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2025年6月27日

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近畿 京都市内の旅館で予約率が前年比15%増、インバウンド回復で語学人材の採用が急務に(令和7年5月先行き)

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景気ウォッチャー調査(令和7年5月調査)― 近畿(先行き)―(内閣府)

令和7年5月に実施された近畿地域における景気ウォッチャー調査では、企業や消費者の景況感に関する複数の側面が明らかになりました。物価上昇や海外の経済政策による不確実性が消費活動や採用動向に大きな影響を与えている一方で、地域の特性を活かした観光需要やイベント開催による集客への期待も高まっています。特に大阪・関西万博の開催が迫る中、近畿地方全体で観光関連業界の需要が堅調に推移する見込みが立っており、関連する宿泊業、運輸業、飲食業の現場では人材確保に向けた動きが加速しています。

近畿地方の宿泊業では、関西圏を訪れる国内外の観光客が増加しており、特に週末や連休中には稼働率が8割を超える施設も珍しくない状況となっています。京都市内の旅館では、インバウンド需要が着実に回復し、6月から9月にかけての予約率が前年比15%増加する見込みとされています。一方で、稼働率が高水準にある反面、人手不足の問題が依然として解消されていない現場が多く、外国人観光客への対応力を高めるために語学スキルを持つ人材の確保が喫緊の課題となっています。実際に、関西国際空港周辺のホテルでは、多言語対応が可能なスタッフの採用が進められており、アルバイトやパートも含めた柔軟な人員体制の構築が求められています。

飲食業においても観光需要の回復とともに来客数が回復傾向にあるものの、原材料費の高騰や人件費の上昇が利益率を圧迫している実態があります。特に和食店や高級レストランでは、原価率が前年比で5ポイント以上増加したという報告があり、価格改定を余儀なくされた店舗も見られます。ファストフード業界では比較的安定した集客が続いていますが、24時間営業を控える店舗が増加し、夜間勤務の人手確保が難しくなっている現状も指摘されました。飲食店全体としては、限られた人材で効率的な営業体制を築くことが求められており、採用活動では経験よりも柔軟性を重視する傾向が強まっています。

一方、小売業では、気温上昇に伴い夏物衣料や冷涼商品への需要が高まっているとの報告がありますが、消費者の節約志向が根強く、売上が前年比横ばいという企業も少なくありません。特にスーパーでは、生活必需品への支出が優先される傾向が強く、総菜や冷凍食品などの簡便商品に人気が集中しています。百貨店では催事や外商対応を通じて一定の売上は維持されていますが、高額商品の動きは鈍く、購買に慎重な消費者心理が反映されています。これにより、販売スタッフに対する専門性や接客スキルがより強く求められており、人材育成の在り方が採用計画にも影響を及ぼしています。

製造業に目を向けると、自動車関連部品や電子部品の需要は安定しているものの、アメリカの関税政策の影響が一部の輸出業者に重くのしかかっており、生産計画を慎重に見直す動きが広がっています。中小企業の中には、海外からの受注が前年比で10%減少した例もあり、国内需要への依存度が増しています。また、半導体不足による一部製品の納期遅延が解消されつつあるとの報告もあるものの、安定供給にはなお時間を要する見通しです。これに伴い、製造現場では経験豊富な技能職の採用が急務となっており、専門学校卒業者や実務経験者を中心とした採用戦略の強化が進められています。

建設業については、公共事業の発注が比較的堅調に推移しているものの、原材料価格の高止まりと熟練作業員の不足により、工期やコスト管理に課題を抱えています。特に大阪市や神戸市など都市部では再開発案件が増加傾向にあり、現場監督や施工管理技術者の確保が優先課題となっています。若年層の建設業離れを受けて、高校や専門学校との連携強化やインターンシップ制度の導入など、長期的な人材育成策が模索されています。

雇用環境全体としては、各業界での人手不足感が依然として強く、新卒者だけでなく中途採用市場でも競争が激化しています。近畿地域の有効求人倍率は全国平均を上回る水準で推移しており、特に飲食、宿泊、医療、物流といった労働集約型産業では人材確保が企業の経営に直結する最重要課題となっています。求職者側にとっては選択肢が多い環境である一方、企業にとっては条件提示の柔軟性や福利厚生の拡充が問われる時代となっており、単なる給与面だけでなく働きやすさやキャリア形成の観点からの差別化が必要とされています。

このように、近畿地域の経済は大阪・関西万博を起点とした需要増加という明るい兆しがある一方で、物価高や人材不足といった構造的な課題も存在し、採用戦略においても業界や職種ごとの実情を踏まえた柔軟かつ長期的な対応が求められています。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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