2025年8月21日
労務・人事ニュース
令和7年6月の大阪府有効求人倍率1.21倍に見る採用戦略の再構築と市場の読み解き方
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「土日祝休み」/准看護師/グループホーム/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年8月23日 23:04
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「駅チカ」/准看護師/整形外科/外科/クリニック/夜勤なし
最終更新: 2025年8月23日 23:04
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「夜勤なし」/准看護師/デイサービス/介護施設/オンコールなし
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「駅チカ」/准看護師・正看護師/内科/小児科/消化器内科/クリニック
最終更新: 2025年8月23日 23:04
大阪労働市場ニュース(令和7年6月分)(大阪労働局)
この記事の概要
令和7年6月における大阪府の有効求人倍率は1.21倍で、前月と同水準を維持しました。一方で新規求人倍率は2.62倍に上昇し、採用市場に一定の回復傾向が見られます。しかし求人・求職者数ともに減少傾向が混在しており、雇用情勢は依然として不安定です。
令和7年7月31日に大阪労働局より公表された「大阪労働市場ニュース(令和7年6月分)」によると、大阪府の有効求人倍率(季節調整値)は1.21倍となり、前月からの変動はありませんでした。この数字は全国平均である1.22倍とほぼ同水準にあり、近畿全体の1.15倍と比較するとやや高い水準を維持していますが、雇用情勢の改善にはなお力強さを欠いているという印象を受けます。労働市場全体としては、回復の兆しが見えつつも、それが安定したトレンドにはなっていないという現実があります。
具体的に見ると、有効求人数は188,148人で前月から0.7%の減少、有効求職者数も155,746人で0.1%の減少となっており、求人と求職の双方が減少に転じました。これは2か月ぶりの動きであり、一見バランスが取れているように見えますが、実際には企業の採用活動に慎重さが見られると同時に、求職者側にも様子見の傾向が表れているとも言えます。つまり市場の動きが鈍化しており、採用競争が激化する兆候ではないものの、採用の成果を得るには明確な戦略が求められる段階にあるのです。
一方で注目すべきは新規求人倍率の動きです。6月の新規求人倍率(季節調整値)は2.62倍となり、前月比で0.32ポイントの上昇を記録しました。これは3か月ぶりの増加であり、企業が新たな人材確保に対して再び積極的な姿勢を見せ始めていることを意味しています。新規求人数は65,918人で前月から9.7%の増加を示し、業種別に見ると製造業、運輸業、宿泊業、生活関連サービス業などで求人数が増加しています。この動きは、一定の業種において業績回復や人手不足の影響が出ており、採用を強化する必要が生じていると考えられます。
一方で、新規求職申込件数は25,136件と前月より3.6%減少しており、求職者側は求人に対して積極的に動く傾向が弱まっていることがわかります。これは物価高や将来不安に伴う慎重な姿勢の表れと捉えられ、採用担当者としては、より強いアピール力と納得感のある募集内容を提示することが求められる局面に入っていると言えるでしょう。求人を出せば人が集まるという状況ではなくなっている以上、情報の質とタイミングが問われることになります。
採用活動を展開するうえで最も重視すべきは、自社の魅力を明確に伝える姿勢です。給与や福利厚生といった条件面だけでなく、企業文化、働きがい、成長支援制度、柔軟な働き方への対応など、求職者が「この企業で働いてみたい」と思えるような情報を具体的に示す必要があります。特に大阪のように多様な業種が密集し、競合が多い地域では、差別化された情報発信が欠かせません。企業のホームページや求人サイトはもちろん、SNSやオンライン採用イベントなども活用し、マルチチャネルでの接触を図ることが効果的です。
また、新規求人倍率の上昇は、採用タイミングの早さが結果を左右する要因にもなります。優秀な人材は複数の企業からオファーを受ける傾向があるため、選考プロセスの迅速化や面接対応の柔軟さが、採用成功の鍵を握ります。書類選考の段階で明確な判断基準を持ち、面接では企業理解を深めさせると同時に、求職者の不安を丁寧に取り除くようなコミュニケーションを心掛けるべきです。
採用後のフォロー体制も忘れてはなりません。内定から入社までの間にしっかりとコミュニケーションを取り、入社後も定着に向けたサポートを行うことで、離職リスクを下げることが可能となります。企業としての信頼感を醸成し、長期的に活躍できる人材を育てていくという視点が、今後の採用においてはますます重要になるでしょう。
また、大阪府の就業地別有効求人倍率は1.04倍と、受理地別の1.21倍と比較するとやや低めです。これは実際の就業地での人材需要が想定よりも低く、地域差が採用に影響を与えていることを意味します。地域ごとのニーズに合った採用方法を検討することも、これからの採用戦略には欠かせない視点です。
全体として、大阪府の令和7年6月の雇用情勢は、新規求人の増加に希望が見える一方で、求職者の慎重な姿勢や求人全体の減少が残るなど、複雑な要素が混在しています。採用担当者としては、データの動きだけにとらわれず、その背景にある市場動向や求職者の心理を深く理解したうえで、柔軟かつ戦略的な採用活動を展開する必要があります。
この記事の要点
- 令和7年6月の大阪府有効求人倍率は1.21倍で前月と同水準
- 有効求人数と求職者数の双方が減少し採用市場は停滞傾向
- 新規求人倍率は2.62倍と大幅上昇し企業の採用意欲が回復基調
- 新規求人数は前月比9.7%増加、求職申込件数は3.6%減少
- 求職者の慎重な動きに対し、求人内容の質とタイミングが問われる
- 差別化された情報発信とマルチチャネルでの接触が効果的
- 選考の迅速化とフォロー体制の強化が採用成功のカギ
- 地域ごとの求人動向を踏まえた柔軟な採用戦略が必要
⇒ 詳しくは大阪労働局のWEBサイトへ