2025年6月27日
労務・人事ニュース
米価格の見直しが消費マインドに影響、九州のスーパー現場から見える景気回復の兆しと限界(令和7年5月先行き)
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「駅チカ」/准看護師・正看護師/内科/クリニック/夜勤なし
最終更新: 2025年7月15日 23:04
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「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年7月15日 23:04
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「駅チカ」/准看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年7月15日 23:04
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「夜勤なし」/正看護師/有料老人ホーム/デイサービス/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年7月15日 23:04
景気ウォッチャー調査(令和7年5月調査)― 九州(先行き)―(内閣府)
令和7年5月に実施された九州地域における景気ウォッチャー調査の結果からは、地域経済の先行きに対する期待と不安が入り混じった実情が見えてきます。企業の採用担当者にとって、地域の景況感を把握することは、人材戦略や採用計画の立案に直結する重要な要素であり、本調査が提供する一次情報はその判断材料として極めて有用です。調査対象となった業種は小売業や観光業、製造業、サービス業など多岐にわたり、それぞれの現場から寄せられた声には、現実的な経済状況と生活者の動向が色濃く反映されています。
まず、商店街やスーパーなどの小売業では、米の価格変動が大きな注目を集めています。農林水産大臣による米価見直しの発表を受けて、食料品への消費意欲が高まるという期待が示された一方で、依然として物価高の影響が強く、来店者数の減少や買い控えの傾向が根強い状況にあります。特に商店街関係者からは「2~3か月先も景気は最悪の状況が続く」という厳しい声も聞かれ、空き店舗の長期化や小売店の減少が地域の活気を削いでいる現状が明らかになりました。スーパー関係者からは、「半年先までは景気上昇の兆しは見られない」との見解があり、構造的な問題である大手資本との競争の激化が地域スーパーに重くのしかかっていることがわかります。
一方、季節要因を背景に期待感を示す業種も存在しています。例えば、百貨店ではお中元や夏のセールに合わせた客足の増加を見込む声があり、飲食催事や父の日キャンペーンなどで一部売上の底上げが期待されています。また、家電量販店では、夏場に向けた冷房器具の需要が高まることに期待を寄せており、猛暑が商機につながると考えている担当者もいました。旅行代理店や観光型ホテルなどでは、大阪・関西万博や大型レジャー施設の開業が観光需要を喚起するという予測もあり、国内外からの来訪者の動向に注目が集まっています。
ただし、こうした楽観的な見通しに対して、多くの業種では景気の改善には慎重な姿勢が目立ちました。特に製造業や運輸業などの企業では、米国の関税政策や世界経済の不透明感、原材料価格の上昇、人件費の増加といった外部要因が影響しており、「当面は現状維持」「年内の回復は困難」といった意見が数多く聞かれました。産業廃棄物処理業や物流業では、取引先の動向や倉庫の空坪の増加といった具体的な変化が報告されており、特に自動車産業との連動性が高い九州においては、大手メーカーの動向が地域経済に与える影響が大きいことが強調されています。
雇用関連の動向にも注意が必要です。人材派遣会社や職業安定所の担当者からは、求人数自体は一定水準を保っているものの、実際の就職件数が前年を下回るなど、求人と求職のミスマッチが生じている実態が浮かび上がりました。また、新卒者の退職理由に職場の人間関係が挙げられるなど、職場環境の重要性も再認識されています。一方で、大学や専門学校の就職支援担当者からは、大手自動車メーカーの工場閉鎖や国際情勢による不確実性の高まりが、将来的な雇用の不安定化に直結しているとの懸念が示されました。
このような状況を総合的に見ると、九州地域では一部業種で季節性や政策対応を追い風にした前向きな見通しがある一方で、全体としては物価上昇の長期化、関税政策、国際経済の不透明感などにより、景気の先行きは依然として不透明であると言えます。企業の採用担当者にとっては、こうしたマクロ環境の影響が現場にどのように波及しているかを冷静に見極め、自社の採用計画や人材育成方針に反映させることが求められます。たとえば、インバウンド需要が見込める観光関連業種では語学力を備えた人材の採用が効果的となる一方で、ローカルスーパーなど価格競争が激化している業態では、コスト管理能力や地域密着型の接客スキルを持つ人材の確保が急務となります。
また、人材確保の観点からは、景気の先行き不透明な中でも、安定的な雇用を実現できるような柔軟な雇用形態や、職場環境の整備、働きがいの向上といった要素がますます重要になってきます。現場の声に耳を傾け、地域経済の動向を的確に把握しながら、持続可能な雇用戦略を構築することが、今後の企業競争力の鍵を握るといえるでしょう。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ