2025年4月14日
労務・人事ニュース
2025年までに4回開催、ウラノス・エコシステムの「信頼」構築へ向けた実践的報告書を公表
- 「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/車で通えます
最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/残業ありません
最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 「夜勤なし」/正看護師/介護施設/車で通えます
最終更新: 2025年5月1日 22:32
ウラノス・エコシステムにおける産業データ連携の促進に向けた「トラスト」のあり方に関する報告書を取りまとめました(経産省)
2025年3月28日、経済産業省は「ウラノス・エコシステム」の推進に向けた重要なステップとして、産業データ連携における「トラスト」のあり方について検討を重ねてきた研究会の成果を「報告書」として取りまとめ、公表しました。ウラノス・エコシステムとは、信頼性のある自由なデータ流通、すなわちDFFT(Data Free Flow with Trust)の概念に基づき、産業横断的にデータの利活用を促進するための枠組みです。異なる業界や企業間で安全かつ円滑にデータを共有・連携し、社会全体のデジタルトランスフォーメーションを加速することを目的としています。そのためには、技術的な整備だけではなく、データの正確性や発信元の信頼性を担保する「トラスト」が不可欠であり、今回の報告書はその実装に向けた基盤づくりを支えるものとなっています。
本報告書は、2024年11月から2025年3月までの間に全4回開催された研究会の成果をもとに作成されました。研究会には、自動車、電力、通信、金融、鉄道、化学物質管理など多岐にわたる分野の企業関係者に加え、トラストやデータガバナンスの専門家が参加しました。議論は、産業ごとの具体的なユースケースに基づいて進められ、それぞれの連携対象となるデータや関係する事業者の構成、連携の際に想定されるリスク要因、求められるトラスト水準などが詳細に分析されました。また、経済産業省が2022年に公表した「協調的なデータ利活用に向けたデータマネジメント・フレームワーク」も分析手法として活用され、国内外の動向をふまえた高度な検討が行われています。
報告書の中で特に注目されるのは、産業データ連携に伴うリスクを三つの主要カテゴリに整理している点です。第一に「事業者」に関するリスク、つまりデータをやり取りする主体が実在し、正当な権限を持つ信頼できる相手であるかどうかという点です。これは、ほぼすべてのユースケースに共通する基盤的なリスクであり、分野を超えて官民で共通の仕組みを整備することが有効とされました。例えば、法人情報の信頼性を確保するためには、公的データベースとの照合やデジタル認証の導入が鍵となります。
第二に「データ」そのものの信頼性、すなわち正確で改ざんされていないか、出どころが明確かといった点が整理されました。これはユースケースによって求められる要素や精度が異なるため、個別のデータ特性や用途に応じた対応が合理的であると結論づけられています。第三は「連携基盤等」に関するリスクで、具体的にはネットワークやプラットフォームのセキュリティ、運営主体の中立性、障害発生時の対応能力などが含まれます。こちらも産業ごとの事情やデータの重要度により求められるレベルが異なるため、個別最適のアプローチが推奨されています。
このように、「トラスト」を単一の基準やチェックリストではなく、多層的かつ用途ごとに構成された評価軸として捉え、適切なバランスで設計・運用していくことが、本報告書の基本的なスタンスです。そのうえで、産業全体で連携を深めるためには、共通する部分に関しては国主導での仕組みづくりが望ましく、それによって企業の導入負担を軽減しつつ、信頼性のあるデータエコシステムを構築することが期待されています。
この報告書は、ウラノス・エコシステムの一翼を担う存在であるだけでなく、実際に産業データ連携に取り組むすべての企業、ITベンダー、システムインテグレーター、またデータ提供・利用の双方の立場にある企業にとって、実務に役立つ指針を提供しています。とくに、自社内のデータガバナンス体制を見直したい企業や、新規に業界間連携を始めたいと考える企業にとっては、ユースケースベースで整理されたリスクと対応策の一覧は極めて実用的です。
また、採用の観点からも「データの信頼性と社会的インフラの構築に関わる仕事」というメッセージは、若年層を中心に強い訴求力を持ちます。デジタル社会の根幹を支えるこうした活動に携わることは、技術者やプロジェクトマネージャーにとって大きなやりがいを感じられる分野であり、企業がこうした国の取り組みに積極的に関与していることを対外的に発信することは、採用力の強化にもつながるでしょう。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ