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2025年9月11日

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令和7年8月速報値 労働災害死亡者数363人、前年比0.8%減少も依然高水準

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令和7年における労働災害発生状況について(8月速報値)(厚労省)


この記事の概要

令和7年1月から7月末までに報告された労働災害の速報値によれば、死亡災害は前年同期比で微減し、休業4日以上の死傷災害もわずかに減少したことが確認されました。業種や事故の型によって傾向は異なり、特に第三次産業では死傷災害数が横ばいとなるなど、業界ごとに対応すべき安全対策の重要性が浮き彫りとなっています。


令和7年1月から7月31日までに発生し、同年8月7日までに報告された労働災害に関する速報値が公表され、労働環境における安全管理の現状が明らかになりました。この期間中の労働災害による死亡者数は全国で363人に上り、前年同期と比較して3人減少しました。割合で見ると0.8%の減少となり、わずかながらも改善が見られます。ただし、依然として多くの命が職場における災害で失われているという現実には変わりなく、引き続き安全対策の強化が求められています。

業種別に見ると、建設業における死亡者数は120人で前年と同数であり、依然として非常に高い水準にあることがわかります。これは全体の約3分の1を占める割合であり、業界特有の高所作業や重機の使用など、常に高いリスクが伴うことを反映しています。一方、製造業では死亡者数が前年より6人減少して62人となり、8.8%の改善が見られました。林業では死亡者が14人で、前年より3人減少しており、17.6%の改善率を示しています。特筆すべきは陸上貨物運送事業で、死亡者数が42人と前年より12人減少し、22.2%という大幅な減少を記録しました。安全運転教育や労働時間管理などの取り組みが功を奏した可能性が高いと考えられます。

一方で、第三次産業においては死亡者数が93人となり、前年より6人増加しました。増加率は6.9%に達しており、他業種が改善傾向にある中でのこの数値は看過できません。第三次産業とは、主にサービス業や小売業、医療、福祉といった人との接点が多い業種であり、労働災害の種類も多岐にわたります。現場に即した安全対策の徹底が急務となっています。

事故の型別で見た場合、最も多かったのは「墜落・転落」で95人が死亡しました。前年より14人減少し、12.8%の改善が見られましたが、依然として死亡災害の主原因であることに変わりはありません。特に建設業などで多発する事故であり、安全帯の着用や足場の管理といった基本的な対策の徹底が求められます。次に多かったのが「交通事故(道路)」で、前年より10人増加し61人が死亡しました。増加率は19.6%に達しており、特に配送業務や外勤を伴う職場では注意が必要です。「はさまれ・巻き込まれ」では62人が死亡し、前年より1人減少したものの、依然として重大な災害であることに変わりはありません。

休業4日以上の死傷災害に関しては、令和7年の速報値では全国で64,612人となり、前年より936人減少しました。減少率は1.4%であり、前年よりもわずかに改善が見られましたが、依然として高水準で推移しています。業種別に見ると、製造業では13,086人で前年比1.6%の減少、建設業では6,455人で5.2%の減少となっており、両業種とも一定の安全対策の成果が反映されたと考えられます。陸上貨物運送事業では7,826人で5.1%の減少となり、死亡災害と同様に改善が進んでいる様子が見て取れます。

一方で第三次産業では33,301人が休業4日以上の死傷災害に遭っており、前年比はほぼ横ばいで8人の増加にとどまりました。人数そのものは他業種と比べて突出して多く、労働者の絶対数が多いことが背景にあると考えられます。加えて、業務内容が多岐にわたり、安全管理が難しいという構造的な課題も存在します。

事故の型別に分析すると、「転倒」による災害が最多で19,147人と非常に高い数字を示しています。前年比では1,164人の増加となり、6.5%の悪化が見られました。特に高齢者や女性が多く従事する職場では、滑りやすい床や段差のある構造が原因となるケースが多く、職場環境の見直しが求められます。「動作の反動・無理な動作」は9,565人で前年比4.5%の減少、「墜落・転落」は9,911人で2.7%の減少と、やや改善が見られたものの依然として高水準であることに変わりありません。作業姿勢や動作に無理がないかの確認や、装備の適切な使用など、日々の基本動作の徹底が鍵となります。

このようなデータから見えてくるのは、業種ごとに異なる災害リスクが存在し、それぞれに応じた安全対策が必要であるという点です。とりわけ、第三次産業における転倒事故の増加や、交通事故による死亡災害の増加といった傾向は、企業がこれまで以上に個別対応を強化する必要があることを示しています。従業員の教育や設備の改善だけでなく、リスクアセスメントの実施や日常的な点検・指導の積み重ねが、災害を未然に防ぐ鍵となるでしょう。

企業の採用担当者にとっては、単に人材を確保するだけでなく、雇用した労働者が安全に長く働ける環境を整えることが、採用活動の一環として非常に重要な役割を果たします。事故の多発する業種や作業においては、面接段階からリスクを説明し、現場での安全教育やフォロー体制を確立することが求められます。また、災害が発生した際の迅速な対応体制や記録の整備も、組織の信頼性を高めるためには欠かせません。

令和7年の労働災害速報は、全体としてわずかに改善の兆しを見せながらも、依然として各業界が個別に抱える課題を浮き彫りにしています。特に第三次産業や交通事故などの分野では、再発防止に向けた具体的な行動が早急に求められており、安全に対する社会全体の取り組みが問われる局面を迎えています。

この記事の要点

  • 死亡災害は全国で363人、前年より3人減少し0.8%改善
  • 建設業の死亡者数は120人で前年と同数、依然として最多
  • 陸上貨物運送事業の死亡者数は前年比22.2%減と大幅改善
  • 第三次産業では死亡者数が6人増加し、6.9%の悪化
  • 休業4日以上の死傷者数は64,612人、前年比1.4%の減少
  • 転倒事故は19,147人で前年比6.5%増、最も多い災害要因

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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