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2025年7月3日

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2030年から始まるCN貨物の新造船需要、日本の海事産業が世界で主導権握る鍵に

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我が国のカーボンニュートラルの実現に必要な貨物を輸送する船舶の需要を予測しました ~「将来の船舶需要予測検討タスクフォース」の中間とりまとめ~(国交省)

令和7年6月20日、国土交通省海事局は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた貨物輸送のために必要とされる船舶の将来需要予測に関する中間報告を公表しました。この報告は、我が国の造船業の新たな成長戦略を構築するための重要な指針となるもので、水素やアンモニア、CO2といった脱炭素社会の実現に不可欠な新たな貨物の海上輸送ニーズに基づいています。

背景として、政府は令和6年6月に開催された「船舶産業の変革実現のための検討会」において、2030年における目標として「我が国海事産業が次世代船舶の受注量におけるトップシェアを確保する」ことを掲げました。また、令和7年2月には第7次エネルギー基本計画が閣議決定され、これにより2050年に向けたカーボンニュートラル実現のための具体的なエネルギー導入目標が設定されています。これらを受けて、将来的に必要とされる運搬船の規模や数が明確にされました。

報告によれば、まず水素輸送については、2050年までに2,000万トンの輸入を見込んでおり、その輸送手段として液化アンモニア、MCH(メチルシクロヘキサン)、液化水素の3つの選択肢を想定しています。仮にすべてを液化水素で輸送する場合、タンク容量4万立方メートルの液化水素運搬船が最大で約940隻必要になる見通しです。一方、MCHを利用した場合は50,000DWTの輸送船が最大約640隻、液化アンモニアを利用した場合はタンク容量8.7万立方メートルの運搬船が約270隻必要となると算出されました。

アンモニアに関しては、2050年には3,000万トンの輸入が見込まれており、液化アンモニアを用いた場合には最大約110隻の船舶が必要になると推計されています。また、CO2の回収・貯留を目的とした輸送では、2040年におけるエネルギー需給の見通しに基づき、最大で年間0.7億トンのCO2を輸送することが想定され、これを液化CO2で運搬する場合、5万立方メートル型の輸送船が最大で180隻必要とされる結果となりました。

これらの数字はすべて、新造船で対応する前提のもとに算出されており、中長期的にはこれら新造船の代替建造も視野に入れて検討が進められています。現時点では既存船の再利用は想定されておらず、我が国の造船業界にとっては極めて大きな需要が発生することになります。

国土交通省は、こうした中間とりまとめの結果を踏まえ、今後は世界的な海上荷動きの動向も加味した船舶需要の検討を進めるとしています。日本が世界の海事産業において主導的な立場を維持し、次世代のエネルギー供給に不可欠な物流インフラを支えるためには、今回示されたような将来を見据えた具体的なビジョンと着実な準備が求められます。

このような予測と方針は、企業の採用担当者や人材戦略を担う部門にとっても重要な意味を持ちます。脱炭素社会に向けた取り組みが加速する中で、船舶設計、造船技術、物流マネジメント、エネルギー関連の専門人材に対する需要はさらに高まることが予想され、人材育成や採用戦略の見直しが急務となるでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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