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2025年5月11日

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全国平均2.4%、令和7年1~3月期における完全失業率低下から読み解く採用市場動向

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労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)1~3月期平均(総務省)

2025年5月2日、総務省統計局から発表された労働力調査(基本集計)によると、2025年1月から3月期における全国の就業者数は6772万人に達し、前年同期と比較して49万人の増加となったことが明らかになりました。この結果は、日本の労働市場が堅調な回復基調を維持していることを示すものです。特に就業者数の増加が32か月連続で続いており、コロナ禍からの回復を背景とした雇用環境の改善が続いていることがわかります。

同時に、完全失業者数は169万人となり、前年同期から6万人減少しました。完全失業率も原数値で2.4%となり、前年同期と比較して0.1ポイント低下しました。これらの結果は、求職者にとって職を見つけやすい環境が整いつつあり、企業にとっては人材確保が一段と重要性を増していることを示唆しています。

地域別に見ると、就業者数が前年同期に比べて増加したのは南関東、北関東・甲信、北陸、東海、近畿、中国、四国および九州地方でした。一方、北海道と東北地方では就業者数が減少し、沖縄では前年同期と同数となっています。このように地域ごとの差異が顕著に表れており、地域特性を踏まえた労働政策や企業の採用戦略が求められる局面に来ていることが読み取れます。

完全失業者数に関しては、東北、南関東、北関東・甲信、北陸、近畿で減少が見られました。特に北陸地方では完全失業率が2.0%と非常に低く、前年同期比で0.1ポイントの低下となっています。一方で、東海、四国、九州、沖縄では前年同期と同水準で推移しており、北海道と中国地方では完全失業者数が増加しました。地域ごとの経済状況や産業構造の違いが、労働市場における動向に影響を及ぼしていることがうかがえます。

完全失業率の地域別状況を見ると、最も高いのは東北地方の2.9%であり、北海道の2.6%、沖縄の2.8%と続いています。一方、最も低い完全失業率を記録したのは四国地方の1.9%であり、北陸地方の2.0%、北関東・甲信地方の2.1%と低水準の地域も存在しています。全国平均の2.4%に比べ、これらの地域では雇用の安定性が高いと考えられます。

地域別に完全失業率の前年同期比を比較すると、北海道と中国地方では0.2ポイントと0.4ポイントの上昇が見られ、労働市場にやや悪化の兆しが出ています。一方で、近畿地方では0.2ポイント低下、四国地方でも0.4ポイント低下しており、地域によって労働市場の改善スピードに違いがあることがわかります。この点を踏まえると、地域ごとの経済振興策や雇用創出政策の成果に差が出ていることが推察されます。

今回の調査結果から読み取れる重要なポイントは、労働市場全体の堅調な推移と同時に、地域間の格差が拡大している可能性がある点です。企業の採用担当者にとっては、自社がターゲットとする人材がどの地域に多く存在し、また競合となる他社の採用状況がどう変化しているのかを把握することが、今後の採用戦略において一層重要になります。特に完全失業率が高い地域では優秀な人材を確保できるチャンスがある一方、低い地域では人材獲得競争が激化する可能性が高まるため、雇用条件や職場環境の魅力を積極的に打ち出す必要があります。

また、完全失業率が下がり続けている南関東や北関東・甲信地方では、企業間の人材獲得競争がより一層激しくなることが予想されます。これに対し、北海道や中国地方では、雇用情勢が若干悪化していることから、企業にとっては新たな人材確保の機会が生まれる可能性もあります。企業の人事部門においては、地域別の労働市場動向を詳細に分析し、柔軟かつ迅速に採用戦略を見直すことが求められます。

さらに、今回の結果を踏まえると、全国的に就業者数が増加しているにもかかわらず、一部地域では就業者数の減少が見られることから、地域間の人口移動や産業構造の変化が影響を及ぼしていることも推察されます。特に若年層や女性、高齢者の就業率向上が鍵を握る局面であり、多様な働き方を認める制度整備や、柔軟な勤務形態の導入が今後さらに求められるでしょう。

今後の労働市場は、単なる量の拡大だけでなく、質の向上、すなわち高度な専門性を持つ人材や、多様なバックグラウンドを持つ人材をいかにして確保・育成できるかが大きな課題となります。今回の労働力調査のデータは、企業の採用活動のみならず、働き方改革やダイバーシティ推進に向けた重要な参考資料となるでしょう。

⇒ 詳しくは総務省統計局のWEBサイトへ

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