2025年8月21日
労務・人事ニュース
令和7年6月の鳥取県の有効求人倍率1.25倍、企業は採用計画見直しの好機
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「残業ゼロ」/正看護師/整形外科/リハビリテーション科/内科/病院
最終更新: 2025年8月24日 23:04
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「夜勤なし」/正看護師/耳鼻咽喉科/歯科/クリニック/オンコールなし
最終更新: 2025年8月24日 23:04
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「夜勤なし」/正看護師/保育園/オンコールなし
最終更新: 2025年8月24日 23:04
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「駅チカ」/正看護師/デイケア/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年8月24日 23:04
鳥取県内の雇用情勢(令和7年6月分)(鳥取労働局)
この記事の概要
令和7年6月の鳥取県における有効求人倍率は1.25倍となり、前月より0.03ポイントの微減となりました。求人・求職の両数値がわずかに減少する中で、採用市場は一時的な足踏み状態にあります。
令和7年6月、鳥取県において発表された有効求人倍率は1.25倍と、前月比で0.03ポイントのわずかな減少となりました。これは一見すると大きな変化ではないように見えますが、労働市場における需給バランスの微細な動きを捉えるうえで見逃せない兆候です。具体的には、有効求人数が12,287人、有効求職者数が9,858人といずれも減少していますが、求人の減少幅(2.6%減)が求職者の減少幅(0.2%減)を上回ったため、結果として倍率が下がる形となりました。
このような状況において、企業の採用担当者が注視すべきは、労働市場全体の活性度の変化だけでなく、自社に適した人材がどの層に多く存在しているかを正確に把握することです。特に鳥取県では、高齢化や人口減少といった構造的な課題が続いているため、採用活動を一律の方法で行うことは難しくなっています。市場全体のデータを読み解くことによって、自社の業種や勤務地に応じた柔軟な戦略立案が必要とされます。
6月の新規求人(原数値)は4,268人で、前年同月比で6.8%の減少となりました。これは、求人意欲の後退を意味しており、企業側が経済環境や物価上昇などの影響を受けて、採用活動に慎重になっている現れといえるでしょう。業種別にみると、製造業は前年比で19.2%増加する一方、宿泊業・飲食サービス業は29.2%の大幅減となり、医療・福祉も13.4%減という結果でした。このように、業種ごとの採用動向に顕著な差が生じており、採用担当者は自社が属する業界の動向を的確に捉えたうえで、採用活動のアプローチを検討することが不可欠です。
特に注目すべきは正社員求人の動向です。6月の正社員有効求人倍率(原数値)は1.08倍となり、前年同月比で0.04ポイントの上昇を見せました。正社員の有効求人数は6,368人と2.6%増加し、対して有効求職者数は5,889人で1.7%の減少でした。これは、正社員を希望する人材が少しずつ減少傾向にある一方、企業側は引き続き安定雇用を重視した採用を強化していることを表しています。つまり、正社員採用の市場では、今が優秀な人材を他社よりも先に確保する好機であるとも言えます。
一方で、新規求職者数は1,806人で、前年同月比で3.0%の減少でした。特に在職中に転職を検討している「在職求職者」は前年比9.6%減の591人、離職者も1.4%減少しています。この傾向から、現在職に就いている人が慎重な姿勢で転職活動を行っていることがうかがえます。反対に無業者層は15.0%増となっており、新たな就職意欲を持つ層が市場に流入していることも事実です。こうした異なる属性の求職者に対して、企業側がどのようにアプローチしていくかが今後の採用成功の鍵を握るでしょう。
採用担当者にとって重要なのは、単なる人材確保ではなく、組織とマッチする人材との長期的な関係構築です。そのためには、求人票の内容を充実させることが極めて有効です。給与や福利厚生の明示だけでなく、職場の雰囲気や研修制度、キャリアパスなどを具体的に記載することで、応募者の関心を引きやすくなります。また、地域性を活かした情報提供も重要です。鳥取県で働くことの利点、生活環境や通勤事情など、地域に密着した情報を発信することで、UターンやIターン希望者に対しても魅力的な提案が可能となります。
さらに、求人倍率の数字だけに注目するのではなく、その背景にある社会経済的な要因や求職者心理を踏まえたうえで戦略を立てることが求められます。たとえば、物価の上昇による家計負担の増加は、求職者が求める給与条件や勤務時間にも影響を与えます。そのため、単に「人が来ない」と嘆くのではなく、「なぜ来ないのか」「どうすれば来てくれるのか」を分析する視点が不可欠です。
今後、採用活動においては即戦力人材の獲得だけでなく、育成を前提としたポテンシャル人材への目配りも必要です。求職者の数は減少傾向にあるとはいえ、全体として見れば求人倍率は1.25倍と依然として人手不足が続いている状況です。その中で他社と差別化を図るためには、採用過程そのものの質を高め、信頼性と誠実さを持って求職者に向き合う姿勢が大切です。
この記事の要点
- 令和7年6月の鳥取県の有効求人倍率は1.25倍で前月より微減
- 有効求人数と求職者数の両方が減少する中で求人倍率が低下
- 新規求人は前年同月比6.8%減で採用意欲にやや減退傾向
- 業種別では製造業が増加する一方、宿泊・医療・卸売業などで減少
- 正社員有効求人倍率は1.08倍と前年同月を8か月連続で上回る
- 新規求職者は3.0%減少し、在職中の転職希望者は特に減少傾向
- 企業は求人票の工夫や地域特性を活かしたアピールが重要
- 求職者心理と社会情勢をふまえた戦略的な採用活動が求められる
⇒ 詳しくは鳥取労働局のWEBサイトへ