2025年6月16日
労務・人事ニュース
秋田県の有効求人倍率1.23倍、採用難時代に企業が取るべき戦略とは?
- 「時短勤務可」/正看護師/介護施設/駅から近くて通いやすい
最終更新: 2025年6月16日 22:31
- 看護師/北九州市小倉北区/北方駅/福岡県
最終更新: 2025年6月17日 06:36
- 「車通勤OK」/准看護師・正看護師/介護施設
最終更新: 2025年6月16日 22:31
- 「ブランクOK」/准看護師・正看護師/クリニック/車で通えます
最終更新: 2025年6月16日 22:31
地域ごとの求人倍率差と採用機会の見極め方
令和7年4月の秋田県における有効求人倍率は1.23倍となり、全国平均の1.26倍をわずかに下回る水準に位置しました。これは前月比で0.02ポイントの減少となっており、全国順位では受理地ベースで24位、就業地ベースでは21位という位置づけです。つまり、全国的には中間よりやや下位にあり、県内企業にとっては「選ばれる企業」であることが一層求められている状況です。
こうした雇用環境下において企業の採用担当者がまず認識すべきは、有効求人倍率が1倍を超えているということが意味する「売り手市場」であるという現実です。求人を出しても応募が集まりづらい傾向が続いており、とりわけ正社員求人倍率も前年同月比で0.02ポイント上昇して1.14倍と、引き続き人材獲得の難易度は高いまま推移しています。
このような背景を踏まえ、企業が採用戦略を見直すうえで第一に求められるのは「採用条件の見直し」です。秋田県内では、運輸業や福祉・医療分野で求人が増加傾向にあり、例えば医療・福祉分野では新規求人が前年比で17.1%増加、運輸業は22.9%の増加となっています。一方で、製造業や小売業では求人が減少しており、製造業では前年比10.7%減、小売業では12.4%の減少となっています。こうした動向から、求職者は安定的に人手を必要とする業種に流れる傾向が強まっているため、自社が他業種に比べてどのような利点を提示できるかを改めて考える必要があります。
賃金水準の引き上げも、効果的な手段の一つです。特に求人が集まりづらい中高年層や地方部では、給与が1万円上がるだけでも応募動機となることがあります。また、週休二日制の導入やフレックスタイム制、リモートワークの活用など、働き方に柔軟性を持たせることが、求職者の目に留まる大きな要因になっています。実際に、秋田県内の建設業では人手確保のために週休二日制を導入したという企業の声もあり、これは他業種への好影響も期待できる先行例と言えるでしょう。
さらに重要なのが、求人票の「質」の見直しです。求職者は求人内容から会社の姿勢や職場環境を判断する傾向が強いため、曖昧な表現や抽象的な待遇表記ではなく、具体的な業務内容やキャリアアップの可能性、福利厚生の内容などを明示することで、応募者の関心を高める効果が期待できます。特に若年層や転職経験の少ない層に対しては、「入社後の1年間の流れ」や「新人研修制度の有無」など、具体的な情報が安心材料となります。
また、地域別の有効求人倍率にも注目すべきです。秋田県内でも地域によって状況は異なり、能代市では1.29倍、大館市で1.20倍と高めの水準を維持している一方、角館町では0.93倍、湯沢市では0.74倍と1倍を下回っています。こうしたデータから、採用ターゲットの地域を広げる戦略も有効です。通勤手段や居住支援、交通費支給の拡充などによって、地元以外からの求職者を呼び込む土壌を整備することが、今後の人材確保に向けた重要な取り組みとなります。
加えて、求職者の動向にも注目すべきです。令和7年4月の新規求職者数は5,286人で、前年同月比2.0%増加しており、特に65歳以上の求職者が11.8%増加しています。このように高年齢層の労働意欲は依然として高く、企業側も年齢にとらわれない採用姿勢を持つことが、人材確保の幅を広げる鍵となります。シニア層を対象とした就労支援制度や時短勤務制度の導入により、多様な人材の受け入れが可能になるだけでなく、地域に根ざした雇用の安定化にもつながります。
一方で、離職者の中でも「事業主都合」による離職が前年比13.7%増加しており、これは雇用の不安定さや職場環境への不満が背景にあると考えられます。採用活動を行う際には、これらのネガティブ要因を払拭するためにも、企業としての「人を大切にする姿勢」を示すことが求められます。社内の人間関係や管理体制を整備し、ミスマッチを防ぐ仕組みを構築することが、結果的に採用後の定着率向上にもつながります。
また、就職件数は1,718件で前年同月比では微減(0.5%減)となりましたが、45歳以上の中高年層の就職が1,033件と、全体の6割超を占めています。この結果からも、中高年層をターゲットにした求人展開の必要性が浮き彫りになっています。従来は即戦力や若手を重視した採用が主流でしたが、現在のように人材の取り合いが激化する環境下では、経験豊富な中高年層の活用が人手不足解消の一手となり得ます。
今後の採用戦略を考える上で、企業は有効求人倍率という数値に一喜一憂するだけでなく、その背後にある求職者の意識や行動の変化を正しく読み取ることが重要です。つまり、数字はあくまでも「結果」であり、「採用される側の視点」から自社の強みと弱みを客観的に把握し、採用の魅力を具体的に発信していく姿勢が必要です。
特に人口減少と若年層の県外流出が続く秋田県では、県内での採用に限界を感じている企業も少なくありません。しかし、Uターン・Iターンを促す採用戦略や、オンライン面接を活用した柔軟な選考フローの導入など、新たな取り組みによって可能性を広げる余地は多分にあります。現に、近年は県外在住者が秋田で働くことを視野に入れるケースも見受けられ、こうした潜在層に向けた情報発信の強化は今後ますます重要になります。
最後に、今後の採用市場の動向は依然として不確実性を伴っているため、データに基づいた柔軟かつ迅速な意思決定が求められます。秋田労働局が公表している月次の統計情報や求人動向を継続的にチェックし、自社の状況と照らし合わせながらタイムリーな施策を講じていくことが、競争の激しい採用市場で成功するための大きな鍵となります。
⇒ 詳しくは秋田労働局のWEBサイトへ