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2025年4月15日

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全国119技術を網羅、上下水道DX技術カタログが指し示す3年後のインフラ標準像

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上下水道DX 技術カタログを公開します ~上下水道施設のメンテナンスの高度化・効率化に向けて~(国交省)

令和7年3月28日、国土交通省は全国の上下水道施設における維持管理業務の効率化と高度化を目的として、「上下水道DX技術カタログ」を正式に公開しました。この取り組みは、急速に進む施設の老朽化、そして経験豊富な職員の退職や減少による人材難といった課題に対応するため、デジタル技術の積極的導入によって上下水道運営の持続性を高めることを狙ったものです。カタログには、点検調査、劣化予測、情報管理といった3つの分野に活用できる先進技術が網羅されており、水道分野で73技術、下水道分野で91技術、合計119技術が掲載されています。一部技術は水道・下水道の両方にまたがって活用できるものも含まれています。

このカタログが示す最大のポイントは、今後3年程度を目安に全国の上下水道事業体においてDX技術を標準実装できる体制の構築を目指していることです。従来の人手に依存する維持管理体制から脱却し、AI、IoT、ビッグデータ、ロボティクスといった先端技術を取り入れることで、より効率的かつ正確なメンテナンスが可能になる未来像を描いています。

注目すべき技術の一つとして、ドローンを用いた管路内の調査技術があります。この技術は、人が立ち入ることが困難な狭小空間や、硫化水素などの有害ガスが滞留するリスクのある環境下でも、安全な場所からリモート操作によって調査が可能となるものです。従来、こうした環境では作業員の安全確保のために多大な準備と費用が必要でしたが、このドローン技術により、点検時間の短縮と作業者の安全性の確保が両立できるようになっています。

また、地中レーダを用いた空洞調査技術も、インフラの健全性確認において革新的な役割を果たしています。背面空洞や覆工厚さを非破壊で連続的に検査することが可能となり、地中の変状をいち早く発見して早期対策につなげることができます。この技術は、道路陥没などの重大事故を未然に防ぐための鍵を握るものとして、全国の導入が期待されます。

さらに、打音調査(衝撃弾性波法)による管路の健全度評価技術では、管に軽い衝撃を与えて生じる振動を加速度センサで計測し、劣化度や安全性を定量的に把握することが可能です。この技術により、感覚や経験に頼っていた評価を科学的に裏付け、点検の客観性と再現性を飛躍的に高めることができます。こうした非破壊検査技術の普及は、年間点検コストの削減にもつながり、特に財政制約の厳しい地方自治体にとっては極めて有効なソリューションです。

AIやビッグデータ解析を活用した劣化予測技術も大きな注目を集めています。過去の点検データや設備運用履歴をもとに、機械学習によって将来の劣化傾向を予測することで、事前に修繕・更新計画を立てることが可能になります。これにより、突発的な故障のリスクを大幅に減らすと同時に、予算の平準化と計画的な投資が実現します。こうした技術は、上下水道に限らず他の公共インフラにも応用可能であり、自治体のインフラ戦略における重要な柱となるでしょう。

さらに、施設情報の管理・活用においては、スマートメーターやIoTセンサーによるリアルタイム監視、人工衛星による広域把握、ロボットによる自動点検など、多様な技術が紹介されています。これらはすべて、ヒューマンエラーを最小限に抑え、業務の属人化を解消するための基盤となるものであり、長期的には人材不足の解消にも貢献します。

こうした技術の導入にあたっては、利用者が希望する条件を選択して該当技術を効率的に検索できるオンラインインターフェースも用意されています。検索条件としては、対象施設(取水施設、浄水施設、管路施設など)、目的(点検、予測、情報管理など)、要素技術(AI、ドローン、センサー等)を選ぶことができ、各技術には導入実績やコスト試算、導入自治体のコメントなども掲載されているため、導入前の参考情報としても非常に有用です。

たとえば、TVカメラ調査や衝撃弾性波検査による調査の試算では、1,000m(管径250mm)の管路に対して約2,800円/mのコストが見込まれており、これは従来の調査と比べても高いコストパフォーマンスを示しています。また、東京都水道局では令和5年度末時点で900件以上の導入実績があるなど、大都市を中心に先行的な運用が進んでいることも明らかになっています。

企業の採用担当者にとって、こうした技術革新は大きな意味を持ちます。まず、次世代の上下水道技術に精通した人材へのニーズが高まっていること、さらに、デジタル技術を活用することにより、従来専門的知識を要していた作業が標準化され、若手や未経験者でも比較的短期間で即戦力として育成できる体制が整いつつある点です。これにより、人材の多様化や再雇用の推進、さらには技術者不足解消の糸口となる可能性があります。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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