2025年4月9日
労務・人事ニュース
正社員が48ポイント不足、建設業と技術系分野で人手不足が顕著に(労働経済動向調査 令和7年2月)
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最終更新: 2025年5月2日 22:31
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労働経済動向調査(令和7年2月)の概況(厚労省)
令和7年2月に厚生労働省が実施した「労働経済動向調査」の結果が公表され、国内の雇用状況や労働者の過不足、正社員への登用、中途採用、新卒採用内定状況などについて、最新の傾向が明らかになりました。この調査は全国の常用労働者30人以上を雇用する5,786の民間事業所を対象に行われ、そのうち2,996事業所から有効な回答が得られたものです。特に今回は、景気の変動が雇用に与える影響を把握することに加え、新規学卒者の採用内定状況や、非正規労働者の正社員化の実態に焦点を当てた特別項目も調査されました。
まず正社員等の労働者については、依然として人手不足の傾向が続いており、労働者過不足判断D.I.は+48ポイントという結果となりました。これは「不足」と感じている事業所が「過剰」と感じている事業所を48ポイント上回っていることを意味します。特に不足感が強い業種としては、建設業が+61ポイント、学術研究・専門・技術サービス業が+63ポイント、情報通信業が+58ポイント、運輸業・郵便業が+58ポイント、医療・福祉が+58ポイントとなっており、いずれも高度な専門性や人的サービスを必要とする分野で深刻な人材不足が生じている実態が浮かび上がっています。
一方、パートタイム労働者に関しても人手不足感は根強く、D.I.は+30ポイントでした。宿泊業・飲食サービス業では+52ポイント、生活関連サービス業・娯楽業では+40ポイント、サービス業(他に分類されないもの)では+50ポイントと高い水準を維持しています。これらの業種は、サービス提供の最前線で人員が求められることから、雇用の流動性が高い反面、安定した人材確保が難しい状況が続いています。
さらに、雇用の実態に目を向けると、令和7年1〜3月期における正社員の雇用判断D.I.は+6ポイント、4〜6月期の見込みでも+7ポイントとプラス圏を維持しています。特に学術研究・専門・技術サービス業で+17ポイント、情報通信業で+14ポイント、製造業で+11ポイントなど、企業の採用意欲が高いことが分かります。これは企業側が高度人材の確保に積極的であることを示しており、デジタル分野や研究開発職の採用競争が今後さらに激化していく可能性を示唆しています。
パートタイム雇用の見通しも改善傾向にあり、4〜6月期の雇用判断D.I.は+3ポイントでした。宿泊業・飲食サービス業では+15ポイント、生活関連サービス業・娯楽業では+10ポイント、不動産業・物品賃貸業でも+7ポイントと、多くの業種で雇用増加の兆しが見られています。ただし、金融業・保険業ではマイナス3ポイントとなっており、業種ごとの温度差も顕著です。
未充足求人に関しては、全体で60%の事業所が「欠員がある」と回答しており、医療・福祉とサービス業では70%と、特に深刻な状況が続いています。欠員率は平均で3.3%、運輸業・郵便業では4.9%、宿泊業・飲食サービス業では5.0%、サービス業では5.4%にのぼっており、特定業種において人材確保の難しさが顕著です。企業の採用担当者にとっては、業界ごとの欠員率や人材需給の偏りを把握し、自社の人材戦略にどう取り入れるかが問われています。
さらに、新規学卒者の採用内定状況にも注目が集まっています。調査によると、採用計画を立てていたにもかかわらず、内定が計画数に達していない事業所の割合が、専修学校卒で60%、高専・短大卒で59%、大学卒(文科系)で48%と、依然として高い水準にあります。大学卒については「計画通り内定した」事業所が47%と、ほぼ拮抗しており、計画通りの採用が難しい状況が続いています。企業規模が小さい事業所ほど、採用目標未達成の割合が高い傾向が見られ、若手人材の確保が企業の規模によって困難さに差があることも明らかになりました。
中途採用の実績を見ると、令和6年10〜12月期には65%の事業所が中途採用を実施しており、前年同期より3ポイントの減少となりました。業種別では、医療・福祉が71%、学術研究・専門・技術サービス業が64%、情報通信業が69%と高く、引き続き経験者採用へのニーズが高まっています。一方で建設業では50%、不動産業では69%と、業種によってバラツキが見られます。こうした動きは、既存社員の離職防止策やキャリア採用の在り方を再検討する必要があることを示しています。
最後に、非正規労働者から正社員への登用状況についても調査が行われました。調査によると、正社員以外の労働者を正社員に登用した事業所は調査産業全体で26%にとどまりました。登用実績がある事業所の割合は、情報通信業で38%、製造業で32%、卸売・小売業で28%と一定の水準にある一方で、宿泊業・飲食サービス業では19%、サービス業で22%とやや低い水準にとどまっており、働き方の多様性と雇用の安定のバランスが求められています。
このように、今回の調査結果からは、国内企業の人材確保がますます困難になる中で、雇用の柔軟性を保ちながらも、人材を育成し、定着させる仕組みづくりが急務であることが明らかになりました。特に企業の採用担当者にとっては、業界ごとの人材不足状況や雇用動向を正確に読み解き、自社の採用戦略や人事施策を見直す上で、極めて実践的なデータといえます。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ