2025年7月19日
労務・人事ニュース
月給30万円時代突入、平均賃金が41カ月連続で上昇した令和7年5月の賃金動向
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「ブランクOK」/准看護師・正看護師/内科/クリニック
最終更新: 2025年7月18日 22:35
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「土日祝休み」/准看護師・正看護師/整形外科/リハビリテーション科/内科/病院
最終更新: 2025年7月18日 22:35
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障がい児施設の保育士/障がい児者デイサービス/週2日~勤務OK/扶養内勤務OK/無料駐車場完備/未経験可
最終更新: 2025年7月18日 09:43
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「駅チカ」/准看護師・正看護師/小児科/アレルギー科/クリニック/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年7月18日 22:35
毎月勤労統計調査 令和7年5月分結果速報(厚労省)
令和7年5月の毎月勤労統計調査速報が公表され、全国の雇用や給与の動向が明らかになりました。企業の採用戦略や人事制度の見直しに直結する数値が多数示されており、注目すべき内容が多く含まれています。特に賃金動向は、物価変動とあわせて実質的な生活水準や購買力に直結するため、企業経営や労務政策において重要な指標となります。
まず、全体の平均的な賃金水準を示す「現金給与総額」は、調査対象となった規模5人以上の事業所において、1人当たり月額300,141円となり、前年同月比で1.0%の増加となりました。これで41カ月連続のプラス成長となり、安定した上昇傾向が続いていることがわかります。さらに、規模30人以上の事業所では335,164円となり、前年同月比で0.3%の増加となりました。こちらは51カ月連続のプラスと、より長期的な上昇基調が見られます。
毎月支払われる定期的な給与である「きまって支給する給与」は、平均287,546円で前年同月比2.0%の増加となり、こちらも43カ月連続でプラスを維持しています。特に基本給や家族手当、時間外手当などを含む「所定内給与」は、268,177円と前年比2.1%増で、同じく43カ月連続で増加しています。一方で、賞与や一時金などを含む「特別に支払われた給与」は12,595円となり、前年同月比で18.7%の大幅な減少となりました。これは季節的な要因や、支給のタイミングが不規則であることが影響している可能性があります。
一般労働者に限定してみると、現金給与総額は384,696円で前年比1.1%増、所定内給与は340,249円で前年比2.5%増となっています。所定内給与の伸びは、労働市場の改善や人材確保のためのベースアップなどが影響していると考えられます。特に所定内給与の増加が52カ月連続という結果は、安定した労働環境の確保と企業側の継続的な賃上げ姿勢を示すものと受け取ることができます。
パートタイム労働者の状況も見逃せません。時間当たりの所定内給与は1,382円で、前年比4.0%の増加となりました。これは47カ月連続の上昇であり、非正規雇用の待遇改善が進んでいることがうかがえます。特に近年は、同一労働同一賃金の原則が浸透してきたことや、人手不足の影響でパートタイム労働者への支払額が引き上げられていることが背景にあると考えられます。
ただし、名目賃金の増加に対して、物価の上昇が実質賃金を押し下げるという課題も顕在化しています。実質賃金指数は、令和2年を基準とした場合、持家の帰属家賃を除いた消費者物価指数で実質化すると82.8となり、前年比で2.9%の減少となりました。これで5カ月連続のマイナスです。また、総合の消費者物価指数で実質化した場合は84.3で、前年比2.4%の減となっています。消費者物価指数自体が前年同月比で4.0%上昇しており、賃金上昇が物価上昇に追いついていない状況が続いていることがわかります。
このような実質賃金の減少は、労働者の購買力が低下していることを意味します。企業としては、名目上の賃上げだけでなく、実質的な生活向上を意識した報酬設計が求められる場面が増えていくと考えられます。人材獲得競争が激化する中で、物価変動を考慮した柔軟な賃金体系の見直しが急務といえるでしょう。
今回の調査においては、1月に調査対象の事業所の一部入れ替えが行われた影響もあり、数値の解釈には慎重さが求められます。具体的には、現金給与総額において、入替え前後で2,541円(-0.9%)の断層が発生しており、「きまって支給する給与」でも1,897円(-0.7%)の断層が確認されています。これは統計的な特性の変化を示すものであり、長期的なトレンドを見る上では補正が必要となる可能性があります。
また、今回公表された数値は速報値であり、今後確報として改訂される場合があります。そのため、企業が人事制度の見直しや賃金交渉の資料として利用する際には、最新の確報値を確認することが重要です。
一方で、今回の統計は規模5人以上の事業所を対象としたデータであるため、より小規模な企業の実態を反映していない可能性があります。特に中小企業や零細企業における賃金動向は、大企業とは異なる傾向を示す場合があり、地域ごとの賃金格差や業種別のばらつきについても別途考慮する必要があります。
まとめとして、今回の毎月勤労統計調査からは、名目賃金が堅調に推移している一方で、物価上昇の影響により実質賃金が減少傾向にあるという二面性が読み取れます。企業にとっては、優秀な人材を確保し、働き続けてもらうためには、単なる賃上げだけでなく、福利厚生や柔軟な働き方、物価を意識した報酬体系の見直しが必要になってきます。採用担当者にとっても、こうした統計結果を的確に把握し、自社の魅力や差別化ポイントを戦略的に打ち出す姿勢が今後ますます重要になってくるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ