2025年7月13日
労務・人事ニュース
令和7年5月埼玉県の有効求人倍率1.21倍
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「ブランクOK」/准看護師・正看護師/特別養護老人ホーム/介護施設/残業ありません
最終更新: 2025年7月12日 23:04
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「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/車で通えます
最終更新: 2025年7月12日 23:04
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「夜勤なし」/正看護師/デイサービス/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年7月12日 23:04
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「夜勤なし」/准看護師/有料老人ホーム/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年7月12日 23:04
埼玉労働市場ニュース(令和7年5月分)(埼玉労働局)
令和7年5月、埼玉県の有効求人倍率は1.21倍となり、前月比で0.02ポイントの微減が確認されました。この数値は全国平均に対して大きな乖離は見られないものの、県内の労働市場においては微妙な変化が進行している兆候とも受け取れます。有効求人数は105,500人で前月比0.4%の増加、新規求人数も36,043人で同0.1%増加しています。一方、有効求職者数は86,909人で1.5%増加、新規求職者数も17,076人で1.8%増と、求職者側の動きも活発化しており、需給双方が拮抗する様相を呈しています。
企業の採用担当者として、この有効求人倍率1.21倍という数値をどう読み解くかが、今後の人材確保の鍵となります。有効求人倍率が1を超えるということは、1人の求職者に対して1件以上の求人がある状態を意味し、企業側にとっては人材の確保が容易ではないことを示しています。とくに埼玉県のように都市圏へのアクセスも良く、多様な産業が集中する地域では、他企業との人材獲得競争が激化している現実があります。
また、正社員有効求人倍率の動きも無視できません。受理地別では0.82倍、就業地別では0.90倍といずれも前年同月より上昇しており、正社員として働きたい求職者と正規雇用を希望する企業の間には、需給のギャップが縮小しつつあることがわかります。特に注目すべきは、新規求人のうち正社員求人の割合が45.5%で、前年同月比では3.6ポイント低下している点です。これは、企業側が非正規雇用を増やしている可能性を示す一方で、求職者側の正社員志向がやや後退していることも示唆しています。新規求職者のうち正社員希望者の割合は58.6%と、こちらも前年同月比で0.7ポイント低下しており、労働市場における雇用形態の流動化が進行している兆しが見えます。
このような環境下で採用活動を行う企業にとって重要なのは、ターゲットとする人材層に合わせた採用手法の見直しです。まず、求人票の表現を再考する必要があります。待遇や給与といった従来型の情報だけでなく、働きやすさ、柔軟な働き方、研修制度、キャリアアップの可能性など、求職者が重要視する情報を丁寧に提示することが大切です。たとえば、埼玉県内では情報通信業が前年同月比で92.1%の大幅な新規求人増加を見せており、特にインターネット付随サービス業や情報処理・提供サービス業での求人が顕著です。こうした成長分野では、スキルを重視する採用が求められるため、職務内容の詳細や求める人材像を具体的に示すことが有効です。
一方で、宿泊業や飲食サービス業、教育・学習支援業、建設業などでは新規求人が前年同月比で大幅に減少しています。こうした業界では、労働環境の厳しさや人手不足が背景にあると考えられ、企業側も採用難を覚悟せざるを得ない状況です。そのため、採用活動においては単なる人員補充にとどまらず、「この職場で働くことの意義」や「やりがい」を明確に打ち出すことが、応募者数の増加と定着率向上に直結します。
また、ハローワークのデータによると、雇用形態別ではパートの新規求人が前年同月比で1.8%増加しており、特にサービス業や医療・福祉分野での需要が高まっています。この傾向からも、企業はフルタイム人材だけにこだわらず、ライフスタイルに合った多様な雇用形態を提供することが求められていることが分かります。たとえば、子育て世代やシニア層を対象にした時短勤務制度や、希望勤務時間の柔軟化など、柔軟な働き方の導入が差別化要因となります。
さらに、採用活動を支えるための情報発信手段も強化する必要があります。現在では、ハローワークインターネットサービスをはじめ、企業公式サイトやSNSなどを通じた情報発信が重要性を増しています。求人情報を一方的に掲載するだけでなく、実際に働く社員の声や1日の業務の流れを紹介することで、求職者に具体的なイメージを持ってもらうことが可能になります。こうした取り組みは、企業への信頼感を醸成し、応募者の質を高める上でも効果的です。
雇用情勢におけるもう一つの注目点は、物価の上昇が雇用に与える影響です。企業にとっては人件費の上昇が経営圧迫要因となりうる一方で、求職者側からすれば生活費の増大に対応するため、賃金水準を重視する動きが強まることが予測されます。したがって、給与水準だけでなく、福利厚生やインセンティブ制度の充実も、競争力のある採用活動を行うためには欠かせない要素となるでしょう。
最終的に企業の採用活動で求められるのは、短期的な人材確保だけではなく、中長期的な人材戦略の構築です。埼玉県の労働市場では、人口構造の変化や働き方の多様化といった構造的な要因が複雑に絡み合っており、これらを理解した上での柔軟な対応が求められます。採用活動は単なる人事業務ではなく、企業経営の根幹を支える戦略的な取り組みであることを、改めて認識することが求められています。
⇒ 詳しくは埼玉労働局のWEBサイトへ