2025年6月26日
労務・人事ニュース
九州のスーパー売上は前年比10%増も来客数は微増にとどまり販売点数が伸び悩む(令和7年5月)
-
「駅チカ」/准看護師・正看護師/内科/消化器内科/クリニック/夜勤なし
最終更新: 2025年6月25日 22:42
-
「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/車で通えます
最終更新: 2025年6月25日 22:42
-
「夜勤なし」/准看護師/デイサービス/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年6月25日 22:42
-
看護師/福岡県/福岡市南区
最終更新: 2025年6月25日 14:04
景気ウォッチャー調査(令和7年5月調査)― 九州(現状)―(内閣府)
令和7年5月に実施された九州地域の景気ウォッチャー調査によれば、景気の現状に対する評価は非常に複雑であり、家計、企業、雇用の各分野で明暗がくっきりと分かれる結果となりました。特に企業の採用担当者にとって注目すべきは、求職者動向と求人市場の変化、そして物価上昇が雇用に与える深刻な影響です。調査結果から浮かび上がった傾向は、景気回復の兆しが見え隠れする中で、消費者心理の冷え込みやコスト高騰の影響が継続し、採用環境にも強い影響を及ぼしているという現実です。
まず、家計関連の動向では、消費行動が慎重になっていることがはっきりと確認できます。スーパーでは売上が前年を約10%上回る水準に達したものの、来客数は微増にとどまり、販売点数の伸び悩みが続いています。特売日を中心に購買行動が集中するなど、節約志向が根強い状況が続いています。また、米をはじめとする生活必需品の価格高騰が家計に与える圧力は大きく、商店街では買い控えが常態化し、来客数や売上の減少が深刻です。百貨店では一部の高額品やイベントによる来客で売上を維持している店舗もある一方、衣料品や日用品の販売は厳しく、全体的には前年割れの傾向が続いています。
企業動向では、建設業や製造業でのコスト増加と利益減少が大きな課題として浮上しています。住宅建設関連では材料費や人件費の高騰が価格転嫁を困難にし、収益性が低下しています。製造業では特に半導体関連の需要が低迷し、前年の50%以下の売上が半年以上続いている企業も報告されました。また、米国の関税政策による不確実性が受注の先延ばしを引き起こし、先行きの見通しに影を落としています。
運輸業界でも2024年問題や物流費の増加が影響を及ぼしており、拠点の再編や経費削減の取り組みが加速していますが、これが雇用や受注に与える影響も無視できません。さらに広告代理店では新聞折込広告の効果減退、そして観光業でもインバウンドに頼る傾向がある中、中国からの訪問者数は増えているものの、韓国からの減少が続いているなど、安定した需要の確保が困難な状況にあります。
雇用関連の動向もまた非常に注目すべき内容です。民間職業紹介機関からの報告では、理系人材の争奪戦が激化し、大学卒業予定者の内定率は過去最高の75.8%を記録するなど、採用活動の早期化と企業の採用意欲の高さが際立っています。一方で、派遣社員に関しては求人数が約3割減少、契約成約者も4割減と減少傾向にあり、業種や職種によって採用の二極化が進行しています。職業安定所からも、インバウンド需要に対応して採用を進める企業がある一方、新型コロナ以降の需要減少から廃業に至る飲食店があるなど、企業ごとの明暗が分かれているとの報告がなされました。
大学生の就職状況についても興味深い傾向が見られます。2026年3月卒業予定の学生を対象とした求人倍率は1.66倍と前年度の1.75倍からやや減少したものの、採用意欲自体は依然として高く、就職活動の早期化も相まって、早期内定率が上昇しています。特に理系学生は企業側からの争奪戦となっており、採用活動を前倒しで進める企業が多く見受けられます。
このように、九州地域では、生活必需品の価格上昇やエネルギーコストの増加が消費行動を大きく制約している中で、企業は採用活動においても柔軟な戦略の見直しが求められています。高額品やインバウンドに支えられている業種ではある程度の売上が確保されていますが、それ以外の分野では慎重な消費者の心理が如実に反映されています。また、人材派遣市場では業種によって需要に大きなばらつきがあり、全体としては求職者数が緩やかに増加している一方で、契約成立件数が落ち込んでいるという現実もあります。
こうした状況に対応するためには、企業側としては採用活動の早期化を進めると同時に、即戦力人材の確保と教育体制の強化、さらには雇用条件の見直しによる魅力付けが不可欠です。特に地元人材のUターンやIターンに対する支援策を充実させることで、地域に根付いた人材の定着が図れる可能性も高まるでしょう。景気の先行き不透明感が続く中でも、持続可能な雇用戦略を構築することが、地域経済の安定と企業成長の鍵を握っているのです。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ