2025年5月23日
労務・人事ニュース
全国1,031の居住支援法人が活動、スタートアップ向け最大750万円補助で人材採用の好機に
- 検品・検査作業
最終更新: 2025年5月23日 13:34
- 食品工場スタッフ
最終更新: 2025年5月23日 14:06
- 看護師/朝倉郡筑前町/山隈駅/他/福岡県
最終更新: 2025年5月23日 06:36
- 食品製造会社での経理補助業務
最終更新: 2025年5月23日 14:07
「居住支援法人」の活動を支援します ~改正住宅セーフティネット法の施行に向けた対象事業者の拡大~(国交省)
令和7年10月1日に改正住宅セーフティネット法が施行されることを受けて、国土交通省は「居住支援法人」の活動をより広く支援するため、補助事業の対象事業者を拡大し、本日5月19日より新たな募集を開始しました。今回の取り組みは、住宅の確保が困難な人々、すなわち「住宅確保要配慮者」とされる高齢者、障害者、低所得者、被災者、子どもを育てている世帯などが、安心して住まいを確保できる環境を整えることを目的としたものです。
この補助事業では、住宅確保要配慮者が民間賃貸住宅等に円滑に入居できるよう支援活動を行う「居住支援法人」に対し、国がその活動に必要な費用の一部を補助します。令和7年度予算ではこの目的に総額10.81億円が計上されており、補助率は原則10分の10と高く、非常に手厚い支援となっています。具体的には、居住支援法人に対しては1件あたり最大700万円、スタートアップ法人に対しては最大750万円が補助される仕組みです。
この事業の背景には、日本社会が直面する多様な居住課題があります。少子高齢化や単身世帯の増加、経済的困窮者の増加により、安定した住まいを確保することが困難な人々が年々増加しており、こうした状況に対応する新たな居住支援体制の構築が急務となっています。実際、令和7年3月末時点で都道府県により指定された居住支援法人の数は全国で1,031法人にのぼり、支援の裾野が徐々に広がっていることがわかります。また、各地の自治体や福祉関係団体、不動産関係者などが連携して設置する「居住支援協議会」も、全国で155議会が設立されており、地域を横断した支援体制が整いつつあります。
こうした枠組みの中で、居住支援法人が行う具体的な活動には、入居前の支援としての相談窓口の設置、不動産店との連携、内覧への同行支援などがあります。また、入居後には、見守りや生活相談、緊急時の対応といった継続的な支援が求められます。これらの取り組みを円滑に行うためには、自治体だけでなく、現場で活動する法人や関係団体の人的・経済的資源が不可欠です。
特に注目されるのは、この制度の中で初期段階にある団体、つまりスタートアップの法人に対しても最大750万円の補助が認められている点です。これは、これから支援活動を始めようとする法人にとって非常に大きな後押しとなり、全国各地で新たな支援の担い手が登場する契機となることが期待されます。応募締切は5月30日(金)の17時で、電子メールによる申請が必要です。なお、既に本年度の支援事業で採択を受けている法人は今回の募集対象外となります。
企業の採用担当者にとってこの情報が示唆するのは、福祉と住宅を結ぶ新たな分野での人材需要が急拡大しているということです。住宅相談員や不動産実務経験者に加えて、福祉関連の知識を持つ生活支援スタッフ、行政との調整を行う事務職、さらに助成金や制度理解に明るい法務・会計系人材も必要とされており、いわば多職種が融合した総合的な人材戦略が求められています。
加えて、地域ごとに異なる住宅ニーズに対応する柔軟な支援体制を構築するためには、地域密着型の人材が不可欠です。例えば、子育て家庭や高齢者の居住支援では、その地域の文化や生活習慣を理解した上での支援が求められます。これは企業が地域とのつながりを持ちながら人材を採用・育成していく必要性を示しており、単なる全国一律の採用戦略では通用しない局面が増えていくことを意味しています。
また、今後の都市計画や不動産業の在り方にも影響を与える制度であることから、建設業、不動産業、住宅メーカーなどにおいても、この動向を捉えた事業展開と人材確保が急務となるでしょう。制度を理解し、行政との連携を図りながら実務を遂行できる人材の確保は、将来的な社会貢献とビジネスチャンスの両面に資する戦略といえます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ