることになった。この改定は、小麦の国際価格の変動や為替レートの推移を踏まえたものであり、日本国内の食品業界に与える影響が大きい。
日本の小麦需要は約8割以上が輸入に依存しており、国内産小麦は民間流通により取引されている。一方で、国内産小麦だけでは量的・質的に需要を満たせないため、政府が国家貿易を通じて外国産小麦を計画的に輸入し、製粉企業や食品業界へ売り渡す仕組みとなっている。輸入された小麦は、主に製粉企業が加工して小麦粉にし、それを原料としてパン・麺・菓子などの二次加工製品が製造される。そのため、政府売渡価格の改定は、小麦を使用する食品業界全体に影響を与えることとなる。
今回の政府売渡価格の引下げは、令和6年9月第2週から令和7年3月第1週までの直近6か月間の平均買付価格を基に算定された結果によるものである。国際市場では、小麦価格が令和4年3月のロシアによるウクライナ侵攻後に急騰し、その後は一時的に落ち着いたものの、ロシアや黒海地域の作柄懸念などによる価格の変動が続いている。しかし、米国の主要小麦産地の天候が安定していることなどから、小麦の供給は比較的安定し、今回の価格引下げに繋がったと考えられる。また、日米貿易協定やTPP11協定の影響で、米国・カナダ・豪州産小麦についてはマークアップ(政府管理経費や国内産小麦の生産振興対策への充当分)の引下げが適用されていることも、価格引下げの要因の一つとなっている。
政府売渡価格の対象となる小麦は、用途ごとに5銘柄に分かれており、それぞれ異なる特性を持つ。カナダ産ウェスタン・レッド・スプリング(1CW)は主にパン用として使用され、たんぱく質含有量が11.5~13.0%と高いため、グルテンの形成が良好であり、ふんわりとした食感のパン作りに適している。アメリカ産ダーク・ノーザン・スプリング(DNS)もパンや中華麺用として利用され、同様に高たんぱく質の特徴を持つ。アメリカ産ハード・レッド・ウィンター(HRW)は、パンだけでなく中華麺にも使用される。オーストラリア産スタンダード・ホワイト(ASW)は主に日本の麺文化に適しており、うどんやラーメンの原料として重要な役割を果たしている。アメリカ産ウェスタン・ホワイト(WW)は菓子用として広く利用され、ケーキやビスケットなどの焼き菓子の生地に適している。このように、輸入小麦は用途に応じて適切な品種が選ばれ、国内の食品製造業に供給されている。
日本国内の小麦流通の現状を見ると、年間の輸入小麦総量は約458万トンであり、国別の内訳ではアメリカ産が211万トン、カナダ産が169万トン、オーストラリア産が77万トンとなっている。これらの輸入小麦は、パン・麺・菓子用などの用途に538万トン、みそ・醤油用に10万トンが供給され、製粉業者や食品メーカーを経由して最終消費者に届けられる。国内産小麦は年間90万トン程度の生産量にとどまり、日本の小麦需要全体を補うには十分ではないため、輸入小麦の価格動向が市場に与える影響は非常に大きい。
政府売渡価格は年に2回(4月期と10月期)改定され、直近6か月間の買付価格の平均値をベースに算定される。これにより、国際相場の急激な変動の影響を緩和し、国内市場への価格転嫁をできるだけ安定させる仕組みが取られている。過去の価格推移を見ると、令和4年4月期には1トンあたり86,850円と過去最高値を記録し、その後は緩やかに低下してきた。令和6年10月期には66,610円となり、今回の改定で63,570円となる。このような価格変動の背景には、国際市場における小麦価格の変動だけでなく、為替相場の影響も大きい。令和7年4月期の算定期間における平均為替レートは1ドル152.7円であり、過去最高水準の円安水準が続いている。円安は輸入コストを押し上げる要因となるが、今回の価格引下げは主に小麦の国際価格の安定による影響が大きいと考えられる。
輸入小麦の政府売渡価格の引下げは、パンや麺類など小麦を原料とする食品業界にとってコスト面での好材料となる。特に、最近の物価上昇に伴い、食品価格の高騰が家計に与える影響が懸念される中、小麦価格の下落は消費者にとっても歓迎すべきニュースといえる。ただし、小麦粉を使用する製品の価格にどの程度反映されるかは、流通コストや人件費、エネルギー価格などの要因によるため、今後の市場動向を注視する必要がある。
⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ