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2025年4月8日

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19歳以下の相談件数5,034件、スマホ課金とSNS広告による未成年者トラブルが全国で多発(令和7年3月公表)

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PIO-NETデータを用いた消費生活相談の地域傾向分析 <令和7年3月公表 (対象:令和6年1月~3月のデータ)>(消費者庁)

2025年3月に公表された全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)を活用した地域傾向分析は、消費者から寄せられる相談情報をもとに、年代別および地域別に消費者トラブルの傾向を詳細に明らかにしたものであり、テキストマイニング技術を駆使した高度な分析が特徴です。今回の分析では、2024年1月から3月までの3か月間に寄せられた相談情報を対象に、トピックモデリングという技法を用いて、相談の主なテーマや出現キーワードを抽出し、それらが地域や年代によってどのように異なるかを可視化しています。このような分析は、消費者被害の未然防止や、特定の世代・地域に合わせた啓発施策の立案に活用できる重要な知見を提供しています。

まず、年代別の傾向を見ると、19歳以下の若年層においては、「スマホ」や「ゲーム」、「課金」といったキーワードが全国的に多く見られ、特にオンラインゲームへの無断課金に関する相談が目立っています。多くの事例では、未成年の子どもが保護者の知らないうちにスマートフォンからクレジットカードを使ってゲームに課金してしまい、高額請求を受けたことでトラブルが発生しています。また、SNSで見かけた広告を通じて化粧品や健康食品などを購入し、その後に定期購入契約であることが判明するケースも散見され、こうした「お試し商品」による誤認契約が社会問題化していることが浮き彫りとなっています。特に四国地方では、定期購入に関する相談が他地域よりも多いという特徴が見られました。

続く20~39歳の層では、「契約」「サイト」「電話」といったキーワードが中心に見られ、SNS広告から副業サイトへの登録や、脱毛エステの契約、賃貸物件の退去トラブルといった内容が多く報告されています。この年代層では、インターネットやSNSを介した情報接触の頻度が高いことから、ネット広告をきっかけとした誤認契約や高額請求のトラブルが多発しており、副業詐欺や美容関連サービスの勧誘なども主な相談内容として挙げられています。また、春先の時期的要因も影響し、引っ越しに伴う賃貸契約関連のトラブルも多く見られたのが特徴です。これらの相談事例は、契約時の説明と実際の内容に乖離があるケースが多く、消費者の認識不足や事業者側の不透明な説明が根本原因となっていると分析されています。

40~64歳の中高年層になると、「商品」「電話」「サイト」といったキーワードが目立ち、ネット通販に関するトラブルの割合が高くなります。特に、単品購入と誤認して商品を注文した結果、実際には定期購入契約であったことが後になって判明する事例が多く、解約や返金を求める相談が全国的に多数報告されています。また、通販サイトで商品を購入したにもかかわらず、商品が届かないという相談や、連絡先が不明な販売業者とのトラブルも多く、サイトの信頼性を見極めるスキルが求められる状況です。さらに、通信サービスの勧誘電話による契約変更や高額な請求に関する相談も多く寄せられており、電話を介した契約トラブルが依然として根強いことが明らかになっています。

65歳以上の高齢層では、「電話」「商品」「契約」といったキーワードが圧倒的に多く見られ、特に自宅への勧誘電話による詐欺的な手口が問題となっています。人工音声による督促メッセージや、電話会社を装った不審な連絡に対して個人情報を教えてしまったという相談が複数寄せられており、情報リテラシーの観点で高齢者を守る取り組みの必要性が浮き彫りとなっています。また、「無料点検」を口実に訪問して屋根の不具合を指摘し、高額な修理工事を契約させるといった悪質な業者の存在も全国的に確認されており、特に北陸地方では震災をきっかけとした工事トラブルが複数報告されています。加えて、スマートフォンを介して通販を利用した際に定期購入契約が発生し、解約方法が不明瞭であるといった新しいタイプのトラブルも、高齢層に浸透し始めていることが注目されます。

さらに、SNSに関する相談に絞った分析結果からは、「広告」「商品」「サイト」といったキーワードが共通しており、SNS上の広告から商品を注文し、実際には定期購入契約であることに気づかずトラブルになるケースが全国的に広がっていることが分かります。とりわけ「無料」や「お試し」といった表現がトリガーとなって注文に至り、その後キャンセルや返金ができないといった状況に陥る事例が多数報告されています。また、副業や投資関連のトラブルも顕著で、SNSで見かけた「簡単に稼げる」という広告をきっかけに、副業サポートの名目で高額な契約金を支払い、収入が得られない、返金されないといった深刻な被害も発生しています。特に投資に関する相談は北海道、関東、東海で多く確認され、地域によってその傾向に違いが見られることから、対策には地域特性を踏まえた啓発が求められます。

こうした分析結果は、行政機関だけでなく、企業にとっても重要な示唆を含んでいます。特に、情報商材や通信販売、美容サービス、金融商品などを取り扱う事業者にとっては、自社の提供するサービスが消費者にどのように受け止められているか、またどのようなトラブルが発生しやすいかを客観的に把握するための資料として活用できます。また、採用担当者にとっても、コンプライアンス教育や顧客対応力の育成といった観点で、社員がどのような消費者トラブルを予防できるかを学ぶ教材としても活用できるでしょう。

⇒ 詳しくは消費者庁のWEBサイトへ

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