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2025年4月17日

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外国クルーズ船寄港が年間2,000回以上目標、旅客受入体制を担う港湾マネジメント人材が急務に

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「クルーズ旅客の受入機能高度化に関するガイドライン」を公表します ~クルーズ旅客のさらなる利便性や安全性向上に向けて~(国交省)

2025年3月31日、国土交通省港湾局は「クルーズ旅客の受入機能高度化に関するガイドライン」を策定・公表した。このガイドラインは、国際クルーズの運航が本格的に再開されてから2年目を迎える現時点において、外国クルーズ船の寄港回数2,000回超という観光立国推進基本計画の達成を視野に、港湾におけるクルーズ旅客受入機能の向上を目指した施策である。寄港地としての魅力を高め、観光客の満足度を高めることで、リピート寄港を含めた寄港の誘致を促進する狙いがある。

近年、クルーズ旅客の動向に関しては、単なる観光資源としての価値にとどまらず、地域経済や港湾インフラの高度化を促す重要な成長因子としての認識が高まっている。特にクルーズ船の寄港が集中する港湾では、乗下船時の混雑緩和、バリアフリー対応、旅客のスムーズな移動支援といった利便性の向上が求められており、安全対策を含めた受入体制の充実が喫緊の課題とされている。このような背景を踏まえ、国土交通省はクルーズ旅客受入施設の整備にあたる港湾管理者や関係事業者に向けた指針を明確にし、港湾施設の整備・運営における一貫性と品質向上を図ることを目的としてガイドラインを策定した。

ガイドラインの構成は、クルーズ船の寄港形態を「発着港型」や「寄港港型」などに分類し、それぞれの寄港形態に応じて必要とされる受入施設や機能を体系的に整理したものである。水域施設、係留施設といった物理的なインフラだけでなく、旅客動線の円滑化を図るためのICTシステム、旅客受入施設の付加価値機能、さらには施設の管理・運営体制の確立に至るまで多面的な要素が取り上げられている。また、クルーズ旅客の次なる移動手段として重要視される海上二次交通へのスムーズな接続についても、具体的な設備整備や導線設計のポイントが示されている。

港湾施設の整備においては、これまで貨物輸送を中心とした機能強化が主眼とされてきたが、近年は観光客、特にインバウンド旅客の増加に対応する形で、旅客対応の質が問われるようになっている。たとえば、外国人クルーズ旅客にとっては、港から市内中心部や主要観光地までのアクセス、情報案内の多言語対応、セキュリティチェックの迅速化などが利用満足度に大きな影響を与える。これらの課題を総合的に解決するためには、港湾の受入機能を単なるインフラとして捉えるのではなく、空港やターミナルと同様の旅客サービス拠点として再定義することが求められる。

企業にとってもこのガイドラインは重要な意味を持つ。特に港湾開発や観光関連事業を展開する企業にとっては、今後の港湾整備事業への参画可能性が広がると同時に、観光産業との連携強化によって新たな事業機会が創出されることになる。また、公共事業の発注においては、ガイドラインに準拠した施設整備が前提となる場合も予想されるため、設計・施工・運営の各段階で高い専門性が求められる。

採用の観点からは、港湾整備・観光開発に関する新たなスキルを持つ人材の需要が高まることが確実である。たとえば、交通動線の最適化やバリアフリー設計に精通した設計技術者、ICTを活用した旅客案内システムの開発を担うエンジニア、多言語対応の旅客サービスを提供できるカスタマーサポート職、さらには港湾施設の運営マネジメントを担うプロジェクトマネージャーなど、幅広い分野での人材確保が必要となる。また、行政との連携や補助制度の活用に精通した法務・経理人材も、今後の事業展開を支える重要な存在となるだろう。

クルーズ旅客数が今後さらに増加すると見込まれる中で、港湾の受入体制を強化することは単に観光需要に応えるだけでなく、地域経済の活性化や国際的な交通結節点としての競争力強化にもつながる。そのためには、インフラ整備だけでなく、それを運用・管理する人材の質が極めて重要であり、企業は人材投資を戦略的に進める必要がある。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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