2025年4月25日
労務・人事ニュース
東北の求人数が3か月連続で前年比10%以上減、採用活動に影響拡大(令和7年3月調査)
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最終更新: 2025年5月2日 01:06
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最終更新: 2025年5月1日 22:32
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景気ウォッチャー調査(令和7年3月調査)― 東北(現状)―(内閣府)
令和7年3月に実施された景気ウォッチャー調査による東北地方の結果は、地域経済の回復と停滞が混在する現状を如実に表しています。売上や客単価の増加といった前向きな兆しが一部に見られる一方で、生活必需品の価格高騰による消費の抑制、さらには雇用の不安定さといった要素が依然として重くのしかかっていることが明らかになりました。
まず、小売業を中心に売上回復の傾向が見られる業種がありました。医薬品を取り扱う店舗では、売上が前年比109.6%、決算セールでは121.5%と大幅な伸びを記録しており、収益面では好調でしたが、来客数は87.8%と減少しており、個々の購買意欲は高い一方で全体的な客足は鈍化していることがわかります。また、スーパーマーケットでは、1品単価が前年比104.6%、客単価は101.2%、売上は106.1%と、物価上昇による単価の上昇に支えられた形で業績は改善しています。ただし、これは消費者の買い控えによる買上点数の減少と表裏一体であり、必需品への支出は維持されている一方、嗜好品の売上は前年を割っているなど、消費に対する厳しい目線が続いています。
コンビニエンスストアでは、本部主導の施策や気温の上昇に伴う人の動きの活発化が奏功し、売上が伸びているという報告が複数見られました。また、消費者が値上げに対して一定の慣れを示し始めており、心理的な価格のハードルがやや下がってきている様子もうかがえます。とはいえ、10か月連続で来客数と販売量が前年比を下回っているという店舗もあり、地域や立地によって差があることが明確になっています。
観光関連では、国際線の直行便の増加や地域イベントの開催が追い風となり、都市型ホテルの予約や旅行代理店での販売量が回復傾向にあるという報告がありました。海外旅行の問い合わせ件数も増えてきており、インバウンドと国内旅行の需要が徐々に戻りつつあります。ただし、宿泊単価は低めに設定されているプランの動きが良く、全体的な収益構造の改善には至っていないとの指摘もありました。
家計支出の抑制傾向は根強く、生活に直結する米やガソリン、灯油などの価格上昇が引き続き消費者の購買行動に大きな影響を及ぼしています。スーパーマーケットや百貨店では、価格上昇分を吸収しきれず、利益確保に苦戦しているという声が多く、値上げによる買い控えも続いています。特に平日の来客数の減少や買物カゴの中身が少なくなっているといった具体的な変化が現場から報告されており、生活防衛意識が顕著に見られる状況です。
雇用面では、企業の採用意欲に回復の兆しが見られる一方で、求人数は横ばいまたは減少傾向にあり、需給のミスマッチが課題となっています。特に飲食業や建設業、サービス業などでは慢性的な人手不足が続いており、新規求人は出ているものの、求職者側のスキルや希望条件とマッチしないケースが多発しています。実際、ある職業安定所では新規求人数が前年同月比で10%以上減少した月が3か月連続で続いており、有効求人倍率も横ばい圏内にとどまっているとの報告がありました。
製造業に関しては、原材料価格の高騰や設備投資の見送りが景況感を押し下げる要因となっており、食料品製造業などでは売上の減少や販売量の落ち込みが継続しています。半導体や電気機器関連では価格転嫁の理解が進んでいるという報告がある一方で、業界全体としての成長性には限界があるとする見方も少なくありません。
建設業では、資材価格の高止まりに加えて、見積もり査定の遅れや発注の長期化により契約が予定よりも遅延するケースが目立っており、事業予算内に収まらないことで計画が中止される案件も出てきています。こうしたことから、発注量自体は変わらなくとも実施に至らない工事が増えており、受注量の見通しは不透明さを増しています。
住宅関連では、新築住宅よりもリフォームや建て替え需要が中心となっており、特に高齢者層の需要が目立ちました。高額な設備投資に対する消費者の慎重な姿勢は依然強く、テーブルコンロのような比較的安価な商品の動きはあるものの、給湯器やエアコンといった高単価商品の販売は低調に推移しています。
人材関連では、人材派遣会社によると来期に向けた企業の求人活動が強まりつつあり、採用数も上昇傾向にあるとされています。求人広告の動きも活発で、年度末の広告需要が売上増加につながったとの報告がありました。ただし、求人総数としては前年比80%程度にとどまっており、特に製造業では採用意欲が低下しているとの報告もあります。これは、米国の通商政策の影響を含めたグローバルな経済不安が影響していると考えられます。
全体として、東北地方における景気の現状は回復と停滞の混在という複雑な様相を呈しています。特定の業種や季節的な要因によって売上や来客数の増加が見られる一方、物価上昇の継続や雇用の不透明さ、企業の設備投資や採用活動の遅れが経済全体の回復にブレーキをかけています。企業の採用担当者にとっては、人材確保が難航する中で、スキルとのマッチングを重視した採用戦略の再構築が求められる時期といえるでしょう。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ