2025年9月11日
労務・人事ニュース
令和7年8月26日、奥出雲と有田・下津がFAOの世界農業遺産に同時認定
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最終更新: 2025年9月10日 23:04
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島根県奥出雲地域と和歌山県有田・下津地域が新たに世界農業遺産(GIAHS)に認定されました!(農水省)
この記事の概要
令和7年8月26日、国際連合食糧農業機関(FAO)は、島根県奥出雲地域と和歌山県有田・下津地域を新たに世界農業遺産(GIAHS)に認定しました。これにより、日本国内の認定地域は17箇所となり、持続可能な伝統農業の価値が国際的に再評価される形となりました。
令和7年8月26日、国際連合食糧農業機関、通称FAOによって、日本国内の2地域が新たに世界農業遺産(GIAHS:Globally Important Agricultural Heritage Systems)に認定されました。認定されたのは、島根県の奥出雲地域および和歌山県の有田・下津地域です。これにより、世界農業遺産として登録された日本の地域は合計で17地域に達し、日本の農業文化と伝統技術の持つ価値が世界的に再び注目されることとなりました。
世界農業遺産とは、長い年月をかけて社会や環境に適応しながら継承されてきた伝統的な農林水産業のあり方と、それに密接に結びついた地域の文化、風景、生物多様性といった資源が一体となって存在している地域を、FAOが国際的に重要な地域として認定する制度です。地域ごとに固有の歴史や技術が継承されており、その持続可能性が高く評価されることで、次世代に向けた保全と発信の価値があるとされています。
島根県の奥出雲地域は、令和3年10月に申請された「たたら製鉄を再適用した奥出雲地域の持続可能な水管理及び農林畜産システム」が評価されました。この地域では、日本古来の製鉄法であるたたら製鉄に用いられる砂鉄を採取するために、500年以上にわたって鉄穴流しという技術を用いて山々が掘削されてきました。鉄穴流しの過程で築かれた水路やため池は、その後棚田の水管理に再利用され、持続可能な農業資源として活用されています。さらに、鉄の運搬や農耕のために飼育されていた和牛は、時代とともに肉用牛としての生産へと転換されました。その過程で生じる牛ふんは、水田の堆肥として用いられ、また水田で収穫された稲わらや森林の草などを牛の飼料として活用するなど、稲作と畜産が互いに支え合う複合的な農業形態が確立されています。こうした地域資源の循環的活用は、自然環境への負荷を軽減しながら、地域の生業を支える仕組みとして非常に高く評価されました。
一方、和歌山県の有田・下津地域は、令和5年10月に申請された「有田・下津地域の石積み階段園みかんシステム」が認定されました。この地域では、400年以上前からみかん栽培が盛んに行われており、急傾斜地を開墾して築かれた石積みの階段状農園が、現在も壮大な景観を形成しています。石積みによって土壌の流出が防がれるとともに、太陽光の反射や水はけの良さが確保され、みかん栽培に適した環境が整えられています。加えて、園地ごとの自然条件に応じた品種の選定や栽培技術の工夫、地域内での苗木生産による産地の自立性の確保、さらには収穫後の蔵出しにより品質保持と安定供給を実現する技術体系など、多角的にみかんの高品質生産を支える体系が形成されています。このような人と自然が調和しながら発展してきた農業の在り方が、地域の文化的景観とともに世界的にも高く評価されました。
今回の認定は、単に地域の知名度を高めるだけでなく、観光や農業体験などの地域振興につながる大きな可能性を秘めています。さらに、こうした伝統農業が持つ価値を国内外に発信することは、持続可能な農業のモデルケースとして他地域への波及効果を期待することもできます。特に少子高齢化や後継者不足といった課題に直面する中山間地域においては、地域の魅力や文化資産を活かした新たな地域活性化の一手として、世界農業遺産の認定は極めて意義深いものであるといえるでしょう。
このように、奥出雲と有田・下津の両地域が持つ独自の農業システムは、自然環境との共生を基盤としながら、何世代にもわたって受け継がれてきた知恵と技術の結晶です。その価値が国際的に認められたことは、日本の農業が単なる生産活動にとどまらず、文化と環境保全、そして地域経済の基盤として果たす役割の重要性を再認識させるものです。今後も地域の努力を支援し、こうした農業遺産が持続可能な形で継承されるためには、行政、企業、市民が一体となった保全活動と広報の推進が不可欠です。
この記事の要点
- 令和7年8月26日に島根県奥出雲地域と和歌山県有田・下津地域が世界農業遺産に認定された
- これにより日本国内の世界農業遺産認定地域は17地域となった
- 奥出雲地域はたたら製鉄に由来する水管理と農林畜産の複合農業が評価された
- 有田・下津地域は石積み階段園によるみかん栽培とそれを支える地域技術が評価された
- 両地域ともに400年以上の歴史と持続可能な資源循環型農業が認められた
- 世界農業遺産認定は地域振興や農業観光など今後の発展にもつながる可能性がある
⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ