2025年9月11日
労務・人事ニュース
令和6年、パートタイム労働者の入職率22.7%が示す柔軟な働き方の拡大
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最終更新: 2025年9月11日 02:36
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令和6年 雇用動向調査結果の概要 入職と離職の推移(厚労省)
この記事の概要
令和6年の労働市場における入職者数は7,473.7千人、離職者数は7,195.3千人となり、入職者が離職者を278.4千人上回る結果となりました。全体としては労働力の流入が継続しており、特にパートタイム労働者での入職超過が顕著です。男女別や職歴別、雇用形態別の分析から、多様な就業形態の中でどのような変化が起きているのかを丁寧に読み解きます。
令和6年、国内の雇用動向において大きな変化が見られました。この年における入職者数は7,473.7千人、離職者数は7,195.3千人と報告され、差し引きで278.4千人の入職超過が生じています。これは労働市場における人材の流入が続いていることを示しており、働く意欲を持つ人が安定的に就業に結びついている状況と捉えることができます。
入職率と離職率を見てみると、入職率は14.8%、離職率は14.2%であり、前年からそれぞれ1.6ポイント、1.2ポイントの減少となりました。つまり、前年度に比べて労働市場に新たに参入する人の割合も、離職する人の割合も共に低下した一方で、その差である入職超過率は0.6%にとどまり、労働力の確保という面ではわずかながらも前進していると読み取れます。
男女別に見ると、男性の入職率は12.9%、離職率は12.6%で入職超過が0.3ポイント。女性は入職率が16.8%、離職率が16.0%で0.8ポイントの入職超過となっています。女性の入職超過が男性より大きいことから、特に女性の就業意欲が高まりつつある社会的背景がうかがえます。
就業形態別に目を向けると、一般労働者の入職率は11.8%、離職率は11.5%と差は小さいものの入職が上回っています。一方で、パートタイム労働者では入職率が22.7%、離職率が21.4%と、1.3ポイントの入職超過が見られ、全体の動向を牽引している様子が明確です。これは育児や介護など生活環境に応じた柔軟な働き方を求める層が増えており、パートタイム労働の需要と供給が活発に動いている証と考えられます。
雇用期間の定めに着目すると、一般労働者の中で「雇用期間の定めなし」の入職者数は3,260.8千人、離職者数は3,241.1千人と、わずかに入職が上回っている状況です。また「雇用期間の定めあり」の一般労働者では、入職者が1,077.0千人、離職者が990.6千人と、こちらも入職が離職を上回っています。一方、パートタイム労働者においては「雇用期間の定めなし」で入職者が1,316.6千人、離職者が1,045.6千人とやはり入職超過である一方、「雇用期間の定めあり」では入職者が1,819.4千人に対して離職者が1,917.9千人となり、離職超過となっています。これは期間限定の契約に対する労働者の不安や、契約終了による退職が影響していると考えられ、安定した雇用を望む動きの高まりを示唆しているといえるでしょう。
次に、職歴別の入職者動向に目を向けると、令和6年の転職入職者数は4,920.0千人、未就業入職者数は2,553.7千人でした。未就業入職者のうち、新規学卒者は1,204.4千人であり、初めての社会進出を果たす若年層の姿が浮き彫りになります。性別でみると、男性の転職入職者は2,336.2千人、未就業入職者は1,123.1千人、そのうち新卒者は592.4千人。女性は転職入職者が2,583.8千人、未就業入職者が1,430.6千人で、新卒者は611.9千人となっています。女性の転職・未就業からの入職が男性よりも多い傾向が見て取れ、働きたい女性の社会進出が進んでいることを裏付けています。
就業形態別にみた場合、一般労働者の転職入職者数は3,051.3千人、未就業からの入職者数は1,286.5千人となっており、そのうち新規学卒者が857.2千人でした。一方、パートタイム労働者の転職入職者数は1,868.7千人、未就業入職者数は1,267.2千人で、そのうち新卒者は347.2千人にのぼります。この数値から、パートタイムという柔軟な働き方を選ぶ人々が、既に職歴を持つ人から未就業者、新卒者まで幅広く存在することが明らかとなっています。
入職率に関して職歴別に分析すると、全体の転職入職率は9.7%、未就業入職率は5.0%でした。これは前年に比べてそれぞれ0.7ポイント、1.0ポイントの低下となっています。男性は転職入職率が8.7%、未就業入職率が4.2%、女性はそれぞれ10.8%、6.0%となっており、女性の就業再開や新たな挑戦への意欲が数値に現れています。特に注目すべきは、パートタイム労働者の転職入職率が13.5%、未就業入職率が9.2%と、一般労働者のそれ(8.3%、3.5%)を大きく上回っている点です。この傾向は、ライフステージに応じた働き方を模索する人々が多いことの裏付けといえるでしょう。
こうした傾向を踏まえると、企業の採用活動においても、ただ人手を補うための採用ではなく、多様なバックグラウンドを持つ人材をどう活かすかが問われる時代に入っていることがわかります。とりわけパートタイム人材の活用は、柔軟性や即戦力の高さから注目されており、特定のスキルや経験を有する人材を短時間勤務で確保するという方法が、企業の競争力向上に寄与する可能性を秘めています。また、入職者の中には未就業期間が長い人や、育児や介護などでブランクがある人も多いため、職場環境や研修制度を整備することで、定着率の向上にもつながるでしょう。
雇用の安定と労働力の確保を同時に実現するためには、性別や年齢、就業経験にとらわれない包括的な人材戦略が不可欠です。今回の統計は、そのヒントを多く内包しており、採用担当者や経営層が戦略を練るうえでの貴重な材料となるはずです。今後、労働市場がさらに多様化・流動化する中で、こうしたデータに基づいた柔軟な施策が求められます。
この記事の要点
- 令和6年の入職者数は7,473.7千人、離職者数は7,195.3千人で入職超過は278.4千人
- 入職率は14.8%、離職率は14.2%で前年からそれぞれ低下
- パートタイム労働者の入職率は22.7%、離職率は21.4%で入職超過が顕著
- 雇用期間の定めありパートでは離職者数が入職者数を上回る
- 女性の入職超過は男性よりも大きく、転職や未就業からの再就職が目立つ
- 転職入職率は9.7%、未就業入職率は5.0%で前年より低下傾向
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ