2025年5月5日
労務・人事ニュース
運輸業の給与が31万円を割る、前年比マイナスで厳しい状況が継続(毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果確報)
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最終更新: 2025年5月6日 23:34
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最終更新: 2025年5月6日 22:36
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最終更新: 2025年5月6日 22:36
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毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果確報 第1表 月間現金給与額(厚労省)
令和7年2月分の毎月勤労統計調査(確報)によると、日本の労働市場における賃金動向は業種によって大きく異なる結果となりました。これは企業の業績回復の度合いや人材に対する投資姿勢、さらには労働力需給のバランスに大きく左右されていることを示唆しています。とくに採用戦略を検討する企業の人事担当者にとって、業界ごとの平均給与や賃金の伸び率を把握することは、人材の確保や処遇改善の方針を立てる上で非常に重要な視点です。
まず調査産業計としての全体的な傾向を見ると、月間の現金給与額は288,697円となり、前年同月比で2.7%の増加が見られました。きまって支給される給与は280,243円、所定内給与は260,747円となっており、それぞれ前年比で1.4%および1.3%の増加という結果です。所定外給与(残業代など)は19,496円で2.4%増、特別に支払われた給与は8,454円と大きく伸び、前年比で74.1%の上昇を記録しています。これらのデータからは、企業によっては利益の回復が進み、従業員への一時金などで還元する動きが活発化していることがうかがえます。
産業別に賃金水準を詳しく見ていくと、まず「鉱業、採石業等」では現金給与額が340,301円で、前年比15.3%の大幅な伸びを記録しました。特に特別給与は前年比137.7%増の1,060円と急増しており、業績回復に伴う賞与の支給が強化されたことが背景にあると考えられます。
「建設業」では給与水準は378,772円と比較的高く、前年比では5.0%の増加が見られました。きまって支給される給与は359,906円、所定外給与も27,489円と高めで、特別給与に至っては18,866円と前年から305.9%も増加しています。これはインフラ整備や再開発需要の高まりによって建設需要が底堅く推移していることを反映しています。
製造業も安定した成長を見せており、現金給与額は331,919円、前年比3.7%増となっています。きまって支給される給与や所定内給与、所定外給与のいずれも前年より増加しており、総じて賃金水準が引き上げられている状況です。ただし特別給与は前年比で11.6%減の3,693円となっており、ボーナス支給の方針には差があることが見て取れます。
非常に高水準の給与が見られたのは「電気・ガス業」で、月間現金給与額は545,004円と突出しており、前年比では16.3%の上昇です。特に特別給与の額は66,297円と群を抜いており、前年比で実に801.6%もの上昇を記録しています。これは大手企業の利益回復に伴う一時金の大幅な支給や、エネルギー価格の影響で収益が拡大したことによるものと考えられます。
情報通信業でも堅調な賃金上昇が続いており、給与は425,867円、前年比5.0%の増加でした。きまって支給される給与は415,455円、所定内給与は381,968円と、全体的に高水準を維持しています。一方で所定外給与や特別給与は若干の減少が見られ、労働時間管理の強化や、ボーナス支給の厳格化が影響している可能性があります。
運輸業、郵便業は310,483円とやや低めの水準で、前年比は-2.9%と減少しました。この業界では人手不足や燃料費高騰といった課題が継続しており、収益性の確保が難しくなっている状況が賃金に反映されています。
卸売業、小売業では249,062円と比較的低水準ながら前年比では0.2%の増加を示しました。業種の特性上、パートタイム労働者の割合が高く、全体の給与水準が抑えられる傾向があります。また、特別給与も前年比で11.5%の減少と、賞与の抑制が続いていることが分かります。
金融・保険業では現金給与額が495,000円と高水準で、前年比22.8%の大幅な増加が見られました。特別給与は95,244円と群を抜く金額で、前年比で349.9%も増加しています。企業の好業績が従業員への手厚い還元につながっている代表例といえるでしょう。
不動産・物品賃貸業も342,401円で前年比4.4%の増加となり、賃金上昇が見られました。特に特別給与が14,913円、前年比92.6%の伸びと、賞与支給額の改善が顕著です。
教育・学習支援業や医療・福祉業も、それぞれ312,309円(前年比1.8%増)および268,428円(前年比2.5%増)と、安定した賃金の上昇を維持しており、社会的ニーズの高い分野であることから今後も安定的な成長が期待されます。
このように、業種ごとに大きく異なる賃金水準や変化率を把握することで、採用における競争優位性を確保しやすくなります。特に人材確保が困難な業界では、賃金面での競争力を意識した施策が求められています。また、特別給与の増減は企業の業績動向を反映しやすいため、候補者との給与交渉や待遇提示の場面で重要な参考指標となるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ