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2025年8月9日

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八潮市の道路陥没事故受けて改正、省令で全国に地下点検義務拡大

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「道路法施行規則の一部を改正する省令」の公布について ~占用物件の維持管理の基準を強化します~(国交省)

令和7年7月25日、道路の安全性確保を目的とした「道路法施行規則の一部を改正する省令」が公布されました。今回の改正は、道路占用物件の維持管理基準を強化し、道路管理者がその安全性や維持管理状況を的確に把握できる体制を整えることを主眼としています。背景には、同年1月28日に埼玉県八潮市で発生した下水道管の破損に起因する大規模な道路陥没事故があり、こうした事態を未然に防ぐための抜本的な対策が求められていました。

これを受けて設置された「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」では、リスク情報の共有体制のあり方をはじめ、道路管理者と道路占用者との間での連携強化について議論が進められてきました。すでに国が管理する直轄国道では、令和元年に策定された「道路管理者による占用物件の維持管理の適正化ガイドライン」に基づき、占用期間満了時の更新の際に占用物件の安全性に関する書面提出が義務付けられ、一定の安全確認体制が整っています。

しかし、地方公共団体が管理する道路においては、このような取組が十分に広がっておらず、都道府県では約6割、市町村ではわずか2割程度にとどまっている状況です。このため、管理者による占用物件の状態把握が限定的であり、安全性への懸念が指摘されていました。

このような状況を打開するべく、令和7年4月からは、全国の都道府県で地下占用物連絡会議の設置が始まり、道路管理者と占用者が互いに点検計画や結果、さらには道路陥没防止に向けた取組状況などを共有する枠組みが整えられつつあります。今回の省令改正は、この連絡体制を法令上でより明確化・制度化するものと位置づけられます。

具体的な改正内容としては、道路法施行規則第4条の5の5に新たな基準が追加され、道路占用者に対して、占用物件の安全性を確認した旨の報告が義務付けられます。報告のタイミングは占用物件の種類に応じて異なり、電柱・電線・地下管路等のインフラに関しては、占用期間の更新時に加えて5年に1度の報告が必要となります。それ以外の物件については更新時に報告すれば足ります。さらに、電柱や地下管路等の占用者は、道路管理者が組織する協議会が定めた周期に基づき、点検の実施状況や結果などについても定期的に報告する義務が課されます。

この取り組みは、国が管理する道路と地方自治体が管理する道路との間に生じていた安全管理体制の格差を是正し、全国一律の高い安全基準を構築することを目的としています。点検や情報共有の対象となる占用物件は多岐にわたりますが、特に道路の地下を通るインフラ設備は、直接目視が難しく劣化の兆候を捉えにくいため、こうした定期的な報告制度の導入は事故防止に極めて有効です。

省令の公布日は令和7年7月25日、施行は令和8年4月1日とされており、全国の関係者はこの施行期日までに対応準備を進める必要があります。道路の安全性は、利用者の生命や社会活動の継続に直結する重大な問題であるため、今後は道路管理者と占用者が緊密に連携し、確実な情報共有と点検体制の運用が求められることになります。

このように、法令改正による維持管理体制の強化は、行政の信頼性を高めるとともに、企業や団体が社会的責任を果たす上でも重要な意義を持ちます。道路インフラに関わる全ての関係者にとって、今回の改正内容を正しく理解し、実効性ある対策を講じることが喫緊の課題といえるでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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