2025年8月13日
労務・人事ニュース
ドラッグストアが節約志向の受け皿に、消費者行動の変化顕著
-
介護職員福岡市早良区/福岡県
最終更新: 2025年8月13日 15:07
-
介護職員/福岡県福岡市営地下鉄七隈線/茶山駅からバス:天神方面より12番乗車「田島」より徒歩約15分/福岡市城南区
最終更新: 2025年8月13日 15:07
-
医療業界の薬剤・調剤業務/薬剤師/即日勤務可
最終更新: 2025年8月14日 01:02
-
看護助手/福岡県甘木鉄道/西鉄甘木線/甘木駅から徒歩7分
最終更新: 2025年8月13日 15:07
令和7年度経済財政白書 第1章 日本経済の動向と課題 第2節 物価・賃金の動向~好循環の実現に向けた動き~(内閣府)
この記事の概要
2025年前半の日本経済においては、国際的な情勢や米中間の関税措置、中東の緊張などにより物価が大きく変動しています。国内では円高傾向が輸入物価の抑制要因となりつつも、食料品を中心とした価格上昇が依然として消費者物価指数に強い影響を与えています。また、企業間取引ではエネルギーや人件費の影響を受けた価格転嫁が進んでおり、サービス部門においても物価上昇が続いています。この記事では、2025年上期の物価と賃金の動向を軸に、日本経済の変化とその背景を詳しく解説します。
2025年に入ってから、日本の物価は依然として大きな影響を受けやすい状態にあります。その主な背景には、米国と中国の関税引き上げ合戦、中東地域の地政学的緊張、さらには国内における円高傾向などが挙げられます。特に原油価格については、2025年4月に1バレル60ドル台まで下落したものの、その後イスラエルとイランの武力衝突によって75ドル台まで急騰し、国際情勢が価格変動のリスクを高めている状況が続いています。このような国際市況の変動は、企業活動や家庭の生活に直接影響を与えています。
一方で、国内の輸入物価は円高の影響を受けて下落傾向にあり、契約通貨ベースでは横ばいで推移しているものの、円建てでは価格が抑制される方向に動いています。特にエネルギー関連では、ガソリンや電気・ガス料金に対する政府支援策も影響し、価格の上昇をある程度食い止めている状況です。ただし、こうした支援策が段階的に縮小されていく中で、再び価格が上昇するリスクも存在しています。
2024年以降の企業物価に関しては、米の価格上昇が食料品全体の押し上げ要因となり、企業間の取引価格においても上昇傾向が続いています。特に、政府が米の備蓄を放出したにもかかわらず、その価格抑制効果が消費者物価指数に直接反映されないことから、実際の価格高騰と統計上の乖離が発生しています。このような状況においては、POSデータなど多角的なデータをもとにした実態の把握が一層重要になっています。
また、企業向けサービスの価格も人件費の上昇に伴い、緩やかに上昇しています。宿泊や運輸、ソフトウェア開発、建築設計など、人件費比率の高い分野では、賃金上昇分が価格に転嫁されるケースが増加しています。実際、企業向けサービス価格指数は2025年5月時点で前年比3%台に達しており、1990年代初頭以来の高水準を記録しています。これは、インバウンド需要の回復も相まって、サービス業全体の価格上昇を後押ししています。
消費者物価に目を向けると、特に食料品価格の高騰が顕著です。2025年1月には前年同月比で4.0%に達し、米の価格は2倍以上にまで跳ね上がっています。この影響で、おにぎりやパックご飯、すし弁当といった加工食品の価格も上昇しています。高温など天候要因による生鮮野菜の供給減少や、カカオ豆・コーヒー豆などの国際価格高騰も消費者物価に大きな影響を与えています。
こうした食料品価格の上昇背景には、原材料費の高騰に加え、物流費や人件費の上昇が密接に関係しています。特に物流費に関しては、トラック運転手の人手不足により運賃が上昇しており、企業はその分を販売価格に転嫁せざるを得ない状況です。また、33年ぶりの高水準となる賃上げも、価格転嫁の一因となっています。
これに加えて、消費者の購買行動も変化しています。価格の安いドラッグストアへと購買の場を移す動きや、より安価なプライベートブランド商品への代替など、節約志向が強まっています。企業側もこうした動きに対応し、2024年以降は容量を減らすことでの「実質値上げ」よりも、継続商品の直接的な価格引上げにシフトしている傾向があります。
エネルギー価格については、政府による支援策の影響が強く、実際の価格水準は仮想的な支援なし価格に比べて低く抑えられています。ただし、前年同月比の上昇率で見ると、2024年以降は支援の効果がはく落するため、統計上では高い上昇率が示されるようになっています。これにより、実際の価格上昇を正確に把握するには、支援策の有無も考慮に入れる必要があります。
また、為替レートの変動は輸入物価に約10か月のラグをもって影響を及ぼすとされており、2025年以降の円高傾向が続けば、2026年にかけて食品価格の抑制が進む可能性があります。とりわけ食料工業製品など、加工食品を中心とした価格は、輸入物価の変化に敏感に反応することが確認されています。
最後に、国際比較においては、日本の財価格は米国や欧州に比べて依然として高い伸びを維持しています。特に食料品分野では、2025年春時点で前年比5%前後の上昇率となっており、エネルギー支援を除いても高い水準です。一方、サービス価格は米欧に比べて低い伸びにとどまり、日本の経済構造上の特性が表れているとも言えます。
企業にとっては、今後も続くであろう物価と賃金の好循環を見据えた価格戦略や、コスト構造の見直しが求められます。また、政府支援や為替動向、消費者の購買行動の変化といった複合的な要因を的確に分析し、柔軟に対応していく姿勢が重要となるでしょう。
この記事の要点
- 2025年前半、日本は米中関税や中東情勢の影響で原油価格が急変
- 円高傾向が続いたことで、輸入物価は円建てで下落傾向に
- 食料品価格は米の高騰などにより依然として消費者物価に強い影響
- 企業物価は原材料費とエネルギー価格の上昇が押し上げ要因
- サービス価格は賃上げにより緩やかに上昇しつつある
- 政府によるエネルギー支援策がCPI水準に大きく影響
- 為替の変動は10か月後に食品価格に影響を及ぼす傾向
- 企業は継続商品の価格引上げへと戦略をシフト
- 消費者は価格の安い業態やブランドへシフトする傾向が強まる
- 今後の価格動向には為替、国際情勢、政策対応が密接に関係
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ