2025年7月10日
労務・人事ニュース
年間2,854点のリチウム電池が不燃ごみに混入、火災事故が5年間で1.2倍に増加
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看護師/通勤手当/他 再雇用/昇給/福岡市中央区/六本松駅
最終更新: 2025年7月10日 02:35
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「駅チカ」/准看護師/病院/夜勤なし
最終更新: 2025年7月9日 23:04
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介護職員/JR筑肥線/九大学研都市駅/福岡市西区/福岡県
最終更新: 2025年7月10日 02:34
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「夜勤なし」/正看護師/特別養護老人ホーム/介護施設/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年7月9日 23:04
リチウムイオン電池等の回収・再資源化に関する調査(総務省)
令和7年6月25日、リチウムイオン電池(LIB)等の回収および再資源化に関する全国規模の調査結果が公表されました。この調査は、経済産業省と環境省が主導し、市区町村や製品メーカー、関連事業者など多方面の関係者を対象に実施されたもので、近年多発しているごみ処理施設での火災事故や、資源循環施策の強化に向けた対応を目的としています。特に注目されるのは、LIB製品が不適切に廃棄されたことで火災リスクが急増しているという点です。
調査によると、全国の50市を対象とした分析において、不燃ごみとして排出されたLIB製品は2,854点、総重量はおよそ1.3トンにも上りました。混入が多かった製品としては、加熱式たばこ、携帯電話、モバイルバッテリー、電気かみそり、電気掃除機などが挙げられています。とくに加熱式たばこに関しては資源法の対象外であり、制度上の対応が遅れていることも明らかになりました。しかもこれらのLIB製品のうち、電池の取り外しが容易なものは1割程度、リサイクルマークが表示されているものは約半数にとどまり、消費者への適切な情報提供や製品設計のあり方にも課題が残されています。
火災事故に関しても深刻な状況が浮き彫りになっています。令和元年度には38市(76%)だった火災事故発生自治体数は、令和5年度には45市(90%)にまで増加。5年間で29市において火災件数が増加し、そのうち15市ではごみ処理施設の稼働停止など重大な被害が確認されました。たとえば、ある自治体では廃棄物処理施設のコンベヤが損傷し、約1か月半にわたり処理が停止。別の市では発火によって施設の基幹設備が損傷し、損害額は11億円にのぼるなど、日常生活にも深刻な影響を与えています。
回収体制の現状については、定日回収や拠点回収などの取り組みが進んでいる一方で、多くの市区町村が財政負担や処分業者の確保に苦慮しています。調査対象50市のうち、定日回収を実施しているのは24市(48%)、拠点回収を行っているのは12市(24%)にとどまります。また、回収されたLIB製品のうち約46%は、焼却・埋立て・一時保管という形で処理されており、資源としての再利用には至っていない実態も明らかになりました。
特に問題視されているのが破損・膨張したバッテリーの取り扱いです。ストックされている市では、火災リスクが現場職員の精神的負担になっているケースもあり、保管方法の不備や処分業者の不在が深刻な課題となっています。例えばある市では、破損したモバイルバッテリーを4年間にわたりドラム缶15本分も保管しており、その多くは適切な管理下には置かれていません。
また、住民による排出行動も制度の盲点になっており、環境省の試算では、LIBの過半が製品メーカーによる自主回収の枠組みではなく、市区町村の一般ごみに出されている可能性があると指摘されています。これは再資源化の観点から見ても大きな損失であり、制度の見直しが急務です。
こうした課題を受けて、経済産業省と環境省は、製品メーカーによる自主回収対象品目の追加や、地方自治体に対する回収方法の情報提供、さらには住民の排出行動の実態解明を進めるよう通知しました。令和7年3月には、環境省が定める回収方法に関する指針も改訂され、膨張・変形した電池を耐火容器で保管するなどの技術的助言も行われています。さらに、令和6年5月には資源循環の促進に向けた新たな法律も成立しており、認定処分事業者による広域回収が可能となったことで、処分業者不足の解消にも期待が高まります。
このように、リチウムイオン電池を含む製品の適切な回収と再資源化は、持続可能な資源循環型社会の構築に向けて不可欠な取り組みです。自治体、製品メーカー、住民がそれぞれの役割を果たしながら、制度の整備と実行力のある運用が求められています。
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ