2025年4月13日
労務・人事ニュース
能登半島地震で最大4m隆起・3m変位、災害対応力が問われる企業のBCP対策最前線
- 「夜勤なし」/准看護師/介護施設/残業ありません
最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年5月1日 22:32
令和7年(2025年)春号(地震本部)
令和7年春に発行された「地震本部ニュース」は、2024年に発生した能登半島地震を中心に、地震調査研究推進本部が実施した最新の調査研究成果と今後の方向性を紹介する内容となっており、企業におけるリスクマネジメントや採用戦略に直結する重要な情報を多数含んでいます。特に南海トラフ地震への備えを目的とした5年間の調査研究プロジェクトの成果は、事業継続計画(BCP)や地域との連携、従業員の安全確保において極めて実践的な示唆を提供しています。
まず注目されるのは、2024年1月1日に発生したマグニチュード7.6の令和6年能登半島地震に関する詳細な分析です。この地震は、地震活動が長期にわたって活発であった能登半島の北東部を震源とし、150kmにおよぶ断層帯が関与したと推定されています。地殻変動の観測によっては、輪島市で最大4メートルの隆起、珠洲市北部で最大3メートルの西向き変動が検出されるなど、想定を上回る大規模な地殻変動が観測されました。このような事象は、従業員の通勤ルートや生活基盤に直結するリスクであると同時に、物流や通信といった社会インフラの安定性に重大な影響を与えます。
この地震を契機として、南海トラフ地震への備えを目的に開始された調査研究プロジェクトでは、「地殻活動情報創成研究」「地震防災情報創成研究」「創成情報発信研究」の3つのサブ課題が展開されました。特に地殻活動情報創成研究では、海陸統合型の3D地下構造モデルの構築を進め、震源決定の高精度化と迅速化を実現しました。これにより、これまで1時間以上を要していた断層すべり分布の推定が、わずか5分以内で誤差評価付きの情報として提供可能になり、実際に能登半島地震では発生から4分で初期断層ずれの推定に成功しました。
この技術の進展は、企業のBCP策定や初動対応において重要な意味を持ちます。震源の位置や断層すべり量が即時に把握されることで、被災リスクの高い拠点や社員の安全確認、避難判断の迅速化が可能となり、対応の遅れによる人的・物的被害の最小化につながるからです。さらに、この地殻変動情報は、日本全国への展開が視野に入れられており、北海道や三陸沖などの後発地震注意情報が運用される地域にも今後適用が期待されています。
一方、地震防災情報創成研究では、南海トラフ地震に対するハザード評価とリスク評価を統合した防災基盤シミュレータの開発が進められました。このシミュレータは、強震動や津波の発生予測だけでなく、企業や自治体がとるべき対応のタイムラインをシナリオ化し、リアルタイムでの状況把握と意思決定を支援する機能を備えています。具体的には、「半割れ地震」と呼ばれるマグニチュード8クラスの地震が発生した場合の避難効果を試算したところ、事前避難によって最大20%の死者数軽減が可能であるとの結果が示されました。この数値は、企業が従業員やその家族の安全確保を目的に、災害時の柔軟な勤務体制や早期帰宅ルールを整備する際の裏付け資料として活用できるものです。
さらに注目されるのが、創成情報発信研究の成果です。ここでは、全国100以上の機関と連携し、防災リテラシーの向上と地域防災力の強化に向けた情報共有が行われました。防災教育に関するアンケートでは、1,800件以上の回答が得られ、授業前後の意識変化が数値として可視化されるなど、知識が行動へと転換される過程が明らかになりました。企業にとっては、従業員向け防災研修の実施や、地域との協働による啓発活動の企画など、社会的責任と安全確保の両立を図る取り組みに役立つ内容です。
また、首都圏のような都市部における長周期地震動によるエレベーター障害の影響評価や、機械学習を用いた災害シナリオの自動生成技術の導入により、大都市機能の維持と迅速な復旧に貢献する新たな手法も確立されています。とりわけ、高層ビルの集中するエリアで事業を展開する企業にとっては、こうした情報は非常に実用的であり、建物の構造特性や立地に応じた対応策の策定に直結します。
これらの研究成果は、地震本部による長期評価とともに、今後の強震動評価や地震動予測地図の高度化にも反映される予定です。すでに関東・東海地域では、浅部と深部を統合した地盤構造モデルの公開が始まっており、より精度の高い地震動増幅率の評価が可能となっています。これは企業の耐震設計や建物評価、保険料率の算定などにも影響を及ぼす分野であり、構造物の安全性を可視化するための技術的裏付けとなるものです。
地震という自然災害のリスクは、もはや一部の地域に限定される問題ではなく、日本全国に共通する経営課題の一つです。そのため、企業の採用活動においても、働く環境の安全性や、災害発生時の対応力は応募者が企業を選ぶ上で重要な判断材料となっており、防災対策の充実度が企業イメージの向上に直結する時代になっています。
⇒ 詳しくは地震本部のWEBサイトへ