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2025年4月14日

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2025年から本格運用へ、5機までの自動航行を安全に実現する新指針公表

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ドローンの多数機同時運航を安全に行うためのガイドラインの策定について ~ドローンの多数機同時運航の普及拡大を通じてドローンの事業化を推進していきます~(国交省)

令和7年3月28日、国土交通省航空局は、今後ますます拡大が見込まれる無人航空機、いわゆるドローンの多数機同時運航に関して、これまでにない新たな運用ガイドラインを策定したと発表しました。このガイドラインは、操縦者1人が複数台のドローンを同時に操作するような運用形態に対応し、より安全かつ効率的な業務運航を実現することを目的としたものです。無人航空機の社会実装が進む中で、ドローンによる農業支援、インフラ点検、災害対応、物流など、さまざまな分野において同時に複数機を飛行させるニーズが高まりを見せており、今回のガイドライン策定は、事業者側の実務的なニーズと安全性確保の両立を図る重要な一歩となります。

この新しいガイドラインの対象となるのは、操縦者1人につき最大5機までの同時運航、いわゆる「1対5」の運用です。対象の飛行形態は、補助者を配置しない目視外飛行である「レベル3」および「レベル3.5」の飛行であり、現段階では、より高いリスクが伴う「レベル4」の飛行や、ドローンショーなどで用いられる目視内の多数機運航は含まれていません。特にレベル3.5においては、運航管理や立入管理の負担軽減が可能となった新制度であり、今後の実用展開においても大きな役割を担うものとされています。

ガイドラインの策定にあたっては、2024年10月に発足した「多数機同時運航の普及拡大に向けたスタディグループ」にて議論が重ねられ、ANAホールディングスや日本郵便、日本航空、KDDIなど、国内を代表するドローン事業者や通信・物流大手が参加しました。これにより、実運用に基づいた実証データや課題が多数取りまとめられ、現実的で効果的なガイドライン構成となった点は、民間と行政の協働の好例といえるでしょう。

具体的な運航条件としては、機体には自動操縦機能、カメラによる外部監視機能、そしてフェールセーフ機能(非常時の安全確保機能)の搭載が求められています。操縦者は、複数機の異常発生時にも冷静かつ適切に対応できる知識と能力、そして実機を使用した訓練を経ている必要があります。また、運航管理体制として、操縦者の負荷を軽減するために、複数機の運航状況を瞬時に把握できる監視システムの導入や、画面設計上の工夫(ポップアップ通知機能など)も強く推奨されています。

このように、操縦者の技術や判断力に依存する要素が大きいため、1人あたり5機までという制限が現在の上限とされていますが、将来的にはAIや自律航行技術の進展により、この制限が緩和される可能性があるとも示唆されています。実際、現在もKDDIやNEXT DELIVERY、日本航空などにおいて、操縦者1人で2~5機を運航する実証が行われており、山梨県や北海道、さらには災害時の石川県など、地域や用途に応じた柔軟な活用事例が増加しています。

また、今回のガイドラインでは、運航時に想定されるリスクの可視化と対策にも重点が置かれています。特に「多数機同時運航中の監視の不備」、「機体の制御不能」、「機体間の意図しない接近」といった三大リスクに対し、それぞれ具体的な予防策と回復策が整理されており、現場での対応力向上に寄与します。例えば、ポップアップによる注意喚起、バッテリー残量のリアルタイム表示、通信遮断時の緊急着陸など、事前に備えるべき対策が明示されています。

さらに、ガイドラインに則った運航を申請する際には、飛行許可や承認を簡略化する手続きが用意されており、実績ある運航方法を再申請する場合には、過去の申請内容を引用することで審査の迅速化が図られています。これにより、事業者側の事務的な負担を軽減し、スピーディーな実装が期待されます。

多数機同時運航の実用化は、労働力不足の解消や業務効率化といった社会的課題に対する大きなソリューションとなり得ますが、安全性の担保が絶対条件です。今回のガイドラインは、そのバランスを高い次元で成立させることを目指したものであり、今後も運用実績や技術進化に応じて段階的な見直しが行われる予定です。関係者の協力を得ながら、より柔軟かつ高度な運用体制を築いていくことが求められます。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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