2025年4月16日
労務・人事ニュース
2023年度実績 Sクラス事業者が全体の52.7%に到達、環境対応力で差がつく省エネマネジメント人材の需要が急増
- 「夜勤なし」/准看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 「駅チカ」/正看護師/美容クリニック/ブランクのある方も歓迎
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- 「残業ゼロ」/正看護師/介護施設/住宅補助あり
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- 栄養士/2025年5月2日更新
最終更新: 2025年5月2日 08:31
省エネ法定期報告書(2023年度実績)に基づく省エネ優良事業者を決定しました(経産省)
2025年3月31日、資源エネルギー庁は2023年度のエネルギー使用実績に基づき、省エネ優良事業者、いわゆるSクラス事業者の選定結果を公表した。これはエネルギーの効率的な使用や非化石エネルギーの導入を推進することを目的に定められた「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」、いわゆる省エネ法に基づくものであり、毎年エネルギー使用量が一定以上の事業者を対象として実施されている。今回の公表は、持続可能な社会の実現に向けた企業の取組状況を可視化するものであり、各企業にとっても経営戦略上の重要な指標となる。
省エネ法では、年間エネルギー使用量(原油換算)1,500キロリットル以上の事業者を「特定事業者等」として指定しており、これらの事業者には毎年度のエネルギー使用実績の報告が義務付けられている。報告内容を基に、国は事業者をS(優良)・A(一般)・B(停滞)の3つのクラスに分類し、特に優れた取組を行ったと認められるSクラスについては、公式にその名を公表する仕組みとなっている。これは、企業の取り組み姿勢を外部に示す手段としても活用され、環境経営の指標としても注目されている。
2023年度の報告を分析した結果、クラス分け対象となった10,588の事業者のうち、Sクラスに該当したのは全体の52.7%であり、前年の52.0%から0.7ポイント増加した。Aクラスは31.8%で前年比2.1ポイント減、Bクラスは15.5%で1.4ポイントの増加となった。この結果から、依然として半数以上の事業者が高水準の省エネ活動を継続していることが明らかになった一方で、省エネの取組が停滞しているとされるBクラスの割合もわずかながら増加している点は注視すべき傾向といえる。
Sクラスに認定されるためには、5年間の平均でエネルギー消費原単位を毎年1%以上低減する、あるいはベンチマーク制度で定められた業種・分野ごとの省エネ水準を達成する必要がある。これに加え、報告書や中長期計画書の提出に遅延がないことも要件となっており、単にエネルギー消費を抑えるだけでなく、計画的・継続的に取り組んでいるかが評価される。つまり、Sクラスの取得は形式的な報告だけでは得られず、実際の成果とマネジメント体制の双方が問われる厳しい指標である。
一方で、Bクラスと判定された事業者の割合が増加した背景には、エネルギー価格の変動や人材不足、設備投資の先送りといった外部要因の影響が指摘されている。とりわけ中小企業においては、エネルギー管理の専任担当者が確保できない、老朽化した設備の更新が進まないといった課題が依然として存在し、省エネへの取り組みに格差が生じている可能性もある。これに対し、行政は支援制度の拡充やベストプラクティスの共有を通じて、全体の底上げを図る必要がある。
このような省エネ活動の評価は、企業の対外的な評価やブランド価値にも大きく影響する。環境・社会・ガバナンス(ESG)投資が拡大する中で、Sクラスの取得は投資家や取引先からの信頼を高める材料となり、サプライチェーン全体での環境対応強化にも寄与する。さらに、Sクラス認定を受けた企業では、社員の環境意識が向上するだけでなく、採用活動においても「環境に配慮する企業」として若年層からの支持を集める傾向にある。
企業の採用担当者にとって、このような動きは特に重要である。今後、環境経営を推進する企業では、エネルギー管理やカーボンニュートラル対応に特化した人材の採用が加速することが予想される。たとえば、エネルギーデータの収集・分析を担うエネルギーアナリスト、省エネ施策を企画・推進するエネルギーマネジメント担当、さらには企業全体の脱炭素戦略を統括するサステナビリティ部門の責任者など、多様な職種でのニーズが高まっている。また、制度や法律に関する知識を持つコンプライアンス担当者、補助金や制度活用を支援する事務系人材も必要とされており、これらの分野での人材育成・確保は、今後の成長戦略を支えるカギとなる。
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