2025年6月16日
労務・人事ニュース
令和7年4月の福岡県有効求人倍率1.17倍から見る採用戦略とは
- 看護師/山隈駅/朝倉郡筑前町/他/福岡県
最終更新: 2025年6月17日 06:36
- 医療業界の薬剤・調剤業務/即日勤務可
最終更新: 2025年6月17日 07:02
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最終更新: 2025年6月17日 06:36
- 看護師/北九州市小倉北区/福岡県/南小倉駅
最終更新: 2025年6月17日 06:36
北九州は0.99倍に低下、福岡企業が取るべき採用戦術を徹底分析
令和7年4月に公表された福岡労働局の最新の雇用統計によると、福岡県全体の有効求人倍率は1.17倍となり、前月から0.03ポイント低下しました。この指標は、求職者1人あたりに対して何件の求人があるかを示すもので、1.0を超えている状態は、求職者よりも求人が多い、いわゆる「売り手市場」であることを意味します。しかしながら、数値が下がったことからも分かるように、企業側の求人意欲にわずかながら弱含みが見られる兆しも出始めています。
このような中で、企業の採用担当者は、単に求人を出すだけでなく、「選ばれる企業」であるための取り組みを強化する必要があります。今回の統計によれば、福岡地域の有効求人倍率は1.17倍、北九州地域は0.99倍、筑豊地域は1.03倍、筑後地域は1.19倍と、地域ごとにばらつきが見られます。特に北九州地域では1倍を割り込み、求職者がやや優位に立つ「買い手市場」に移行しつつある点は注目すべきです。
また、新規求人倍率は2.16倍で、依然として高水準を維持している一方、新規求人数(季節調整値)は前月比で1.8%増加していますが、前年同月比では4.4%減少しています。これは、前年よりも求人を控える企業が増えた一方で、短期的には採用を急ぐ動きも見られるという複雑な構造を示しています。このような採用市場においては、企業の人事戦略における柔軟性と即応性が求められます。
採用担当者がまず行うべきは、自社が拠点を構える地域の有効求人倍率と競合企業の採用状況を正確に把握することです。たとえば、筑後地域のように倍率が高い地域では、求職者は複数の企業から内定を得る可能性が高く、優秀な人材の獲得にはスピードと魅力的な条件提示が欠かせません。一方で北九州地域のように倍率が1.0を下回るエリアでは、逆に求職者の層が豊富であるため、丁寧な選考を行うことでより適した人材を採用するチャンスとなります。
また、業種別に見ると、製造業や生活関連サービス業、卸売・小売業などでは求人が増加していますが、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉、建設業などでは求人が減少傾向にあります。これらのデータは、業界ごとの人手不足や採用難易度を測るうえで非常に重要です。特に人材確保が困難とされる業種では、求人の出し方だけでなく、教育制度の充実、福利厚生の拡充、職場の魅力発信など、求職者に選ばれる工夫が必要です。
さらに、正社員の有効求人倍率は0.91倍と、前年同月より0.02ポイント上昇しましたが、依然として1倍を下回っています。これは正社員希望者が依然多いことを意味しており、非正規雇用に比べて競争が激しい領域であることが読み取れます。このような状況を逆手に取り、正社員採用を積極的に進めることで、企業は優秀な人材を確保することが可能となります。
一方、新規求職者の総数は前年同月比で2.9%減少し、男女ともに減少傾向にあります。特に若年層(29歳以下)や中堅層(30〜44歳、45〜54歳)では軒並み減少していますが、55歳以上の層では4.0%の増加が見られました。この点からも、企業は年齢層に応じた採用施策を検討すべきです。たとえば、即戦力を求めるならば経験豊富な中高年層を視野に入れるなど、ターゲットを明確にした採用戦略が求められます。
地域別に見ると、直近では筑後地域のみが前年同月より有効求人倍率を上昇させており、人材需要が高い傾向がうかがえます。逆に北九州や筑豊地域では低下しており、景気や地域経済の影響を強く受けている可能性があります。このように、地域経済の動向や地元の雇用情勢を踏まえた上で、地域密着型の採用方針を打ち出すことが、地域企業にとっての大きな差別化要因となるでしょう。
また、事業所の規模別で見ると、従業員数が4人以下、300人以上の企業では新規求人が増加した一方で、5〜299人規模の中小企業では減少傾向が顕著です。中小企業の採用活動が慎重になる中で、他社に先駆けて魅力的な求人情報を打ち出すことが、採用成功への鍵となります。給与水準や労働環境に加え、企業のビジョンや社会貢献性などを明確に打ち出すことが、求職者の共感を得る一因となります。
これらの情報を踏まえると、採用担当者が取り組むべきは、まずデータに基づく状況把握、次にターゲット人材の明確化、そして自社の強みを訴求するための情報発信の強化です。採用市場は常に変化していますが、柔軟かつ戦略的に動くことで、人材確保の競争において一歩リードすることが可能になります。
⇒ 詳しくは福岡労働局のWEBサイトへ