2025年8月4日
労務・人事ニュース
宿泊税200円で観光インフラを強化、岐阜市が描く地域雇用と企業連携モデル
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最終更新: 2025年8月4日 09:34
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アイリスト/西鉄久留米駅/社員募集/8月4日更新
最終更新: 2025年8月4日 01:07
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最終更新: 2025年8月4日 09:34
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訪問看護師/即日勤務可
最終更新: 2025年8月4日 09:34
岐阜県岐阜市「宿泊税」の新設(総務省)
岐阜県岐阜市は、観光による地域活性化と持続可能な都市の魅力向上を目指し、令和8年4月1日から新たに宿泊税を導入することを正式に決定しました。この宿泊税は、法定外目的税として位置づけられており、宿泊者から広く薄く負担を求めることで観光振興に必要な財源を確保する制度です。すでに令和7年3月27日には岐阜市議会にて条例案が可決され、4月22日には総務大臣との協議が行われ、7月22日付で同意が得られたことで、制度導入に向けたすべての準備が整いました。
宿泊税の課税対象は、岐阜市内に所在する旅館業法の許可を得た旅館・ホテル・簡易宿所、または住宅宿泊事業法に基づく届出をした民泊施設など、宿泊行為が発生する全ての事業者です。納税義務者は宿泊者自身であり、税額は1人1泊あたり200円と定められています。徴収は特別徴収方式により行われ、宿泊施設が宿泊者から税金を徴収し、それを市へ納める仕組みとなります。この方式は、宿泊者にとってもわかりやすく、事業者にとっても管理のしやすい制度となっており、すでに他自治体でも導入例が多数あります。
岐阜市では、この宿泊税によって平年度ベースで約1.4億円の税収が見込まれており、徴税に要する費用は約340万円に抑えられる見通しです。税収の使途については、明確に四つの柱が定められています。第一に、「観光客に選ばれるまち」を目指すための誘客促進およびプロモーション事業への投資。第二に、「何度でも訪れたくなるまち」を実現するためのおもてなし向上事業。第三に、観光資源の創出と魅力向上を図る事業。そして第四に、観光インフラの整備など地域全体の観光基盤の強化を目的とした取り組みです。これらの施策は、市民と観光客の双方にとって価値ある環境を整えるための重要な手段であり、観光産業の競争力を高めるとともに、地域の持続的な発展にも直結します。
一方、課税にあたっては一部免除規定も設けられており、修学旅行などの教育目的による宿泊や、年齢が12歳に達する日以後の最初の3月31日までの子どもに対しては課税が免除されます。このように教育的配慮を組み込んだ制度設計がなされている点は、地域の住民や教育関係者にとっても理解と支持を得やすい内容となっています。
宿泊税の導入により得られる財源が具体的にどのような形で活用されるのかは、今後の観光戦略にとって大きな意味を持ちます。岐阜市には金華山や長良川鵜飼、岐阜城といった歴史的資源があり、また自然と都市が融合した風景美も魅力の一つです。こうした地域資源を最大限に活かすには、単なる観光PRにとどまらず、施設のバリアフリー化、多言語対応案内の整備、地域ならではの体験コンテンツの開発など、質の高い観光施策が求められます。宿泊税の導入はまさにその原資としての役割を果たし、観光資源の磨き上げと来訪者の満足度向上に資することが期待されます。
また、企業の採用担当者にとっても、今回の宿泊税導入は無関係な話ではありません。観光振興策が進めば、それに伴い観光関連産業を中心とする人材ニーズが高まるのは当然の流れです。宿泊業だけでなく、飲食、交通、物販、地域ガイド、イベント企画運営、さらには観光マーケティングやITを活用した観光DX分野など、多岐にわたる業種での人材確保が求められるようになります。加えて、近年需要が高まる多言語対応人材、インバウンド観光に対応した接遇力を持つ人材、地域文化や歴史に精通した専門的ガイドなど、高度なスキルを持つ人材への需要も比例して拡大するでしょう。
また、観光振興が進むことで、地域に新たな雇用が生まれるだけでなく、UターンやIターン人材の呼び込みも加速します。特に、岐阜市は教育環境や住みやすさにも定評がある地域であり、地方で働きたい、暮らしたいと考える人々にとっては魅力的な移住先ともなり得ます。企業にとっては、こうした地域の魅力を採用活動に活かし、地元に根ざした人材の確保を進めていくことが戦略的な人事施策につながるのではないでしょうか。
さらに注目したいのは、宿泊税を原資とした観光施策が民間事業者との連携を前提として進められる可能性が高い点です。たとえば、民間企業による観光施設運営、地域資源を活かした体験型ツアーの企画運営、地元産品を使った土産品開発、観光情報の発信など、自治体とのパートナーシップが期待される分野は数多くあります。そうしたプロジェクトが立ち上がることによって、地域経済の活性化とともに、新たな雇用の創出、特に若年層の就業機会の確保にも貢献することが見込まれます。
制度施行後は3年を目途に見直しが予定されており、社会情勢や観光需要の変化を踏まえた柔軟な制度運用が期待されています。このように持続的な運用と改善が制度に組み込まれている点も、制度導入の信頼性を高めている要素です。宿泊税が単なる徴収制度としてではなく、地域全体の価値向上を目指す政策ツールとして有効に機能していくためには、こうした柔軟性と継続的な見直し姿勢が不可欠です。
岐阜市が目指す「観光によるまちづくり」は、経済の側面だけでなく、文化の継承、住民生活の質の向上、そして外部からの交流を通じた地域社会の活性化にまで波及する総合的な取り組みです。企業にとっては、このような大きな流れを的確に捉え、地域とともに成長する戦略を描くことが、これからの人材採用のあり方を考えるうえでますます重要になっていくでしょう。
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ