2025年8月15日
労務・人事ニュース
令和7年1月 全国平均327,445円 地域により6万円以上の差あり(事業所規模30人以上 調査産業計)
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介護支援専門員/福岡県/西鉄貝塚線/貝塚駅/福岡市東区
最終更新: 2025年8月15日 02:17
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介護職員/福岡市早良区/福岡県
最終更新: 2025年8月15日 02:17
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介護職員/JR筑肥線/九大学研都市駅福岡市西区/福岡県
最終更新: 2025年8月15日 02:17
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介護職員/福岡県/久大本線/筑後吉井駅/朝倉市
最終更新: 2025年8月15日 02:17
毎月勤労統計調査地方調査 令和7年1月分結果概要 事業所規模30人以上 調査産業計(厚労省)
この記事の概要
令和7年1月時点での全国および都道府県別の労働統計データから、労働時間や給与の実態が明らかになりました。本記事では、常用労働者数や所定外労働時間、給与の金額などを詳細に読み解き、地域ごとの労働環境の違いや特徴を丁寧に分析しています。
令和7年1月に公表された労働統計によれば、全国の常用労働者数は3,110万人を超えており、広範な業種や地域で安定した雇用が維持されている状況が示されています。全国平均の総実労働時間は135時間で、そのうち所定内労働時間は123.9時間、所定外、すなわち残業時間に相当する部分が11.1時間となっており、全体的には法定労働時間を大きく逸脱するものではない印象を与えます。ただし、地域別に見るとその傾向にはばらつきがあり、たとえば青森県では総実労働時間が143.6時間と全国平均を上回る一方、所定外労働時間は10.7時間にとどまっており、長時間労働の背景には定時内業務の長さが影響している可能性があります。
また、出勤日数も地域により差があり、青森県は18.4日と全国平均の17日を上回っています。これは冬季の降雪などによる交通事情が影響している可能性も考えられ、労働環境の地域的な特性が反映されていると言えます。北海道においても出勤日数は17.3日で、全国平均よりやや高くなっており、労働者の勤務実態が比較的安定している地域であることが読み取れます。
給与に関しても興味深いデータが示されています。全国の現金給与総額の平均は327,445円で、うち「きまって支給する給与」が314,095円、「所定内給与」が289,935円、「特別給与」が13,350円という内訳になっています。北海道では総額282,983円で、全国平均より4万円以上低く、地域間での賃金格差が依然として存在していることが分かります。これは地域ごとの物価や生活コストの違い、産業構造の差異などが関係していると考えられます。青森県ではさらに低く264,979円で、特別給与の割合も小さい傾向があり、年末賞与などの支給規模が小さい中小企業が多くを占める可能性が推察されます。
一方で、岩手県のデータを見ると、常用労働者数は235,600人で、労働時間は136.5時間と平均に近い水準を維持しています。給与総額は268,561円で、全国平均に比べておよそ6万円近く低い水準にありますが、「きまって支給する給与」や「所定内給与」の比率が高く、安定的な収入が得られている地域とも言えるでしょう。
企業の採用担当者にとって注目すべき点としては、所定外労働時間が少ない地域ほど、定時内の業務が効率的に行われている可能性がある点です。これは、長時間労働を是正しながらも生産性を維持できている事例として、労働時間管理の参考になる可能性があります。また、給与水準においても、特別給与が一定額支給されている地域では、年末賞与や決算賞与が重要なモチベーションになっていると考えられ、報酬体系の設計に活かすことができる情報です。
さらに、都道府県別に見た場合に、労働者数が少ない地域であっても、一定の給与水準と勤務安定性が保たれているケースが見受けられます。これは地方での雇用環境が改善してきていることの証左であり、企業が地方拠点の新設や採用の多様化を検討する際の判断材料にもなり得ます。特に、労働者数が20万人前後の規模でも、しっかりとした給与水準と適切な労働時間管理が行われていれば、求職者にとっても魅力的な選択肢となるため、地方での人材確保の可能性は広がっていると言えるでしょう。
また、出勤日数の違いはワークライフバランスの実現度合いに直結する要素であり、出勤日数が少ない地域は働き方改革の影響を強く受けている可能性があります。企業が採用活動を行うにあたり、こうした地域性や労働習慣の違いを理解し、候補者に対して柔軟な働き方を提案することができれば、優秀な人材の確保に繋がる可能性が高まります。
統計の示すところによると、給与水準が全国平均を下回る地域でも、安定した出勤日数や短い残業時間が評価されるなど、単純な金額だけでは測れない労働環境の良さが存在します。これは、企業にとっては雇用コストの最適化と職場環境の両立を図るための貴重なヒントとなります。特に今後、地方創生やテレワークの普及によって居住地と勤務先が物理的に一致する必要がなくなりつつある中、企業は給与や勤務時間、福利厚生などの労働条件を多角的に見直すことが求められます。
このように、労働統計の数値は単なる経済指標にとどまらず、企業戦略や人事戦略の基盤として極めて重要な情報資源です。企業の採用担当者がこれらのデータを正確に把握し、現実の人材確保や定着率向上に活かすためには、地域別の傾向を丁寧に読み解き、働き手の視点に立った職場環境の整備を進めていくことが不可欠です。今回の統計からは、給与水準の差、労働時間のばらつき、出勤日数の違いといった多様なデータが得られ、それぞれの地域の特性を理解する手がかりとなります。
労働市場の変化が加速する今、こうした統計情報は採用戦略における重要な武器となり得ます。地域に根ざした働き方を尊重しつつ、全社的な方針と整合性を持たせた雇用施策の実行が、今後の企業成長に大きな影響を与えるでしょう。
この記事の要点
- 全国の常用労働者数は3,110万人を超えている
- 全国平均の総実労働時間は135時間、所定外は11.1時間
- 全国平均の現金給与総額は327,445円で、地域により約6万円以上の差がある
- 青森県では労働時間が長めで出勤日数も多い傾向がある
- 北海道や岩手県では給与水準は低めだが労働時間は比較的安定している
- 地方の労働環境には安定性や効率性が見られ、採用戦略の参考になる
- 労働統計は企業の人事施策や地域拠点展開に活用できる貴重な情報源である
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ