2025年5月9日
労務・人事ニュース
全国の病院施設数8,047に減少、病床数は前月比702床減で1,466,931床に(令和7年2月末概数)
- 受付/けやき台駅/社員募集/5月9日更新
最終更新: 2025年5月9日 01:08
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医療施設動態調査(令和7年2月末概数)(厚労省)
令和7年2月末時点での医療施設動態調査の結果が公表され、日本全国における医療施設の現状が明らかになりました。この調査は厚生労働省が毎月実施しているもので、医療施設の数や病床数の推移を通じて、日本の医療提供体制の動向を把握するために活用されています。今回の調査結果では、病院の施設数が前月から5施設減少し、総数は8,047施設となりました。病床数も702床減少し、合計で1,466,931床となっています。一方、一般診療所は前月より19施設増加し、105,141施設となりましたが、病床数は218床減少し70,843床に留まりました。歯科診療所については、施設数が40施設減少して65,957施設となり、病床数の変動はありませんでした。
病院の内訳としては、精神科病院が1,055施設で1施設減、一般病院は6,992施設で4施設減となっています。また、療養病床を有する病院は3,326施設と、前月より3施設減少しました。病床数の面では、精神病床が7床減の315,631床、療養病床が283床減の267,616床、一般病床が412床減の878,247床となっています。このように、病院全体での病床数は減少傾向が続いており、今後の高齢化社会に向けた医療資源の最適配置が課題となることが浮き彫りとなっています。
一般診療所については、有床診療所が5,305施設で16施設減少、療養病床を有する一般診療所は409施設と、4施設減少しています。一方で、無床診療所は99,836施設と前月から35施設増加しており、在宅医療や外来中心の診療形態が着実に広がっている様子が見て取れます。これに伴い、一般診療所全体の病床数は218床減の70,843床となり、療養病床は40床減の3,863床でした。歯科診療所については、全国で40施設減の65,957施設となり、病床数には変化がありませんでした。歯科分野においては、入院治療の必要性が極めて少ないことから、施設数の変動が診療体制に与える影響は比較的小さいと考えられます。
また、開設者別に施設数を分類すると、病院については医療法人による開設が最も多く、5,617施設で病床数は825,352床にのぼります。次いで、国立大学法人が47施設、地方独立行政法人が133施設と続きます。一般診療所に関しても、医療法人が47,880施設と最も多く、全体の半数近くを占めています。また、個人経営の診療所は38,426施設で、これは医療法人に次いで多い割合を示しています。歯科診療所においても、医療法人が17,158施設、個人が48,134施設と、個人開設が圧倒的多数を占めているのが現状です。病院に比べ、診療所や歯科診療所は個人や小規模医療法人による運営が主流であり、地域に密着した形での医療提供が実践されています。
都道府県別にみると、病院施設数が最も多いのは東京都の630施設で、次いで大阪府の501施設、福岡県の448施設となっています。病床数についても同様に東京都が124,596床、大阪府が102,573床、福岡県が80,323床と上位を占めています。これらの地域は人口が多く、大都市圏に位置していることから、医療需要も高く、それに応じた医療体制が整備されています。一方、病床数が最も少ない県は鳥取県で7,977床、次いで島根県の9,565床となっており、人口規模に応じた適正な医療供給がなされていることがわかります。また、療養病床数については、東京都が21,479床で最多、大阪府が19,591床、神奈川県が12,882床と続きます。
注目すべき点として、療養病床を有する病院は全国で3,326施設、療養病床を有する一般診療所は409施設と、それぞれの地域で高齢者医療や長期入院のニーズに対応する体制が整っていることがうかがえます。都道府県別では、東京都が224施設と最多で、次いで大阪府205施設、福岡県197施設となっています。これは、都市部での高齢者人口の増加と在宅医療への移行を支えるための重要な基盤となっており、地域医療構想との整合性も求められる分野です。
今回の調査結果は、日本の医療供給体制における現状と課題を明確に示しています。病院数の微減と病床数の縮小傾向は、医療機能分化と在宅医療への移行という国の医療政策の方向性を反映していると考えられます。また、診療所数の微増や無床診療所の増加は、外来中心の診療ニーズの高まりや、医師の開業意欲の反映とも読み取れます。企業の採用担当者にとっては、今後の地域医療の変化に合わせた人材戦略が重要になるでしょう。特に、療養病床を有する施設や在宅医療に対応できるスキルを持った人材の確保が、今後の医療分野での競争力確保に直結するといえます。
一方で、歯科診療所の減少傾向は、地域ごとの需要変化や診療報酬の動向など、経営環境の厳しさを示しており、開業支援や後継者問題への対応も求められます。また、地域によっては施設数と病床数のバランスに課題があり、医療資源の偏在是正に向けた施策が不可欠です。高齢化の進行とともに、医療施設に求められる機能も多様化しており、単に数を増やすのではなく、質の高い医療を提供するための設備・人材・制度の整備が必要不可欠です。
このように、令和7年2月末時点の医療施設動態調査は、我が国の医療制度の現状を理解するうえで貴重なデータを提供しています。医療現場を支える多様な主体が、地域の実情に応じた医療提供を行っており、それを支える制度設計と運用が今後ますます問われることになるでしょう。企業にとっても、医療従事者の採用環境や、地域医療との連携のあり方に目を向けることで、社会的責任を果たすとともに、事業の持続的な成長に資する戦略が描ける可能性があります。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ