2025年7月8日
労務・人事ニュース
【令和7年4月】パート時給が平均1,369円に達し前年比4.1%増、非正規人材の確保に新たな指針
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「土日祝休み」/正看護師/特別養護老人ホーム/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年7月7日 22:35
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介護職員大牟田市/福岡県/西鉄天神大牟田線/西鉄銀水駅
最終更新: 2025年7月8日 07:36
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「夜勤なし」/准看護師/デイサービス/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年7月7日 22:35
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看護師/筑豊香月駅/福岡県/北九州市八幡西区
最終更新: 2025年7月8日 07:36
毎月勤労統計調査 令和7年4月分結果確報(厚労省)
令和7年6月24日に厚生労働省が公表した「毎月勤労統計調査(令和7年4月分結果確報)」では、日本国内の賃金動向や労働者の収入状況に関する詳細なデータが明らかとなりました。この調査は全国の事業所を対象に実施され、今回は全国32,754事業所を対象に調査が行われ、そのうち25,133事業所から有効な回答が寄せられ、回収率は76.7%に達しました。こうした広範なデータを基にした報告は、企業の採用戦略や人事評価制度、報酬制度の見直しにおいて非常に有益な情報を提供しています。
まず、名目賃金についての分析において、事業所規模5人以上の労働者全体における一人当たりの現金給与総額は301,698円となり、前年同月比で2.0%の増加が見られました。規模が30人以上の事業所では338,252円に上昇しており、前年同月比で2.4%の伸びを記録しています。この金額の上昇は、企業全体として給与引き上げの動きが続いていることを示しており、特に人材確保において積極的な取り組みを行っている中堅・大手企業の影響が強く反映されています。
一方で、「きまって支給する給与」は289,291円で前年同月比2.1%増、「所定内給与」は268,960円で2.1%の増加、「特別に支払われた給与」も12,407円で前年同月比0.1%ながらプラスを維持しています。特に所定内給与の増加は、基本給や手当のベースアップを示唆しており、単発的な支給ではなく継続的な賃金改善が図られていることがわかります。
さらに就業形態別に見ると、一般労働者における現金給与総額は388,077円で前年同月比2.5%増、所定内給与は342,363円で2.6%の増加が見られました。これは正社員を中心とした一般労働者の待遇改善が進んでいることを裏付けるものであり、正規雇用者に対する企業の投資姿勢が強まっていることがうかがえます。
また、パートタイム労働者においても賃金の上昇が確認されました。現金給与総額は111,850円で2.7%増加し、所定内給与は107,631円で2.7%増、さらに時間当たりの給与は1,369円となり前年同月比で4.1%の増加となっています。パートタイム労働者における時間単価の上昇は、労働市場における非正規人材の需要が高まっていること、また最低賃金の引き上げなど政策的要因が影響していると考えられます。
しかしながら、実質賃金においては厳しい現状も浮き彫りとなっています。消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)を用いた実質現金給与総額は83.5となり、前年同月比で2.0%の減少を記録しました。これは実際の給与が上昇していても、物価の上昇がそれを上回っていることを意味しており、労働者の購買力が低下していることを示しています。同様に、消費者物価指数(総合)を用いた場合も85.0と、前年同月比で1.5%の減少となっており、実質面での生活の厳しさがうかがえる結果となりました。
消費者物価指数そのものは、前年同月比で持家の帰属家賃を除いた総合指数が4.1%上昇、総合指数では3.6%の上昇となっており、エネルギー価格や生活必需品の価格高騰が家計に与える影響が依然として大きいことが分かります。このような背景のもと、企業としては賃上げの取り組みを進めるだけでなく、福利厚生の拡充や手当の見直し、柔軟な労働環境の提供など、トータルでの従業員支援策が求められる時代に突入しているといえます。
加えて、共通事業所による賃金動向も重要なポイントです。このデータは前年と同一の事業所を対象にしており、より正確に同一環境下での変化を把握できる特徴があります。就業形態計での現金給与総額は2.6%増、所定内給与は2.5%増、一般労働者ではそれぞれ2.7%、2.5%の増加、そしてパートタイム労働者においては現金給与総額が3.1%、所定内給与が3.2%と、いずれも前年を上回る結果となりました。これにより、同一事業所内でも継続的な賃金改善が進められていることが明らかになっており、企業の労務政策が実際の数値に反映されている点が高く評価されます。
このような状況の中で、採用担当者が着目すべき点は複数あります。まず、一般労働者における月収が平均38万円を超えている点は、競合他社との比較において給与水準が適切かどうかの判断材料となります。また、パートタイム労働者の時間給が平均1,369円まで上昇している点は、非正規人材の採用に際して最低限必要な条件を示しており、人手不足が深刻化する中で待遇改善が避けられない現実を物語っています。さらに、名目賃金が上がっている一方で、実質賃金が下がっているという現実は、単なる給与水準だけでなく、生活実感に基づいた従業員満足度の向上が求められていることを示唆しています。企業としては、こうした統計データを活用し、将来を見据えた総合的な人材戦略の構築が急務となっているのです。
以上の調査結果からは、日本の労働市場において賃金が名目上は着実に上昇している一方で、物価上昇によってその実質的な価値が損なわれつつあるという二面性が明確に浮き彫りになっています。人材確保と離職防止を図る上では、給与面だけでなく、働きがい・ワークライフバランス・キャリア支援といった多角的な視点からのアプローチが欠かせません。企業の採用担当者にとっては、こうした調査結果を単なる数字として捉えるのではなく、組織の現場での課題と直結させた具体的な行動計画に活かすことが求められています。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ