2025年7月9日
労務・人事ニュース
労使関係が「安定的」と認識する企業が86.2%に達し、前回比で4.3ポイント上昇【令和6年調査】
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最終更新: 2025年7月8日 22:36
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最終更新: 2025年7月8日 22:37
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令和6年労使コミュニケーション調査 結果の概況(厚労省)
令和6年に実施された「労使コミュニケーション調査」の結果から、日本の事業所における労使関係の現状が浮き彫りになりました。この調査は厚生労働省が5年ごとに実施しているもので、労使間の意思疎通がどのように行われているのか、またその運用状況や職場における意識の実態を把握することを目的としています。令和6年の調査は、6月30日時点の状況を基に行われ、全国の常用労働者30人以上を雇用する民営事業所の中から抽出された5,490事業所のうち、有効回答を得たのは2,680事業所でした。さらに、これらの事業所に勤める常用労働者のうち、抽出された6,370人のうち2,613人から有効回答が得られ、これらのデータに基づいて集計が行われました。
まず、労使関係についての認識に関して、事業所側からは「安定的」との回答が86.2%を占め、前回の令和元年調査時の81.9%から上昇しました。これは、企業側が労働者との関係性を大切にし、円滑な労務管理を意識していることが反映されている結果と考えられます。特に、労使コミュニケーションを通じた職場環境の改善や業務運用の効率化などが評価された可能性があります。企業が重視する労使コミュニケーションの内容としては、「日常業務の改善」が76.1%と最も多く、次いで「作業環境の改善」が71.7%、「職場の人間関係」が68.6%と続きました。これらはいずれも前回調査とほぼ同様の水準を保っており、職場における日常的な課題解決が企業にとって重要な取り組みとなっていることを示しています。
また、労使協議機関の設置状況については、「ある」と回答した事業所が36.4%で、前回の37.1%とほぼ同水準でした。そのうち、直近1年間で「成果があった」と答えたのは59.3%で、これも前回の60.7%と大きな変化はありません。一方、職場懇談会については、「ある」と回答した事業所が49.9%で、前回の52.7%からやや減少傾向にあります。しかし、それでも職場懇談会が「開催された」割合は86.6%と高く、その中で「成果があった」とする事業所も78.0%に上っており、実施されている職場懇談会の多くが有効に機能していることがわかります。
一方、労働者側の意識に注目すると、労使コミュニケーションについて「良い」と感じている割合は55.8%で、前回調査の60.5%からやや減少しています。これは企業側の認識とはやや乖離している部分も見られ、企業が実施している取り組みが必ずしもすべての従業員に届いているわけではないことを示唆しています。労働者が重視しているコミュニケーションの内容では、「職場の人間関係」が66.0%で最多となり、次に「日常業務の改善」が59.0%、「作業環境の改善」が52.5%と続きます。これらの項目は企業側の認識と共通していますが、比率の違いや重点の置き方には若干の差異が見られ、労使間での優先順位の違いが垣間見えます。
さらに、企業内労働組合に対する労働者の加入状況については、企業内に労働組合が存在する事業所の労働者のうち、81.4%が「加入している」と回答しました。これは前回の66.2%から大幅な増加となっており、組合活動への参加意欲が高まっていることが示されています。「加入資格があるが加入していない」と回答したのは5.4%、「加入資格がない」としたのは13.1%であり、いずれも前回より減少していることから、労働者の意識が徐々に組織的な意思表示へと向かっている様子が伺えます。労働組合は労働条件の交渉や職場環境の改善などにおいて重要な役割を果たしており、その存在が労使間の良好な関係構築に寄与していることも、この結果から読み取れます。
これらの結果から導き出される示唆として、企業の採用担当者や人事部門が注目すべき点は、単に人材を確保するだけでなく、その後の職場定着やモチベーション維持のためには、労使間の信頼関係を築き、透明性のあるコミュニケーションを実践していくことの重要性です。労使コミュニケーションが職場環境や業務効率の向上に直結するという意識は企業にも広がっており、今後の人材マネジメントにおいて中核的な役割を果たすと考えられます。特に労働者側からの評価が企業側よりやや厳しめである点を踏まえると、採用後のフォローや働きかけの頻度・方法に対する見直しが必要であり、それが離職防止やエンゲージメント向上につながる要因となります。
以上を踏まえ、令和6年の労使コミュニケーション調査の結果は、今後の採用活動や労働環境整備の方針策定に大きなヒントを与えてくれる内容であるといえます。企業としては、労使関係を良好に保ち、働きやすい職場づくりを進めることで、優秀な人材の確保と定着を図ることが可能となります。労働者が安心して働ける環境づくりは、企業の競争力そのものであり、これからの雇用戦略には不可欠な視点となるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ