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2025年5月9日

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【令和7年3月調査】建設受注総額は3兆7,390億円、民間工事は15.3%増で4か月連続の上昇

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令和7年3月の建設工事受注動態統計調査(大手50社調査)結果(国交省)

国土交通省は2025年4月30日、令和7年3月分の建設工事受注動態統計調査(大手50社調査)の結果を公表しました。今回の調査では、国内の建設業界における受注の実態が詳細に示されており、特に民間工事の受注増が全体の押し上げ要因となっていることが明らかになりました。具体的には、3月の総受注額は3兆7,390億円となり、前年同月比で3.5%増加しています。これは前月の減少傾向から一転して再び増加に転じた形であり、今後の市場の回復基調を示唆する結果となっています。

民間工事の受注額は2兆6,169億円で、前年同月比15.3%の大幅増となり、4か月連続での増加を記録しました。この背景には、特にサービス業や金融業・保険業など非製造業分野での積極的な投資活動が続いていることが挙げられます。また、製造業においても前年同月比22.3%の受注増を示しており、設備投資や工場新設等が活発化している兆しが読み取れます。工事の種類別に見ると、建築・土木の両分野で増加が見られ、とりわけ建築その他、土地造成、娯楽施設などの分野で顕著な伸びが見られました。

一方で、公共工事についてはやや厳しい結果となりました。3月の公共工事受注額は9,848億円で、前年同月比8.9%減少し、2か月連続のマイナスとなっています。国の機関からの発注は前年同月比で15.8%減と大幅に落ち込みましたが、地方の機関からの発注は同9.0%増と堅調でした。地方公営企業や市区町村による案件は増加傾向を示しており、地域単位での公共投資の必要性が続いていることがうかがえます。工事内容別では、港湾・空港、庁舎等は増加したものの、道路や治山・治水などは減少しており、分野ごとの差が浮き彫りになりました。

海外工事の受注額は896億円となり、前年同月比で58.1%の大幅減少となりました。これは為替動向や国際情勢の変化、現地経済の停滞など複合的な要因によるものと考えられ、前月に続いて2か月連続の減少という結果になりました。なお、現地法人による受注はこの統計には含まれていないため、実際の海外事業活動全体を反映しているわけではないことにも注意が必要です。

このような建設工事受注動態統計は、建設業界だけでなく、企業全体の経済活動を示す先行指標のひとつとして注目されています。特に民間企業にとっては、どの業種がどの程度の建設投資を行っているのか、あるいはどの分野に資金が流れているのかを把握するうえで重要な情報源となります。たとえば、金融業やサービス業での建設投資が活発化しているというデータは、それらの業種が拠点拡充や業務拡大を計画している可能性を示しており、人材採用や設備投資の観点からも戦略的に活用できる情報です。

また、受注総額のうち大規模工事(受注額10億円以上)が占める割合は84.3%にも達しており、大手企業を中心とした大規模プロジェクトが市場の大半を占めている実態も明らかになりました。これは、限られた建設資源が大規模案件に集中していることを意味し、中小規模の建設案件に対する対応力や調整能力が今後の課題となる可能性を示唆しています。

加えて、3月の施工高は1兆4,368億円(前年同月比16.2%増)となり、建築工事が9,435億円、土木工事が4,932億円と、いずれも高水準で推移しました。手持ち工事高は2兆3,407億円で、これは前年同月比で6.6%の増加となっています。これにより、建設企業の受注残が潤沢であり、今後数か月の稼働状況も比較的安定していると見込まれます。手持ち工事月数は全体で16.3か月となっており、着実に工事が計画されている状況がうかがえます。

この統計は、企業の経営企画部門や採用担当者にとっても有用な資料となります。拠点新設やオフィス移転を考える際の市場の過熱度や、特定地域での建設需要の高さなどを把握することで、より合理的な意思決定が可能となるでしょう。加えて、採用戦略を立てる上でも、建設投資の盛んな地域においては人材の獲得競争が激化することが予想されるため、早期の対策が求められます。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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