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2025年6月17日

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茨城県の有効求人倍率1.29倍、令和7年4月の採用環境に企業が今打つべき手

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日立市で求人倍率1.48倍、高倍率地域で求められる採用力とは

令和7年4月の茨城県における有効求人倍率は1.29倍で、前月比0.01ポイントの上昇となりました。この数字は全国平均の1.26倍をわずかに上回っており、茨城県内でも依然として売り手市場が継続していることを示しています。有効求人倍率が1倍を上回るということは、求職者1人あたり1.29件の求人があるという状況を意味し、企業側にとっては人材確保の難易度が高いことを示しています。これは単なる数字ではなく、企業の成長や存続に直結する課題として捉える必要があります。

茨城県では、新規求人数が前月より増加し、特に製造業や建設業、医療・福祉分野での求人が目立ちました。これに対して、新規求職申込件数は横ばい、または一部で減少傾向にあり、求人数に対して求職者の動きが鈍いという構造が浮き彫りになっています。企業の採用担当者がこの状況に対応するには、従来の採用手法を見直し、求職者にとって「選ばれる企業」になるための工夫が求められます。

まず最初に見直すべきは、求人票の内容です。多くの企業が形式的な条件や業務内容の羅列にとどまっている一方で、求職者は具体的で実感の湧く情報を求めています。たとえば「未経験者歓迎」と記載するのであれば、その背景や具体的な教育体制、初任者が実際にどのようなサポートを受けながら業務に就くのかといった説明があると、求職者は安心して応募しやすくなります。特に若年層にとっては、自分がその企業で働く姿を想像できるかどうかが重要な判断基準となります。

また、地域別に見ると、有効求人倍率には市町村ごとのばらつきがあり、つくば市や日立市、水戸市などの都市部では1.5倍を超える高倍率を記録している一方で、鹿嶋市や北茨城市など一部地域では1倍前後にとどまるなど、地域ごとの雇用環境に差が見られます。このような背景を踏まえ、企業は採用エリアを柔軟に広げるとともに、通勤支援や住宅補助制度などを導入することで、遠方の人材にも働きやすさを感じてもらえるようにする必要があります。

加えて、高年齢層の活用も重要な視点です。令和7年4月のデータでは、65歳以上の求職者数が増加傾向にあり、定年後の再雇用を希望する人や、リタイア後の再就職を目指す人が一定数存在することが明らかになっています。こうした人材は経験が豊富で、即戦力として期待できる一方で、体力的な制約や勤務時間の制限といった配慮も必要になります。企業としては、時短勤務制度や軽作業への配置、あるいは技術指導役などの役割を設定することで、彼らの知見を活用しつつ職場の多様性を高めることができます。

正社員有効求人倍率も1.09倍と高水準にあり、正規雇用に対する求職者の期待が高まっていることが読み取れます。非正規雇用に比べて、安定性や社会保障の面で優位性がある正社員採用は、特に若年層や子育て世代にとって魅力的です。したがって、企業が人材の定着を目指すのであれば、初めから正社員での雇用を前提とする採用設計が必要になります。正社員登用制度の整備やキャリアパスの明示など、長期的な働き方を支援する仕組みが重要です。

離職理由についても注目すべきポイントです。自己都合による離職が多い現状は、職場のミスマッチが依然として解消されていないことを示しています。採用の段階で業務内容や期待されるスキル、働く環境について丁寧に説明することで、入社後のギャップを減らすことができます。また、定着率向上のためには、入社後のフォロー体制やメンター制度の導入が効果的です。働き始めの数か月間は、新入社員が最も不安を感じる時期であり、この期間に適切な支援を提供することが離職防止に直結します。

さらに、求人情報の発信力も今後の採用活動において鍵を握ります。単にハローワークや求人媒体に情報を掲載するだけではなく、自社のウェブサイトやSNSを活用した採用広報が求められています。企業の社風や日々の業務の様子を写真や動画で発信することにより、求職者にリアルな職場のイメージを届けることができ、ミスマッチの回避と応募数の増加の両方を実現することが可能です。

茨城県では引き続き震災復興やインフラ整備、製造業の生産回復などが地域経済を下支えしており、それに伴って人材需要も高い水準で推移しています。しかし、求職者の数がそれに比例して増加しているわけではなく、人材の確保には企業間での競争が激しくなっています。したがって、今後の採用戦略では、待遇面の充実だけでなく、職場環境の改善や人材育成の姿勢、社会的な貢献性といった企業の「価値観」を明確に打ち出すことが、選ばれる企業への第一歩となるでしょう。

採用活動とは単なる人員補充ではなく、将来の企業成長を担う仲間を迎え入れる大切な経営判断です。求人倍率という指標は、その判断を下すための重要な環境指標であり、数字の上下に一喜一憂するのではなく、数値の背後にある「人」の動きや「地域」の変化を読み解く姿勢こそが、これからの採用担当者に最も求められる力です。変化し続ける雇用市場の中で、データを武器にしながら、柔軟で戦略的な採用活動を展開していくことが、企業の持続的成長につながるものと確信します。

⇒ 詳しくは茨城労働局のWEBサイトへ

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