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2025年7月9日

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令和7年4月の宅配便再配達率が8.4%に改善、令和4年10月比で2.2ポイントの減少を達成

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令和7年4月の宅配便の再配達率は約8.4%(国交省)

令和7年6月23日、国土交通省は全国の宅配便再配達率に関する最新の調査結果を公表しました。今回の調査は、令和7年4月の1か月間にわたって行われたもので、全国の大手宅配事業者6社から得られたデータを集計したものです。その結果、宅配便の再配達率は約8.4%となり、令和4年10月の10.6%と比較すると、実に2.2ポイントの減少が確認されました。これは、宅配便の利用が年々拡大する一方で、宅配ボックスや置き配といった多様な受取方法が普及し、再配達を回避する取り組みが着実に進んでいる証左といえます。

背景には、電子商取引(EC)の急速な拡大があります。令和5年度のEC市場規模は全体で24.8兆円に達し、そのうち物販系分野は14.6兆円と過去最大を更新しました。こうした市場の成長に伴い、宅配便の取扱個数も令和5年度で約50億個に上っており、これは国民一人当たり年間で約40個以上の荷物を受け取っている計算になります。しかし、この急増する物流需要に対し、対応するトラックドライバーの人手が不足しているという深刻な課題が浮き彫りになっています。

特に2024年問題として広く知られる、トラックドライバーの時間外労働の上限規制が本格施行された影響もあり、物流業界ではすでに人手不足が深刻化しています。こうした中、再配達率の削減は宅配事業者の負担軽減と業務効率化の両面から、喫緊の課題として位置付けられています。再配達1回当たりにかかる人的・時間的コストは無視できず、これを少しでも減らすことが、ラストマイル配送全体の効率向上に直結します。

今回の調査結果を地域別に見ると、都市部では再配達率が9.3%と最も高く、次いで都市部近郊が7.9%、地方では7.0%という結果でした。都市部では人口密度が高く、不在による再配達が依然として高い水準にある一方で、地方においてはやや低めの水準で推移しています。また、令和4年10月時点では都市部が11.4%、都市部近郊が10.1%、地方が9.9%といずれも2ポイント前後の改善が見られており、全体的に着実な前進が認められます。

再配達率の推移を見ると、平成29年10月の15.5%から徐々に低下し、令和5年には9%台まで改善されてきました。今回の8.4%という水準は、これまでの中でも特に低い水準であり、関係各所による取り組みの成果が如実に現れたものといえます。特に、国土交通省が進める宅配ボックスの導入支援や、置き配の普及促進といった施策が功を奏しており、受け取りの柔軟性を高めることで再配達の発生を未然に防ぐ仕組みが浸透しつつあります。

なお、参考値として集計された大手宅配事業者3社のデータでは、令和7年4月の再配達率は9.5%でした。これは令和6年10月の10.2%、令和4年10月の11.8%と比較しても顕著に改善されており、より幅広い物流現場で取り組みの成果が確認されています。こうした結果は、今後の政策立案や物流戦略の見直しにおいても有用な基礎データとなり得ます。

企業の採用担当者や人事部門にとっても、このような社会インフラの変化は無視できない影響を持ちます。たとえば、自社製品の配送効率や顧客満足度を高める観点から、再配達削減のための提携物流戦略や、配送体制の見直しが必要になる場合があります。また、企業のサステナビリティ方針に基づいた物流負荷の低減やCO2排出量の抑制を図るうえでも、再配達率の低減は有効な手段となります。こうした背景から、物流部門だけでなく、採用やCSRを担当する部門においても、業界の動向を正確に把握しておくことが求められます。

今後、国土交通省は年2回の定期調査を継続しつつ、宅配ボックスのさらなる普及や受取方法の多様化を推進していく方針です。特に人口集中地域においては、受取可能時間帯の柔軟化やITを活用した再配達通知の高度化が検討されており、官民連携による課題解決が期待されます。ドライバーの労働環境改善と物流の持続可能性を両立するには、消費者、事業者、政府の三者による協調的な取り組みが不可欠です。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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