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2025年6月28日

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農地集積率が61.5%に到達、令和6年度は過去最高の3.4万ha増で農地バンクが加速

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令和6年度の農地中間管理機構の実績等の公表について(農水省)

令和7年6月11日、農林水産省は令和6年度における農地中間管理機構、いわゆる「農地バンク」の実績と担い手への農地集積の状況を公表しました。この制度は、農地の細分化や分散といった課題を解消し、意欲と能力のある農業者や法人へ農地を集約させることを目的として、平成26年に創設された仕組みです。制度開始から10年が経過し、農業経営の効率化や地域農業の持続性確保に向けて一定の成果が見られることが今回の公表から明らかになりました。

令和6年度のデータによれば、担い手への農地集積面積は前年から3.4万ヘクタール増加し、集積率は過去最高となる61.5%に到達しました。これは農地全体のうち、6割以上が担い手に渡っていることを意味しており、農業経営の大規模化や効率化が着実に進行している現状を示しています。制度開始当初である平成26年度と比較すると、担い手への集積率は12.8ポイントの増加を記録しており、農地バンクを通じた農地流動化が制度の狙い通りに進んでいることが裏付けられています。

また、農地バンクによる集積面積は令和6年度だけで約22.5万ヘクタールに達しており、新たに集積された農地全体のうち約5割強が農地バンクを経由していることになります。この数字は農地バンクが全国的に機能している証左であり、地域ごとの農地マッチング支援体制が効果的に運用されていることを示しています。特に農業従事者の高齢化が進む中で、遊休農地や継承先が不透明な農地を積極的に流動化する役割を担っている点は、制度の社会的意義の高さを物語っています。

このような農地集積の進展は、農業法人の成長戦略にも大きな影響を与えています。安定的かつ広域的に農地を確保できる体制が整うことで、経営の規模拡大、設備投資、雇用の創出が促進されるほか、農業のデジタル化やスマート農業の導入にもつながります。また、自治体側にとっても地域の農業構造を再編成する有効なツールとして活用が進んでおり、地域間の連携によるブロック単位での農地集約など、広域的な農政の基盤づくりにも寄与しています。

さらに注目すべきは、農地バンクが全国に展開されていることで、都市部と地方との間の農業資源の再分配がより柔軟になっている点です。例えば、都市近郊で農地が不足する一方、地方では遊休農地が増加しているというギャップに対し、農地バンクはその仲介役として重要な橋渡しを行っており、これが農地利用の最適化と持続可能な農業生産体制の形成に貢献しています。

このように、農地中間管理機構の成果は、数字だけではなく、日本の農業構造そのものに与える影響の大きさにおいても極めて重要です。制度設計の柔軟性と地域ごとの対応力が功を奏しており、今後はさらに地域ニーズに即した農地集約の仕組みや、新規就農者の支援といった側面での拡充が期待されます。

⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ

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