2025年5月15日
労務・人事ニュース
全国製造業労働者595万人、平均給与38万1489円!最新統計を読み解く(令和6年11月)
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最終更新: 2025年5月15日 03:06
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毎月勤労統計調査地方調査 令和6年11月分結果概要 事業所規模30人以上 製造業(厚労省)
令和6年11月に実施された労働統計調査では、事業所規模30人以上の製造業における全国的な労働環境と給与水準が詳細にまとめられました。今回の調査結果は、常用労働者数や労働時間、出勤日数、さらには給与に関する具体的な数値を提供しており、企業の採用担当者にとっては人材確保や待遇改善のための重要な参考資料となります。製造業という日本の基幹産業において、労働市場の動向を正確に把握することは、これからの採用戦略を立てる上で欠かすことのできない要素となっています。
全国規模で見た場合、製造業における常用労働者数は595万7100人に上りました。これは前年同月と比較しても堅調な推移を維持しており、依然として製造業が多くの雇用を支えていることを示しています。総実労働時間は167.3時間で、所定内労働時間は151.7時間、そして所定外労働時間、つまり残業時間は15.6時間となりました。出勤日数の全国平均は19.8日であり、月平均の営業日数と比較してもやや多めの勤務実態が伺えます。こうした数値からは、製造業における長時間労働の傾向が依然として根強く残っていることが明らかです。
給与面に目を向けると、全国の現金給与総額は38万1489円となり、きまって支給する給与は34万9175円、所定内給与は31万1734円、特別給与、すなわちボーナスや一時金は3万2314円でした。このデータからは、製造業においては安定的な給与水準が保たれていることがうかがえますが、一方で高い労働負荷が背景にあることも見逃せません。採用市場においては、給与水準の高さだけでなく、労働時間のバランスをどう改善するかが重要な課題となるでしょう。
地域別のデータを見ると、北海道における製造業の常用労働者数は12万600人で、総実労働時間は168.0時間、所定内労働時間は152.8時間、所定外労働時間は15.2時間、出勤日数は20.7日でした。現金給与総額は29万6232円、きまって支給する給与は27万5633円、所定内給与は24万9700円、特別給与は2万599円となりました。北海道の製造業では、労働時間は全国平均よりも若干長い傾向にありながら、給与水準は全国平均を大きく下回っています。こうしたデータは、北海道地域での採用活動において、待遇面の改善が必要であることを示唆しています。
続いて青森県では、常用労働者数が3万9600人、総実労働時間が169.4時間、所定内労働時間が157.0時間、所定外労働時間が12.4時間、出勤日数が20.4日となりました。現金給与総額は27万6539円、きまって支給する給与は25万5132円、所定内給与は23万27円、特別給与は2万1407円となっています。青森県の製造業では、長時間労働と低給与の傾向がより顕著に表れており、人材確保のためには労働条件の抜本的な見直しが求められるでしょう。
岩手県では、常用労働者数が6万800人、総実労働時間が168.3時間、所定内労働時間が154.4時間、所定外労働時間が13.9時間、出勤日数が19.9日となっています。現金給与総額は31万1141円、きまって支給する給与は27万7061円、所定内給与は24万5803円、特別給与は3万4080円でした。岩手県の場合、給与水準は北海道や青森より高めで、特別給与額も多くなっています。このことから、岩手県内の製造業は地域内での人材確保競争において一定のアドバンテージを持っていることが読み取れます。
このように、全国の製造業における労働条件は一様ではなく、地域ごとに明確な違いが見受けられます。全国平均に対して労働時間が長く、給与が低い地域では、採用競争力を高めるために労働環境改善が必須となります。逆に、給与水準が比較的高い地域では、その優位性を積極的にアピールすることで、ターゲットとなる人材の確保につなげることが可能です。
特別給与についても、全国平均で3万2314円という支給額は無視できません。特別給与の存在は従業員のモチベーション向上に直結するため、支給基準を明確に設定し、実績に応じた適切なインセンティブを与えることが、優秀な人材の定着には不可欠です。また、単に給与水準を上げるだけでなく、労働時間の短縮や有給休暇の取得促進、育児・介護支援策の充実など、多角的な働き方改革を推進することが求められます。
製造業における採用環境は、人口減少と高齢化が進む中で年々厳しさを増しています。そのため、データに基づいた緻密な採用戦略が不可欠であり、労働時間、給与水準、福利厚生といった各種指標を総合的に評価したうえで、自社の魅力を最大限に引き出す工夫が重要です。特に地方では、都市部と比較して給与水準が低いケースが多いため、生活コストの低さや通勤環境の良さ、地域コミュニティとのつながりといった非金銭的な魅力を訴求することも効果的でしょう。
採用担当者は、今回の調査結果を最大限に活用し、自社のポジショニングを明確化した上でターゲット層に合わせた柔軟な採用施策を講じるべきです。全国平均と比較した自社の立ち位置を客観的に把握し、その強みと弱みを正確に認識したうえで、的確なアクションを取ることが、これからの採用競争を勝ち抜くカギとなるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ