労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 2025年6月の北海道における求人倍率0.89倍、応募者との接点をどう増やすか

2025年8月19日

労務・人事ニュース

2025年6月の北海道における求人倍率0.89倍、応募者との接点をどう増やすか

Sponsored by 求人ボックス

道内の雇用失業情勢《概要版》(令和7年6月)(北海道労働局)


この記事の概要

2025年6月の北海道における有効求人倍率は0.89倍で、前年同月から0.01ポイント上昇し、27か月ぶりに上昇傾向に転じました。求人数と求職者数にそれぞれ変化が見られる中、企業の採用活動にも新たな視点が求められます。


2025年6月、北海道の有効求人倍率は0.89倍となり、前年同月から0.01ポイント上昇しました。これは27か月ぶりの上昇であり、雇用市場における需給バランスにわずかな変化が現れ始めている兆候と捉えることができます。この倍率は、求職者1人に対して0.89件の求人が存在する状態を意味し、いまだ1倍を下回る水準にあるとはいえ、前年よりも改善が見られることは事実です。採用を担う企業にとって、このような微細な変化こそが戦略の再構築を図る重要なヒントとなります。

今回の統計では、月間有効求人数が79,118人で前年同月比0.1%増、27か月ぶりの増加となりました。求職者側では、月間有効求職者数が88,565人で前年同月比1.6%減少し、11か月連続の減少を記録しています。求人がわずかに増え、求職者数が継続的に減っているという事実は、労働市場の中で「企業が人を探す側」としてのプレッシャーが徐々に強まっていることを意味します。表面的には依然として求人倍率が1倍未満であるために「売り手市場」とまではいかないものの、業種や職種によっては既に人材確保に苦慮する声も多く聞かれるようになっています。

新規求人数に関しても注目すべき変化が見られました。2025年6月の新規求人数は27,547人で、対前年増減率は+5.8%と、28か月ぶりに前年同月を上回る結果となりました。これは、雇用の再開や業績回復を見越した採用活動の再加速が始まっていることを示しており、採用に前向きな企業が増えていると捉えることができます。特に、主要8産業のうち7つの産業で新規求人が増加しており、業界全体としての回復基調が見て取れます。

一方、新規求職申込件数も14,687件で、対前年同月比0.9%の増加を記録し、こちらも11か月ぶりの増加となりました。これにより、就職市場では徐々に新しい動きが生まれており、企業としてはこれらのタイミングを逃さずに採用活動を強化していくことが求められます。応募者の関心が高まっている今こそ、自社の求人内容を再点検し、応募者にとって魅力的な条件を提示できるよう努めるべきです。

特に注目したいのは、正社員の有効求人倍率が0.81倍で、前年同月差+0.04ポイントとわずかに改善している点です。依然として1倍を下回る水準であり、正社員として安定した職を求める人の数に対して、企業側の受け皿が十分ではないことを示しています。こうした状況においては、採用活動を単なる人員補充の手段とせず、長期的な人材育成を前提としたビジョンのある採用を行うことが、応募者の信頼を得る上で重要となります。

北海道全体の雇用情勢について、労働局は「持ち直しの動きに弱さがみられる」と基調判断しています。これは、回復傾向が見られるものの、確実な回復基調には至っていないという評価であり、引き続き外部環境、特に物価上昇などの経済的要因が雇用に与える影響には注意を払う必要があるということを意味します。採用担当者にとっては、経済動向や消費者心理の変化に対する感度を高め、採用計画に柔軟性を持たせる工夫が不可欠です。

さらに、採用活動においては、求人情報の質を高めることも大切です。単に給与や勤務時間を記載するだけでなく、企業の理念や職場環境、働き方の自由度、育成方針といった「働く理由」を明示することで、求職者の関心を引き寄せやすくなります。特に若年層においては、仕事に対するやりがいや社会的意義を重視する傾向があるため、単なる条件提示にとどまらず、企業の姿勢を具体的に伝える取り組みが不可欠です。

また、北海道という地域の特性も採用戦略に大きく関わってきます。広大な地理的条件や地域間の人口格差、交通手段の制約などを背景に、札幌などの都市部と地方部での採用難易度には差が存在します。企業は、自社が立地する地域の人材供給状況を的確に分析し、場合によってはリモートワークや移住支援制度を活用することで、広域からの人材確保を実現することが可能です。

さらに、ハローワークインターネットサービスの機能が拡充されたことにより、来所せずともオンライン上での求職登録や応募が可能となっており、求職者と企業の接点は従来よりも多様化しています。このような環境変化をチャンスととらえ、自社の採用ページや求人票のオンライン最適化を進めることが、より多くの応募者との接点をつくるうえで重要になります。応募しやすさは、応募者数を左右する大きな要因となるため、スマートフォンでも見やすい求人ページや簡単な応募フローなどの導入が有効です。

今後、北海道の雇用市場が本格的に回復するか否かは、企業の採用活動の工夫と求職者のニーズにどれだけ応えられるかにかかっています。有効求人倍率の小さな変化を敏感に捉え、長期的視野を持って人材確保に取り組む姿勢が、将来の組織力強化へとつながっていくのです。

この記事の要点

  • 2025年6月の北海道の有効求人倍率は0.89倍で27か月ぶりに上昇
  • 月間有効求人数は79,118人でわずかに増加、求職者数は減少傾向
  • 新規求人数は27,547人で前年同月比5.8%増、28か月ぶりに増加
  • 正社員有効求人倍率は0.81倍で依然1倍を下回るも改善傾向
  • 地域間格差や物価上昇など外部要因への対応が採用戦略の鍵
  • 求人情報の質や発信方法を見直すことで応募者との接点を強化
  • オンラインでの求職活動増加に対応した採用体制の整備が重要

⇒ 詳しくは北海道労働局のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ
それ以外はこちら