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景気ウォッチャー調査（令和７年５月調査）― 四国（先行き）―（内閣府）

令和7年5月に実施された景気ウォッチャー調査の四国地域における先行き判断からは、地域経済の多様な実態が見えてきます。商店街や観光関連、スーパー、家電量販店などにおいては、インバウンドの回復や夏のイベントを契機とした消費の増加を期待する前向きな声が挙がっており、一部には明るい兆しが見られる一方、全体としては物価の上昇や実質賃金の低下により、消費者マインドの回復が鈍く、先行きに対する慎重な見方が広がっています。

具体的には、商店街の代表者からは、夏祭りや地域イベントの開催予定に加え、クルーズ船の来航数が過去最高水準となっていることから、インバウンド消費への期待が語られました。観光業においても、国際航空路線の再開が予定されており、観光型旅館では7月以降の宿泊予約に明るい見通しを持っています。また、芸術祭の夏会期に向けた集客効果もあり、スーパーやコンビニでは、現状の売上が堅調であると報告されています。家電量販店では、夏のボーナスを見越したパソコンや季節商品の買い替え需要が見込まれ、販売増への期待が高まっています。

一方で、懸念材料も多数存在しています。まず最も大きいのは、物価の上昇が家計に与える影響です。多くの回答者が米や日用品、光熱費の上昇を指摘しており、これが消費の抑制につながっているとしています。特にコンビニやスーパーでは、商品の価格が上昇する一方で内容量の減少や品質の低下が見られるという声もあり、売上の停滞が懸念されています。衣料品や外食産業においても同様の傾向が見られ、顧客の購買意欲が著しく低下していると報告されました。あるレストラン経営者は、客がご飯を注文する率が以前は6割程度であったのに対し、現在は9割以上が注文しており、価格に見合う満足感を求めている実態が示唆されています。

企業動向に目を移すと、製造業の一部では受注増が見込まれているとの報告があります。木材関連や電気機械器具製造業では、バイオマス利用など地域資源を活かした新たな動きも見られ、特にカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが進展していることが注目されます。しかしながら、原材料価格の高騰、人件費や物流費の上昇が利益を圧迫しており、価格転嫁の困難さが企業収益に大きく影響を与えています。加えて、米国の関税政策や為替の変動、地政学的リスクといった外部要因に対する不安も根強く、企業の投資意欲や新規受注への姿勢には慎重さが見受けられます。

建設業界では、民間の建築工事の見通しが厳しく、公共工事への依存度が高まっていることが報告されています。通信業でも、新規案件の獲得が進んでおらず、今後の成長分野が見いだしにくい状況にあります。広告業では、芸術祭や万博といった特定イベントの恩恵を受ける企業もある一方で、多くのクライアントは経費削減に動いており、全体的な景気の押し上げには至っていないようです。

雇用に関しても、明るい兆しは限定的です。職業安定所では、米国の関税や物価高の影響が落ち着きつつあるとしながらも、企業の採用意欲は依然として慎重であり、求人件数の大幅な回復は見込まれていません。民間職業紹介機関や人材派遣会社、求人広告関連企業からは、企業側の人材確保に対する苦戦が続いており、求職者の動き次第では景気が悪化するとの意見が相次いでいます。特に求人情報誌製作会社は、学生向け短期アルバイトの募集が落ち着く時期にあたっていることや、正社員募集の減少傾向を指摘し、今後しばらくは採用活動が停滞するとの見通しを示しました。

さらに、金融業界では、地域の給与水準が物価の上昇に追いついていないことから、消費が低迷していると報告され、こうした状況が地域経済の回復を妨げる要因となっています。全体として、景気回復への道のりはなお遠く、インバウンドやイベントによる一時的な需要増加が見られるものの、それが中長期的な経済成長に結びつくかは不透明です。企業の採用担当者にとっては、こうした不安定な経済状況を踏まえつつ、即戦力人材の確保や柔軟な雇用戦略の構築が求められる時期となっています。

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