2025年9月2日
労務・人事ニュース
令和7年の春季賃上げ、平均18,629円・5.52%で前年を大幅に上回る結果に
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最終更新: 2025年9月1日 22:34
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令和7年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況を公表します(厚労省)
この記事の概要
厚生労働省は、令和7年の民間主要企業における春季賃上げ交渉の集計結果を公表しました。対象は資本金10億円以上、従業員1,000人以上の労働組合がある企業390社で、平均妥結額は18,629円、賃上げ率は5.52%となり、いずれも前年を上回りました。
厚生労働省は、令和7年に実施された民間主要企業における春季賃上げ交渉の集計結果を取りまとめ、公表しました。今回の調査は、労使間の交渉状況を的確に把握し、労働経済の動向を分析することを目的としたもので、毎年恒例の統計です。調査の対象となったのは、資本金が10億円以上で、かつ従業員数が1,000人以上の企業のうち、労働組合が存在し、かつ賃上げに関する妥結額などの情報を明らかにしている390社です。
今回の結果によれば、平均の妥結額は18,629円となり、前年の17,415円と比べて1,214円の増加となりました。これは、企業の収益改善や物価上昇への対応、そして人材確保のための労働条件の見直しなどが影響していると見られています。加えて、妥結における賃上げ率も、前年の5.33%から5.52%へと0.19ポイントの上昇が確認されており、金額・率ともに前年実績を上回る結果となりました。
このような傾向は、過去数年続いている労働市場のひっ迫や、人手不足の慢性化を背景に、企業側が優秀な人材の確保と定着を図るため、待遇改善を積極的に進めていることを示しています。特に、物価上昇によって実質賃金が圧迫されている中での名目賃金の引き上げは、生活防衛の観点からも労働者にとって大きな意味を持ちます。
また、政府は経済の持続的成長に向けて、企業に対して賃上げを通じた所得向上と消費の拡大を呼びかけており、今回の結果はそうした政策的な後押しの効果も一定程度反映されていると考えられます。特に、交渉の対象となった企業群は大企業に分類される企業が多く、ここでの賃上げ傾向は中小企業への波及効果をもたらす点でも注目されます。大企業での賃上げが中小企業における賃金水準の底上げにつながれば、全体としての所得環境が改善し、地域経済の活性化にも寄与することが期待されます。
一方で、今回の結果には慎重な見方も存在します。対象となったのは主に大企業であり、日本経済の大部分を占める中小企業については、依然として賃上げ余力に乏しい実態もあります。特に、エネルギーコストや原材料価格の上昇、円安の影響などが経営を圧迫する中で、人件費の引き上げは容易ではないという現実もあります。そのため、今回の調査結果をもって、すべての労働者の賃金環境が改善していると結論づけることはできませんが、全体としての流れとしては「賃上げの方向性」が強まっていることは間違いないと言えるでしょう。
この春季賃上げの動向は、企業にとっては労務管理の指針の一つとしても活用できる情報です。特に採用活動においては、競合他社の賃金動向を意識した戦略的な給与設計が求められており、今回の結果は自社の人事政策を見直す一つの材料となるでしょう。また、労働市場のトレンドとしては、単なる賃金の引き上げだけでなく、働き方の柔軟性や福利厚生の充実といった総合的な労働環境の改善も重視されつつあります。
今後もこうした春季賃上げの集計結果は、労使双方の協議の材料として継続的に注目されることになります。企業経営者にとっては、単なる数字の確認にとどまらず、背景にある社会的要請や経済環境の変化を読み解きながら、自社の働き方改革と従業員満足度向上の両立を図る姿勢が問われる時代となっています。
この記事の要点
- 令和7年の春季賃上げで平均妥結額は18,629円と前年より1,214円増加
- 賃上げ率は5.52%で前年から0.19ポイント上昇し両指標とも前年を上回った
- 集計対象は資本金10億円以上・従業員1,000人以上の労働組合がある企業390社
- 賃上げの背景には物価上昇と人手不足への対応がある
- 政府による賃上げ促進の政策が企業の対応を後押ししたと考えられる
- 中小企業への波及効果も期待される一方で慎重な見方もある
- 企業の採用・人事戦略にも影響を与える重要な労働市場データ
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ