2025年6月17日
労務・人事ニュース
求職者減少と求人増加が進む令和7年4月の福井県、1.87倍の求人倍率から導く採用計画の再設計
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最終更新: 2025年6月16日 22:31
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三国では2.37倍、武生では1.25倍という地域差が示す福井県内における求人市場の実態と対応策
令和7年4月における福井県の労働市場は、全国平均と比べても依然として高い有効求人倍率を記録しており、採用市場における競争の激しさが際立つ結果となりました。具体的には、福井県の有効求人倍率は1.87倍と、全国平均の1.26倍を大きく上回っており、求人数が求職者数を大きく上回っている状況が続いています。これは、企業にとって採用難の状態が長期化していることを意味し、特に中小企業や地方に根ざした業種にとっては、採用活動の質とスピードの両面で高度な対応が求められます。
このような状況下で採用を成功させるためには、まず自社の魅力を求職者に的確に伝える工夫が不可欠です。有効求人数が19,651人であるのに対し、有効求職者数は10,496人にとどまっており、単純な供給と需要のバランスだけでも、企業間の人材獲得競争が激化していることが分かります。このような“売り手市場”では、給与条件や福利厚生だけでなく、職場の働きやすさや将来性、企業文化といった非金銭的価値をいかに明確に打ち出せるかが採用の成否を分けるポイントとなります。
また、新規求人倍率も2.80倍と高水準にあり、新規求人数は前月比で7.5%増の7,229人に達しました。これに対し、新規求職者数は2,585人であり、2.6%の減少傾向を示しています。特に注目すべきは、新規求人が活発に増加している産業です。製造業では前年同月比14.5%の増加、卸売業・小売業では8.5%の増加、建設業では5.2%の増加が見られ、企業の採用意欲は依然として高いままです。しかし、その一方で求職者側の動きは鈍化傾向にあり、とりわけ24歳以下の若年層においては、有効求職者数が前年同月比で14.0%も減少しています。
このようなミスマッチが続くなかで、企業はターゲットとする人材層に合わせた柔軟な採用戦略を立てる必要があります。例えば、若年層の採用を強化したい企業は、SNSや動画などデジタル媒体を活用した情報発信の強化や、インターンシップ制度の充実が求められます。一方、ミドル層やシニア層の求職者に対しては、再雇用制度や柔軟な労働時間制度など、ライフステージに合わせた制度設計が重要となります。
さらに、安定所別の有効求人倍率にも地域性が見られ、三国では2.37倍、福井では1.64倍、敦賀は1.50倍、大野・小浜はともに1.46倍、武生では1.25倍という状況です。三国地域では特に人材確保が困難な状態であり、採用における工夫が必要とされる一方で、武生のような相対的に倍率が低い地域では、他地域と比較して人材獲得の可能性が高いといえるかもしれません。このような地域ごとの動向を把握することも、人材戦略を策定するうえで有効です。
企業の採用担当者にとって、求人倍率の数値をただ見るだけでは不十分です。例えば、令和7年4月の福井県の求人倍率の上昇は、一部の業種で求人が増えている一方で、求職者の動きが鈍くなっているという背景があります。生活関連サービス業・娯楽業では前年同月比で47.9%の求人減、医療・福祉では2.2%の減少というように、業種ごとの需要と供給のギャップも顕著です。採用活動を計画する際には、こうした業種別の傾向にも目を配り、自社が属する産業の市場動向を把握したうえで、採用手法や訴求内容を調整することが肝要です。
また、求職者の属性についても注目すべきです。55歳から64歳の求職者は前年同月比で3.8%増、65歳以上では1.3%増となっており、労働力の高齢化が進んでいます。この傾向を踏まえ、年齢に応じた就業環境の整備や、定年延長・継続雇用制度の見直しも重要です。企業の持続的成長には、多様な人材を受け入れる柔軟性と、個々の能力を最大限に活かす工夫が求められます。
さらに、求職理由についても着目することで、より的確な採用戦略を立てることができます。令和7年4月時点では、無業者が前年同月比で12.4%増加しており、就業経験のない求職者やブランクのある人材へのアプローチが重要になります。これらの人々に対しては、研修制度やOJTを活用した教育体制を整えることで、採用後の定着率を高めることが可能です。
今後も福井県の求人倍率が高水準で推移することが予想される中、企業の採用担当者には、採用市場の変化に敏感に反応し、戦略的かつ柔軟に対応する姿勢が求められます。特に求職者との接点を増やすためには、オンラインとオフラインを融合させたリクルーティングの仕組みづくりが鍵となります。自社の特色を活かした採用広報、柔軟な労働条件の提示、そして継続的な人材育成を組み合わせることで、長期的な視点での人材確保が実現できるでしょう。
⇒ 詳しくは福井労働局のWEBサイトへ